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Black Sheep in the Cage  作者: 神谷アユム
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YA’ABURNEE

陽人の章 幼稚園の時だ。その珍妙な転入生は、突然やってきた――

怜司の章 高校生の時だ。ニヤニヤ顔の陽人が突然やってきて――

二人の章 中学校に上がったばかりの頃、陽人が突然一つの「提案」をする――


二人の歴史を目いっぱい詰め込んだ三本立てとなっております。

陽人の章 かいじゅうたちと三毛猫

 幼稚園の時だ。ゴールデンウイーク過ぎぐらいの中途半端な時期に、クラスに一人、新しく園児が加わった。

藤村ふじむら……怜司れいじ、です」

 そいつはそれだけ言うと、すごいスピードで部屋の隅へ行ってしまった。自由時間になって、初めての転入生を物珍しがってみんなが話しかけたが、そいつはその問いかけに一切答えなかった。一言もだ。転入生だからって特別扱いも変だろうと思って話しかけずにいた男子――犀川陽人さいかわはるとは、その様子にむしろ興味を引かれた。なので、待つことにした。あの様子なら取り巻きたちはすぐに飽きて離れていくに違いない。その頃に、話しかければいい。幼いながら、陽人はそう計算して待った。

 案の定、最初の日は怜司を取り巻いてやいのやいのやっていた子どもたちは、次の日には半分に減り、三日目にはとうとう、誰もいなくなった。幼稚園の先生も慌てて、怜司君も一緒に遊ぼうか、と話しかけたり、みんなに怜司を仲間に入れるように言ったりしていたが、すべて無駄だった。珍妙な転入生は誰に対しても口を閉ざしてかぶりを振るばかりだったし、喋りも笑いもしない、寡黙で無愛想な怜司に対して子どもたちは冷淡だった。仲間に入れたって面白くないからだ。四日目、幼稚園の先生もとうとうあきらめた頃に、陽人は他の友達との遊びを早めに切り上げ、教室の隅で絵本をめくっている怜司に声をかけた。

「なあ、お前何読んでんの? それ、おもしろい?」

 その絵本は、確かモーリス・センダックの「かいじゅうたちのいるところ」だったと記憶している。怜司が開いていたのは丁度最後の方のページで、細かいことは覚えていないが、とにかく母親の愛みたいなものを感じさせる場面だった。

 怜司は声をかけられ、絵本から顔を上げて陽人を見た。その目は悲しげに潤んでおり、陽人は途端悪いことをした気持ちになった。そうか、こいつ突然声かけられるのが、泣いちゃうぐらい苦手なんだ。当時はそう思ったがしかし、怜司の事情をすべて理解した今は、陽人は彼の涙の理由が、他のところにあったことをちゃんと知っている。

 怜司は目を伏せ、静かにかぶりを振った。目が伏せられた拍子に、涙が一粒、ぽろんとこぼれ落ちる。その姿は妙にはかなげでうつくしく、思わず見とれてしまった陽人はあわてた。こいつ、変な転入生、しかも、男。落ち着け、オレ!

 ぱたん、と音がして、小さな風が起きる。怜司が絵本を閉じたのだ。彼はそのまま、表情を変えず小さな声で、何か用、と口にした。

「よ、用って、同じクラスなんだからさ、お前も一緒に遊ぼうよ。これから給食だけど、給食の後の自由時間もみんなでかくれんぼすんの。お前も来いよ」

 怜司は相変わらず無表情のまま、さきほどと全く同じようにかぶりを振った。手にした絵本をクラスの本棚に――おもしろくないと言った割には――大事そうにしまい、別の絵本を抜き出して――これが何の絵本だったか、陽人は今をもって全く思い出せない――どうして僕にかまうの、と聞いた。

「どうしてって、せっかくおんなじクラスなんだしさ。これから、お遊戯会も運動会もずっと一緒なんだぜ。先生だって仲良くしろって言ってただろ」

「……知らない、そんなの。僕は一人でいいよ。ええと……」

 そこで怜司が言葉に詰まった。陽人は瞬時に悟る、こいつ、オレの名前知らないんだ! 名札に書いてあるのに! そこで陽人は、ピンクのチューリップを模した名札を勲章のように突き出し――チューリップ型なのに、クラスは全部花の名前で、ピンクはれんげ組だった。なぜか――さいかわはるとだ、と言った。

「……はるとくんも、無理して僕にかまわなくていいよ」

 無理して、だと、と陽人は幼いながらに憤慨した。気を遣ったつもりはない。ただ、教室の隅で何もしないでいるこいつに興味を引かれただけだ。そこで陽人は、怜司の右ほおをつまんで、思いっきり引っ張った。

「い、痛いよ! 何するの……」

「お前がこっち見ないからだ! オレはお前と遊びたいの! 仲良くしたいの! それを無理してるとか言うからムカついたの! だから仕返し! あと、『はるとくん』ってむずむずするから『はる』でいいよ。オレもお前のこと『れーじ』って呼ぶから」

 怜司は、いいともだめとも言わず、そのまま陽人を無視して絵本を読み始めた。陽人はそれを見て、横にくっついて一緒に絵本を読み出した。怜司はしばらく陽人を無視し続けていたが、次第に居心地が悪くなったようで、読みにくいんだけど、と言ってきた。

「いいだろ別に。邪魔してないんだから。お前一緒に遊んでくれないから、オレがお前の遊びに混ざってんの」

「……なんでそんなに、僕なんかと遊びたいの?」

 心底不思議だ、と言った調子の声だった。絵本が閉じられる。怜司の、少しつり目気味の目が、やはり不思議そうにこちらを見ている。なるほど、確かにここまでされれば――というか、最初にかまうなと言われた時点で――普通はあきらめる。放っておく。なんでだろ、と陽人は我ながら不思議に思ったが、すぐにニカっと笑ってみせた。

「お前、面白そうだから。だって、誰とも喋んないでずっと絵本ばっかり読んでるって、面白いじゃん。そんなやつ、このクラスにはいないもん。だから、お前と友達になって、お前が面白いと思うこと、オレにも教えてよ。オレも面白いこと、いっぱい教えてやるから」

 陽人のいっそ傲慢ともとれる発言を聞いて、怜司はあっけにとられたような顔をして彼を見ていた。後に、怜司はその時のことを、高校生ぐらいの時に、あれは宇宙人の侵略か何かかと思った、と陽人本人に言って、また思いっきり右ほほをつねられている。ただ、その言葉が、母親を殺されて以来、誰に対してもほとんど閉ざされていた怜司の心の扉を、少々強引にこじ開けたことは確かだった。

 それから、陽人は足繁く怜司のそばへ寄っていっては、様々なことを喋りまくった。近所の猫の話、隣のおばさんにもらった当たり外れの激しい旅行土産の話、たまに、お母さんの料理が失敗して激マズになる話。激マズ話はどうやら怜司のツボにはまったらしく、ごくごくたまにであったが、怜司の方から、最近お母さんの料理、どう、と聞いてくるようになった。

「あ、そうそう。今日は怖い話があるんだけど、れーじ、聞く?」

 陽人はいつも、怜司が頷くかどうかは確認しない。この頃、陽人は本当に多弁な子どもで、とにかくあったことは喋りまくらないと気が済まない性分だった。おかげさまで、他の友人たちは陽人の「おしゃべり」を引き受けてくれる便利なやつが現れたとばかりに、陽人が怜司に何事か喋りまくっている間は話しかけてこなかったし、怜司が現れる以前は、たまに幼稚園の先生にも、はるとくん、そのお話は今度聞くね、と遮られる始末だった。母親などは、やかましいと言って端から相手にしてくれなかった。

「あのね、最近、夜中に赤ちゃんの泣く声がするんだ。ただの夜泣きだって母さんは言うんだけどさ。オレ、周りの家の人に聞いてみたの。そしたらさ、赤ちゃんのいる家なんて一軒もなかったんだ。なのに、夜中になると赤ちゃんの泣き声がするんだ……な、怖いだろ?」

 他愛もない話だった。いつもの怜司なら、へえ、とかふうん、とか気のない返事をして、陽人を放置し別のことを始めるのが常だったが、この日は違った。

「……はるくん、それ、全然怖くないよ」

 怜司が珍しく、陽人の話に反応した。陽人は驚いて、食い入るように怜司を見た。怜司は相変わらず無表情に見えたが、ただ――少しだけ、笑っている気がした。あくまで、陽人の目には、だったが。

「な、なんでだよ! 赤ちゃんいないのに赤ちゃんの声がするんだぜ? 怖いじゃん!」

「はるくん、こないだ近所に猫がいるって言ってたよね。確か、三毛猫。合ってる?」

 怜司が突然陽人に質問をしてきたので、陽人はびっくりして頷いた。言われるまで忘れていたが、確かに言った。結構前だ。知り合ったばかりの頃に一度だけ、近所の三毛猫がかわいい、という話をした。自分すら忘れていたことを、怜司はちゃんと覚えていた。

「三毛猫ってね、オスだとうまく生まれてこないことがほとんどなんだ。だから、オスの三毛猫ってすごく高く売れるらしいんだけど……ともかくそういうわけで、その猫は多分メス。今の時期だったら、メスの猫はお母さんになる準備をしてるから、人間の赤ちゃんみたいな声でオスを呼ぶことがあるんだって。こないだ、図鑑で読んだんだ。だから、多分その赤ちゃんは、その三毛猫。だから、怖くない」

 そこまで言って、怜司がにやっと、笑った。僕の勝ち、という笑顔だった。陽人はその表情を見て――悔しくなるより、ちょっとばかり感動してしまった。ずっと、無視されていると思っていたのだ。怜司は自分の話にほとんど反応しない。一応、へえ、とか、ふうん、とは言ってくれるが、とても聞いているようには思えなかった。それが、話をちゃんと聞いて覚えていた上に、図鑑で読んだ内容から、そこまで考えるなんて。すげえやつだこいつ、と陽人は素直に認めざるを得なかった。同時に、目の前の陰気な少年が、自分の話を実は逐一ちゃんと聞いていたことに気づいたのだった。

 その後陽人は母親から、その三毛猫が子どもを生んだという話を聞いた。あいつの言うとおりだ、と陽人は少々興奮し、ただ、幼稚園からはもう帰宅した後だったので、母親に電話をかけさせてくれとねだった。かけた先は、怜司の家だった。母親が出るものと思っていたので、低くしゃがれた、藤村ですが、という声に、陽人は一瞬面食らった。

「あ、あの、オレ、あの、れーじの……あっ、れーじ君の、幼稚園の、あの……」

「ああ、お前さんか、毎日毎日飽きもせずに怜司のやつに話しかけてるって子は。あいつ、面白くねえだろう? ろくに返事もしねえから……」

 そんなことないです、と思わず大声が出た。母親が何事かと振り返って陽人を見る。電話の向こうのしゃがれ声は、がはは、と笑った。

「なんかわかんねえが、お前さんあの坊主のことが気に入ってるみてえだな。普通の子みたいにゃしてやれんし、あいつもできねえと思うから……まあ、ヘンなやつだが、仲良くしてやってくれ。それで、今日は何の用だ? 遊ぶ約束か?」

 今すぐ話したいことがあるから電話を替わってほしい、というと、しゃがれ声は笑って、ちょっと待ってろと言った後、怜司、幼稚園の友達だ、という声が遠く聞こえた。まもなく、ごそごそと電話を替わる音がして、もしもし、という怜司の声がした。

「はるくん、どうしたの? まだなんか話すことが……」

「れーじ! お前がこないだ言ってた三毛猫、子ども生んだんだって! お前の言う通りだったよ。お前って、すげーんだな。オレ、それが言いたかったんだ」

 そんなの、明日幼稚園で言えばいいのに、という、さして興味のなさそうな怜司の声を聞きながら、それでも陽人はお前すげえよ、を繰り返した。

 かくて、陽人は自分の人生に怜司を巻き込むことになり、同時に――怜司の「人生」に、巻き込まれることが決まった。


怜司の章 裏切りの代償

 高校生の時だ、と怜司は記憶している。陽人とは、小学校も中学校もお互いに公立で、高校も同じ、一応進学校を謳っている公立高校に進学している。

 その間、陽人は全く飽きることなく、いっそしつこいぐらいに怜司についてきた。何かペアを組んだり、班を作ったりするときは必ず怜司と一緒になりたがり、小学校三年生の時、初めて別のクラスになった時はなぜか陽人の方が残念そうだった。休み時間もしょっちゅうやってきては、お前無口だからいじめられてないかとたびたび尋ねられた。クラスメイトとは相変わらず必要最低限しか喋らなかったし、ノリの悪いやつ、ネクラ、などとこそこそ言われていることはあったが、いじめというほどのことでも無いと思っていたので言わなかった。

 思えば、あの頃の陽人は頭も運動神経もよく、顔も、飛び抜けていい訳ではなかったが愛嬌があり、何より明るくて話し上手だった。やたらめったらな多弁は幼稚園の頃に怜司が全部聞いてやったことで鳴りを潜め、犀川陽人、といえば、学年のほとんどが知っているような有名な児童、生徒――いわゆる、「人気者」になっていた。

 その陽人が親友だと言ってはばからない相手だったからこそ、自分への悪意はあの程度で済んだのかもしれない、と、大人になってから怜司は回想している。

 一方の怜司は、別に言われるのはかまわなかったが、自分から陽人のことを親友だとは言わなかった。幼なじみの腐れ縁で、野良犬にでも懐かれたような気持ちでいた。どちらかといえば放っておいて欲しかったのだが、陽人は全くそうしてくれない。そして、怜司に対してはやはり、幼稚園の頃と変わらないぐらい多弁だった。

 二人の母校は、二年生から文理と進学目標に合わせてクラス分けが行われていたため、同じ国立文系志望だった二人は同じクラスだった。高校生の頃から視力が落ちて眼鏡をかけ始め、黒い髪を校則ぎりぎりまで伸ばした怜司と、地毛が茶色く、癖のある猫っ毛で、くるくるとよく動く瞳と、笑うと八重歯がのぞく愛嬌のある容姿をしていた陽人は一見正反対に見えたが、いつも一緒にいるのでそのうちクラスメイトもそのちぐはぐさに慣れてしまったようだった。

 そのうち、怜司にも陽人以外に何人か、普通に話す友達ができた。これは高校に入って初めて起きた現象だった。やはり広い地域から、同じような学力の人間が集まると、物好きも増えるのだ、と思った。

 そして、忘れもしない高二の夏休み前。いつものグループで他愛も無い話をしているところへ、陽人がニヤニヤしながら近づいてきて、発表があります、と言い出した。

「俺、彼女できちゃいましたー!」

「おお、マジか! おめでとハル。で、誰?」

 四組の村田さん、と陽人が言うと、怜司以外のメンバーから、おぉ、という感嘆の声が上がる。怜司は、それが誰だったかをなんとか思い出し――確か、私文クラスの高嶺の花、とか言われていた結構かわいい子だ。正直、自分は馬鹿そうであまり好みでは無いが――それ以降は、興味を失って話に参加しなかった。

「えーハルいいなー。やーっぱお前ぐらいにならないと村田さんは無理ってことかぁ。この、幸せ野郎!」

「なんとでも言うがよい……あがめてもよいぞ……で、怜司、感想は?」

 でれでれの笑顔をした陽人が感想を求めてきたので、怜司は率直に、ない、と答えた。

「ちょ、冷たいぞ怜司、もうちょっと祝えよ」

 親友の初彼女だぞ、と、陽人から猛烈な抗議を受けたが、怜司はそれにため息を返した。

「サイ、お前自分がどういう人間か、自分でわかってないようだな。頭そこそこ、顔そこそこで愛嬌あり、性格はネアカで素直。今までいなかった方がおかしい」

 お、おう、と陽人が困ったような返事をしたのを見て、怜司は怪訝に思い、どうした、と聞き返した。

「僕は事実を言ったまでだが」

「……藤村ってさ、たまーに俺らより全然ハルのこと好きだよね」

「ハルが親友って公言するだけあるわー」

 友人たちが口々にそう言う意味が、怜司にはわからなかった。本当に、事実を言ったつもりだった。陽人は、そうそう、怜司は俺のこと好きなの、といつもの調子を取り戻したようだった。

「別に好きじゃない。ただ一緒にいる時間が長い分、知っていることが多いだけだ」

「あぁんこいつ素直じゃないぃ、ムカつくよぉ、水瀬、なんとか言ってやってよ」

 その時話を振られたのは、国立文系クラスでも結構女子に人気のあった、水瀬という男だった。怜司とはあまりウマが合わず、ただ陽人につられてなんとなく一緒にいるだけの仲だった。

「まー、藤村は素直じゃないって言うより、気づいてないよね割と。天然ってやつ?」

「何を言っている。僕が天然? 全く笑えない冗談だな」

 そりゃそうだ、と誰かが言い、その話はそれでお開きになった。ただ、あの時の水瀬の一言は案外真理を突いていた、と、今現在の怜司は思っている。しかし、水瀬にお前が正しかったと伝える日は、おそらく一生来ない。

 その夏は非常に鬱陶しかった、と怜司は後に振り返っている。それもそのはず、彼女と何かあるたびに、逐一陽人がのろけてくるからだ。そのせいで怜司は陽人が村田あきとどこでデートし、いつキスをして、初めてのエッチがいつどこでだったかまで知っている。お前はデリカシーがないのかと問うと、だってお前以外に言う相手いないんだもん、とすねられた。

 丁度夏休みも終わりに近づいた頃、深夜に急に着信があった――家の電話回線は祖父が死ぬと同時に取り払われ、怜司には父親から携帯が買い与えられた――寝ぼけまなこで確認すると、相手は陽人だった。なんだこんな時間に、サイのやつ、またのろけか、と一瞬出ないでやろうかと思ったが、それにしたって電話という方法や時間帯が妙だ。のろけ話は学校でするか、あるいは帰りに寄り道をしてすることがほとんどで、電話をしてきたことは数えるほどしかない。その電話も、常識的な時間にかかってきていた。時計を見る。丁度日付が変わる頃だった。明らかにおかしい。怜司は受話のボタンを押し、携帯を耳に押し当てた。

「サイ? こんな時間にどうした?」

 返事が無かった。ただ、盛大に鼻をすする音が聞こえ、続いて、えっ、ともうっ、ともつかない声が聞こえた。ますますおかしい。こいつ――泣いてるのか?

「れ、じ……うううう」

「うなるな獣かお前は。何があった?」

 ぐず、ぐず、と鼻を鳴らす音しか返ってこないことに、怜司はいらだった。夜中に人をたたき起こしておいて、泣き声を聞かせてどうしようというんだ。ただ――この男が泣く原因として思い当たることは、一つしか無かった。そしてそれが当たりなら、話は確実に長くなる。

「サイ……とりあえず落ち着いて、おばさんにうち来るって言うか、書き置きして出てこい。話はそれから聞いてやる。三十分以内だ。でないと不可抗力で寝る」

「……あい」

 電話は切れた。やれやれ、なんでこんなお節介をしてしまうんだ、と怜司は我がことながらため息を吐きたくなった。ひとまず、約束の三十分間は寝ないように布団から這い出る。縁側に出ると、夜風はもう、少し冷たくなっていて、夏の終わりを感じさせた。

 果たして、陽人は十五分でやってきた。顔はすでにぐしゃぐしゃの泣き顔で、怜司の顔を見るなりすぐに、怜司ぃ、と言いながら走り寄ってきて、思いっきり抱きついてきた。

「ちょ、おま……」

 離れろ、と言っても聞きそうになかった。そのまま陽人はうわああん、と割と派手に声を上げて泣き出したので、近所迷惑も考えて、怜司は陽人の頭をそっと自分の胸に埋めさせて、ついでによしよしと撫でてやった。落ち着くのに、たっぷり十五分はかかった。

「……あの、怜司さん」

「なんだ」

「ティッシュ……鼻が……」

 全く、つらいのか暢気なのかなんなんだこいつは、と思いながらティッシュを持ってきてやると、陽人は派手に鼻をかんでから、ごめん、と謝った。

「事情を話す前から謝られても困る。まあ、だいたい察しはついてるが……村田さんと何かあったのか?」

 怜司がそう言うと、また陽人の目にじわじわっと涙が湧いてくる。ああもうめんどくさい、と思いながら、怜司は寝間着にしているTシャツの裾で、陽人の涙をごしごし拭いてやった。

「……痛い」

「文句を言うな。こっちは昨日着たばかりのTシャツをお前の涙と鼻水だらけにされてるんだぞ。全く、無駄な洗濯物が増えた」

 怒るとこおかしくね、と、陽人が少しだけ笑ったので、怜司は、なるほどやっと落ち着いたか、とほっとした。ほっとして、なんで僕がほっとしなければいけない、と、少しだけ腹が立った。

「あー、お前に会って思いっきり泣いたらちょっと吹っ切れた。ありがとね、怜司。やっぱお前が一番だわ」

「事情も聞かされずに勝手に泣かれて勝手に吹っ切れられて勝手に一番にされても困るんだが。話せるならちゃんと話せ。まあ、話したくないなら別にいいが」

 いや、話すよ、そのためにわざわざ来たんだし、と陽人は言い、どこか遠いところを見るような仕草で一言ぽつりと、別れた、と言った。

「……うまくいってたんじゃなかったのか?」

「うまくいってると思ってたのは俺だけだったみたい。ほら、俺ってどっちかってーと、お前とか、友達優先しちゃうところあるじゃん? それがやだったって。でもま、そんなの言い訳だよね」

 怜司が、陽人の顔に昏い陰が差すのを見たのは、幼稚園から十年強付き合ってきてその時が初めてだった――その付き合いが二十年強になっても、それ一回きりだった――陽人はその顔のまま、とられたんだよね、と言った。

「……誰だ?」

「あー、それ聞いちゃうか……まあ聞くわな普通。驚くなよ……水瀬だよ。あいつ、前からずっとあきちゃんのこと狙ってたらしくて、それをあっさり俺が付き合っちゃったから、余計燃えたみたいでさ。別れ話になった時、俺への不満の嵐と一緒に、でも水瀬君は、でも水瀬君はって、水瀬のいいとこばっかり聞かされた。黙っててくれればいいのにね。俺……あきちゃんのことは好きだったし、水瀬のこと友達だと思ってたんだけどなぁ」

 そう言って、陽人は苦笑した。それと同時にまた、一筋涙が落ちたのを見たとき、怜司は自分の中で、何か押さえがたいものが頭をもたげるのを感じた。

 なぜそんな気持ちになったかは、当時の怜司にはわからなかった。ただ、それがとてつもない怒りであることに気づいたのは、客用の布団を敷いてやったのにくっついて離れない陽人が、自分にしがみついたまま、泣き疲れて眠ってしまった後だった。

 ひとまず寝よう、と提案し、客用の布団を出してやったが、陽人は自分から全く離れようとしなかった。ひとしきり話したら、様々な感情がぶり返してきてしまったようだ。仕方がないのでそのまま自分の布団に横になると、自分にくっついたままの陽人からまた、えっとかうっとかいう声が聞こえて、ああ、泣くなこいつ、と怜司は思った。

 そういえば、自分も昔、こんな風に泣くことがあった。小さい頃、それこそ幼稚園に入る前、祖父の所へ行くまでに、あちこちの親戚の家をたらい回しにされていた頃だ。みんな自分をかわいそうだというのに、みんな自分を邪険に扱う。そのアンバランスさに堪えられず、苦しくなってよく泣いた。泣きすぎると息が苦しくなったっけ、と、怜司はへぐへぐ泣き続ける陽人の背中を、そっとさすってやった。幼稚園に上がってから一度だけそうなったとき、祖父がそうしてくれたのだ。不思議と、息は苦しくなくなった。だからその時、怜司はすべて、祖父のまねをした。

「サイ……泣きたいだけ泣いとけ。お前もまだガキなんだから、我慢するな……ただゆっくり息しろよ、過呼吸になって余計苦しいから」

「うううう……怜司、俺やっぱお前すき。だいすき。その俺にだけ妙に優しいとこほんとすき」

「黙れ」

 目の前で泣かれたら放っておけないだろう馬鹿たれ、と言うと、陽人は、ほんと素直じゃない、と言ってから、また怜司の胸に顔を埋めてぐすぐすやり出した。そしてしばらくすると、彼はそのまま、どうやら泣き疲れたらしく、すうすうと寝息を立て始めた。全くやっぱり暢気じゃないか、と思いながら、目尻に残った涙をぬぐってやった時に、先ほどから自分の中で這いずるこの嫌な感じが、どうしようもない怒りであることに気づいたのだ。

 陽人はいいやつだから。優しい男だから。こいつはきっと、あきらめる。水瀬に対して怒りをぶつけることも、村田の裏切りをなじることも、しない。ただ、笑って手を引くだろう。でもそれでは、こいつの、この涙はどこへ行けばいい?

 無性に腹が立った。許せないと思った。そんなことは許されない。どうしてこいつ一人が背負わなくてはならない? 陽人ののろけが頭をよぎる。あんなに嬉しそうに、あんなにいとおしそうに他人のことを話す姿は初めて見た。それを、こんな形で裏切った報いを、受けてもらわなければ気が済まないと思った。

 それで、新学期早々、怜司は生まれて初めて、人を本気で殴った。水瀬を体育館裏に呼び出し、理由はわかってるな、と一言断ってから。水瀬は呼び出しに応じたし、反撃もしてこなかった。ただ無言でさげすむように怜司を見ていた。だから思わず大声が出た。

「お前は……自分が何をしたか、わかってるのか!」

「わかってるよ。わかってなきゃやらない。でも、悪いのは俺だけじゃないっしょ。あきだって、ほんとに犀川のこと好きだったら俺なんかになびかないよ。結局、犀川があきのこと大事にしなかったからこうなったんじゃん」

 頭の中で、何かが焼き切れる音を聞いた気がした。キレる、とはああいう状態なのだと、怜司は後から思い出して学んだ。ただその時は、ひたすら目の前の男が憎くて仕方が無かった。

 もう一発、殴った。さらに左手でもう一発行こうとしたとき、後ろから羽交い締めにされた。

「怜司! お前やめろ! 何してんだ殺す気か!」

 陽人の声だった。そこで怜司ははっと我に返る。目の前では、頬を腫らした水瀬が、嘲るような顔をして立ち上がったところだった。

「で、藤村、お前気は済んだ? 正直俺、お前も犀川も、まとめて大っ嫌いなんだよね。男同士でべたべたべたべた、友達なんてこういう風に、簡単に裏切るもんだろ? うんざりなんだよ、お前らの仲良しごっこは……」

 水瀬は最後まで発言を許されなかった。怜司を羽交い締めにしていたはずの陽人が、思いっきり助走をつけて水瀬の鼻っ柱を殴りつけていたからだった。

「お前なんかと一緒にすんな! 怜司は俺を裏切ったりしない! もちろん俺も、怜司を裏切ったりしない! 一緒にすんじゃねえこのゲス野郎!」

 陽人がそこまで怒鳴ったところで教師がすっ飛んできて、この件は暴力事件へと発展した。結局、新学期早々、怜司と陽人は二人仲良く停学になった。怜司は父親に、陽人は母親にこっぴどく叱られ、それぞれ水瀬家に引きずられていって嫌々ながら謝罪した。水瀬家の母親は比較的常識のある人物で、息子が何をしでかしたかをどこかから聞かされたらしく、うちの子もよくないことをしましたし、骨は折れていませんでしたから、と、その謝罪で手打ちにしてくれた。

 停学が明ける前日――停学中は、びっくりするほど課題が出た。反省文も原稿用紙五枚に渡って書かされた――怜司の家に、陽人がひょっこりと現れた。その頃には、怜司の父は東京に戻っており、怜司は一人、停学中の課題の仕上げにかかっていた。最後の一問は、現代文とはいえ旧帝大の過去問だった。高二の、平均よりちょっと賢いぐらいの怜司に解ける問題ではなかった。よって、怜司はその時、非常に機嫌が悪かった。

「サイ、なんだ。お前課題は終わったのか? 終わってないならさっさと……」

「あのさあ、俺お前より成績下なんだから、終わってるわけないじゃん。教えてもらいに来たの」

 怜司は深く深くため息をついて、教えられるもんならもうとっくに解いている、と答えた。お互いにお手上げだ。こればかりは、明日現代文の担当教員に頭を下げて教えてもらうしかない。

「停学明け当日に提出しろって言ってたよな、生徒指導。てことは、朝一じゃなくてもいいよな多分」

「まあな。というか、そう解釈しないと仕上がらない。これは僕たちでは無理だ。二人寄ったところで何もわからん」

 沈黙。なんとなく気まずい空気になってしまった。そこでぽつりと、陽人が、なんでお前が殴っちゃうの、と言い出した。

「俺、我慢したのにさ。確かにあきちゃんとは付き合ってて楽しかったし、かわいかったし、好きだったけど……正直、別れる直前はなんとなくそんな気はしてたの。まさかそれが水瀬だとは思わなかったけど……正味、俺と別れて別のやつのところに行かれてもそれはそれで仕方ないって……」

「お前が絶対そう言うと思ったからだ」

「へ?」

 陽人が首をかしげると、怜司はため息をついて、お前はそうやって、我慢すると思ったからだ、と言った。

「でも、お前は僕の所に来てあんなに泣いていた。僕にしがみついて、泣き疲れるほど泣いて平気なはずがない。でもお前は絶対に平気なフリをする。それをいいことに、水瀬は堂々と、お前の気も知らないで村田と付き合う。そう思ったら、信じられないほど腹が立った。だからやった。それだけだ」

 お前の方こそ、僕を止めに来たのに台無しだったじゃないか、と怜司が言うと、陽人は怒った顔をして、当たり前だろ、と言った。

「あいつ、俺とお前のこと仲良しごっこって言いやがったんだぞ。友達なんか裏切るって。俺たちのこと何にも知らないあいつに言われたらめっちゃくちゃ腹立っちゃってさ。なんか訳わかんないうちに手が出てたよね」

 いや、本気でキレたら人間って何するかわかんないね、と陽人はそう締めくくって、にやっと笑った。

「まあ、やったことはお互いによくなかったし、もう二度とやんないでほしい、かつ俺は二度とやんないけど……俺のために怒ってくれて、ありがとな、怜司」

「別にお前のためじゃない。僕がムカついただけだ。ただ……仲良しごっこと言われた時は、もしお前がやっていなければ僕がもう一発どころじゃなくやってただろうな。そうなったらおそらく停学どころの話ではなくなっていたと思う……それは、感謝する」

 お前素直にありがとうって言えよなあ、と陽人が笑う。怜司もつられて笑った。ただ、その時彼は、なぜ自分がそこまで腹を立てたのか、その原因については誤解していた。水瀬のしたことが、自分の正義にもとるから、だから自分は腹を立てたのだと、そう解釈していた。

 それが誤解であったことに、怜司が気づくのは、それから十年ほど後――二人の関係が、「取り返しのつかないもの」になってからの話になる。


二人の章 アカシックレコード

「あのさぁ怜司」

「何、はるくん」

 中学に上がったばかりの頃だ。放課後、陽人がものすごく言いにくそうに、そろそろ俺のこと、ハルって呼ばない、と言い出したのは。

「なんで?」

「な、なんでって……ほら、ちょっと恥ずかしいじゃん。俺たちもう中学生なわけだし、幼稚園の時と同じ呼び方はさあ……」

 怜司はきょとんとした顔をして、はるくんはずっと一緒じゃないか、と言った。

「い、一緒じゃねえよ、ちゃんと漢字っぽく聞こえるようにしてんだぞこれでも」

「差がわからん。僕にとってはるくんははるくんなんだが……まあどうしてもって言うなら……」

 そこで怜司は思案顔になり、陽人は、あ、これ素直にハルって呼ばないやつだ、と直感した。こういう陽人の「頼み事」を怜司は素直に聞いた試しがない。それも思い出した。

「じゃあ、サイとでも呼ぶか」

「え、名字の方なの? 俺ちょっと距離を感じるんですけど!」

 その言葉に、怜司は怪訝な顔をして、じゃあはるくんでいいじゃないか、と言ってきた。

「もともと、『はるくん』で訂正してこなかったのはお前の方だろう。そもそも、お前との距離を縮めた記憶はない。なら、名字で十分だ」

「ちょ、怜司、傷つくわーブロークンハートだわー。幼稚園からずっと仲良くしてきたじゃん」

 お前が勝手についてきたんだろう、と怜司はあくまで冷淡だ。いやそれは否定できないけど、と陽人は言いつのる。

「お前のこと下の名前で呼ぶやつ俺ぐらいじゃん? だから俺の方でももうちょっと親しみを持って欲しいというかだな……」

「……それを言うなら、お前を名字で呼ぶやつも先生と僕ぐらいだと思うが」

 はへ、と変な声がでた。確かにそうだ。犀川、という名字は字もややこしく、陽人の方が漢字も発音もはるかに簡単なので、友達はみんな自分のことを「陽人」もしくは「ハル」と呼ぶ。「サイ」は――こいつ一人だ。

「わ、わかったよ、じゃあ幼なじみのよしみで、サイで妥協してやる」

「偉そうに言うな、馬鹿サイ」

 最初がそれかよぉ、という陽人の抗議はきれいに無視された。帰るぞ、と言い出した背中は、昔より少し小さく見える――幼稚園の頃は同じぐらいだった背丈は、その後小学校三年生あたりで陽人の方が高くなり、成長期を過ぎても、それは変わらなかった――そうか、サイか、とちょっと喜んでいることを悟られないように、陽人は、はいはい帰りましょう、と後に続いた。

「……思えば、あん時からだよな、お前が俺のことサイって呼ぶようになったの」

 突然の思い出話に、怜司は飲みかけのコーヒーを置く。幼稚園からもう二十年強、こいつとはずっと一緒にいる。ずっと、陽人の方がちょろちょろ着いてきているものだと思ってきたが、実はそうでもなかったな、と思ったのは最近になってからだった。

「そう言われれば……そうだな。なんだ? はるくんに戻してほしくなったのか?」

 やめろ今更気持ちわりぃ、と、陽人はぶるぶるとかぶりを振る。確かに、もうはるくんと呼んでいた時間よりも、サイと呼んでいる時間の方が長くなってしまった。

「なんか……いろいろあったねえ、俺たちも。幼稚園で初めて、お前が俺の話聞いてる! って感動してからもう二十年も経ってんだもんな。お前覚えてる? あの三毛猫の話」

「ああ、お前が猫の発情期の鳴き声を赤ん坊だと勘違いしたやつだな」

 覚えてんのかよすげえ、と陽人が感嘆の声を上げたので、怜司はため息をついた。

「あのな。幼稚園から一貫してしつこく僕にかまい続けてるのは、この世でお前一人だ。だから、自然とさかのぼれる思い出はお前一人に……!」

 言いかけて、その台詞がどう考えても恥ずかしすぎることに気づく。陽人の方でも気づいたようで、にやっと笑って、お前一人に、何、と続きを促した。

「……なんでもない」

「もうお前いい加減ちょっとぐらい素直になろうよー。ほら、高校んとき、俺が友達に彼女とられたことあったじゃん? お前俺の代わりにそいつ殴って停学んなったよね。そこまでやっといてその程度、どうってことないって」

「あれは単に、僕が腹が立ったからやっただけだ。それに、あの時は別件でお前がキレたせいで、僕がわざわざ出張った意味がなくなっただろう。僕だけが手を出したような言い方をするな」

 けちー、と陽人が抗議するので、怜司はけちで結構だ、と言い返した。

「それに……言わなければわからないのか、お前は」

「へ? あ、えーっとその……はい、わかってます、大丈夫です。あーもう、幼なじみやだ。全部悟ってくるもん」

 じゃあ出てくか、と怜司が聞き、出て行きません、と陽人が答える。

「俺は怜司とずっと一緒にいるって決めたから。お前は俺の、大事な幼なじみだよ」

「……自分で言ってて恥ずかしくないのか、それは」

 や、やかましいわ、わかってるならお前も返事しろよ、と陽人が言うので、怜司もたまには、素直になってやることにした。

「お前が僕を見捨てないでくれて、感謝してるよ、サイ」

 いきなり素直反則、という陽人の悲鳴が、夜のしじまにこだまする。積み重なってきた二人のときがまた静かに、また一つ――重なった。

そうですね、この作品のヘキは……いやもう「おさななじみ」の時点でヘキ満載なんですけど、一応陽人の章は「陰気な子ども」「かいじゅうたちのいるところ」(この絵本が小さい頃から大好きです)、怜司の章は「泣く青年」(またか)「友達のことで怒る」、二人の章は「素直じゃないやつがたまに素直になる」ですかね……?

全体的に好み全開なので、よくわからなくなっています(


ちなみにタイトルはアラビア語の名詞で日本語発音すると「ヤーアブルニー」となります。

直訳すると「あなたが私を葬る」となって、その人なしでは生きていけないから、その人の前で死んでしまいたいという美しく暗い望み、をさす言葉だそうです。

早速「翻訳できない世界のことば」使いました……いや、これはこの二人にはぴったりかなと。

お互いを葬れる人は、最後にはお互いしか残らない、そういう運命のもとにいますからね、この二人。しかし、私好みのいい言葉ですほんと。これも一つのヘキ、ですかね。

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