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4.あれは何?ーガイン―

再会の口づけー。

ではなく何故かルークさんは、人差し指を立て静かにとゼスチャーをした。

とりあえずコクコク頷く。

次の瞬間天井に何か空気の球みたいのを右手から放った。

速いっ。

それは、ボフッと音を立て布の天井に当たった。

そう思っていたら、いつの間にかルークさんは、剣を持ち入り口に移動しざっと布を上げる。


「お前達何をやっている?」

「「えっと、報告などを…」」


そこには、懐かしいザルグさんや猫耳ヒューイ君、あと知らない騎士さんが2名いた。


「悪いが期待している事は何もない」


低い低~い、ルークさんの声。

ヤバい…。

私でそう感じるという事は、皆は更にヤバいと感じたはず。


「えっと、急ぎではないので後程!」


騎士さん達は、急いで逃げようとした。


「待て」


ピタリ。

皆の動きが息ぴったりに止まり、そろそろと此方を振り向く。

ルークさんが怒る為に呼び止めたのかと思ったけど違った。


「上のは?」

「ラウニーが追ってます」

「ならいい、行け」

「「はっ!」」


天井に人がいてラウさんが追っている?

私がきたから?


キーンー。

多分防御をかけた音が微かにした。


「楓のせいじゃない」


なんで考えてる事がわかってしまうんだろう。

そう疑問を浮かべているうちにベッドにゆっくり押し倒された。


上にルークさんがいるのに、あまり重たくないのは加減してくれているんだろうな。

ルークさんの、まだ濡れている髪が私の首筋に触れる。

ドキドキのシチュエーションなはずなのに、耳元でささやくルークさんの口から出る言葉はムードの欠片もない、真面目な話だった。


「今回、ガインのデュラス王子の成人祝いの為に城へ宰相が行く。だが、それだけじゃない」


だよね。

兵士さんの数が多いし。


「最近、影からの連絡が途絶えた」


またネックレスを手にとり、今度は何か呟いた。ほんの一瞬だけ青い強いフラッシュのような光が現れ、石の中に消えた。


「楓を連れていきたくない」

「…邪魔なだけだって知ってますよ」


分かってるよ、そんな事。

でもこのタイミングは、私の意思じゃないから!


「いや違う。危険な目に遇わせたくないだけだ。」

「それだけじゃない。」

「ガインの王子は、楓を気に入っている。」

「楓は気がついていないが、他にも何人かの男が楓を欲しがっている。」


いやいや!


「それはないっ!」

「痩せたな楓。」


やっぱり分かるか。

学校卒業して自分でいうのもなんだけど、結構頑張っていた。


「前に私の姫は太ったほうがいいと言ったはずだが?」


そう言うと、少し起き上がったルークさんが私の頬に触れてきた。


「っ」


頬にあった大きな手は、鎖骨をたどりブカブカの服の衿元に下がる。

思わずビクッとなる。


「俺が今、何を考えているか分かるか?」


青い目が私を強く見つめる。

なんかギラギラしてます?

手は止まらず下がっていきボタンが外されていく。


「できるなら、屋敷に閉じ込め誰にも会わせず、誰にも見せたくない。」


えっ…そんな人だったんですか?


「自分がこんなにも独占欲が強いとは思ってもいなかった。」

「あっ」


胸元に湿った感覚のあと鈍い痛みがきた。


「虫除け」


そう言いルークさんは、私のシャツのボタンを上までキッチリ留めなおしベッドから立つと、私にタオルケットのような物を掛けてくれた。


「俺はもう少し片付けてから寝るから先休め」


そう言い頭を撫でられた。

つい離れていく手がなんか寂しくて、手をひっぱってしまった。


「ご、ごめんなさい、つい」


あーなにやってんだ私。

慌てて離す。

ため息をつかれた。

ウザガラレタ。

と、へこんでいたら違った。


「これでも我慢しているからあおらないでくれ」


おでこに一つキスが落とされた。


「お休み」

「…お休みなさい」


駄目だ。

破壊力ありすぎだっ!

私はタオルケットを頭までかぶり見悶えた。




「この状況で寝れるわけがない」


ルークは椅子に座り、肘をつきながら爆睡している楓を眺めながら呟いた。




あんな刺激的な夜だったのにも関わらず、いつの間にか寝てしまった私は、爽やかな朝をむかえ、今は、色もカラフルで角がはえてい馬に似た動物にラウさんと乗っている。

お尻が痛くなってきた頃。


「見えてきたよー」


背後にいるラウさんが教えてくれた。


そのお城は、以前と違っていた。

何、あれは?

お城は、蛇のようなドス黒い物が巻きついていた。

鳥肌が立ち、背中がゾワゾワしてくる。

ゾワゾワがお城に近づくにつれ増していく。

私はラウさんにたまらず話しかけた。


「ラウさん!」

「ん?」

「お城に巻きついているの何ですか?」

「何も見えないよ?」


えっ私が変なのかな。

そう思ったら、ラウさんの話はまだ続いていた。


「ただ、嫌な感じはするし、こいつが珍しく怯えている」


馬に似た私たちが乗っている子を指差す。


「…お城着いたら、私一度寝ていいですか? できるだけ早く会わないといけない気がします」

「──了解」


それでラウさんには通じた。

とりあえず皆にそれぞれ強い防御の膜を張った。



ヴィラに会わないと。


鳥肌がたっている腕をさする。

私の頭の中では警報が、ガンガンなっていた。





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