15.裏では着々と。
~ マリー ~
「準備はどうですか?」
「アリヴェル様。」
「ちょっと痩せました?」
久しぶりに会うアリヴェルは、ベルが言うように少し痩せたようだ。
でもそれだけではなく。
「お綺麗になりましたね。」
元々美しかったけれど、更に美しさが増した。
「以前と同じように話して下さい。」
「様も止めて下さい。」
「いえ、もう貴方はメイドではないのですから。」
立場の線引きは、とても大切ですと言うと彼女は困った様な顔をした。
表情豊かになり、本当に変わったわ。
「それで、ドレスのサイズ直しは間に合うのですか?」
「当日までには間に合います!というか間に合わせますわ!」
ベルの気合いは充分過ぎるほど。
実際彼女の裁縫の腕は素晴らしい。
そしてアリヴェルは、それを聞きほっとしたようだけど、自分だって主役なはずなのに心配するのはカエデ様の準備ばかり。
つい笑ってしまう。
「何が楽しいのですか?」
ベルとアリヴェルは、急に笑った私を見て不思議そうな顔。
「色々楽しいわ。」
「カエデ様にはいつお話しましょうか。」
ベルがニヤニヤと下品な笑いをした。
「いつお伝えしても、カエデ様は絶対こう言うに決まってますわ。」
「嘘?!ムリ~!!」
「そっくり!」
「ぷっ」
頭を抱えカエデ様の真似をするベルを見てつい笑ってしまった。
まあ驚くでしょうね。
なんせアリヴェルと一緒に婚礼を挙げるのだから。
さて、どうなる事やら。