表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

12.カエデの苛立ち

「いつまでもここには、いられないよね~」


ヴィラスに戻って3日目の夜。

前回と同じ部屋の庭で青い月を眺めながら、ついため息をついた。


「カエデちゃん~。交代きたから俺いくね~」


少し離れた所にいたラウさんが、手をヒラヒラさせながら去っていく。その背にお礼を伝えた。


「ありがとうございました」


警護だって役目を終え今は使者でもない私に人員をさいているのもよくないよね。


「楓」


ラウさんの交代相手はルークさんだった。

いつ戻ったのかな?


表情は疲れが見えるけど、相変わらずのイケメンだ。シャワーを浴びたのか、微かにいつもの柑橘系に違う香りが混じっている。


「先程戻り報告を終えて、こちらにきた」

「お疲れ様です」


…私に何か言うこと、伝える事はないのかな?

結婚の話とか。


「どうした?」


ルークさんは、何か違和感に気がついたのか覗きこむようにして私を見てきた。

深く青い瞳。


「…何も」


私から目をそらすと肩を掴まれた。


「楓、言ってもらわないと分からない」


──なんか無性にイライラした。


自分のこれからが、身の振り方がハッキリしないうえに自分1人では、まだこの世界でやっていけないという現実。


「なんでもない」

「かえ」

「うるさい!」


思わずルークさんの手を思いっきり振り払ってしまった。


「ごめんなさい。寝ますね」


視線を合わせないままルークさんの横をすり抜け部屋の寝室へ直行し、ふかふかの枕に顔を埋める。


ああ、私サイテーだ。

これじゃあ、ただの八つ当たり。

今時の子供だってこんな態度しないよね。


悶々としている内に私はそのまま眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ