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第三話 武器選び

 この武器屋は敷物の上に普通に武器を並べておいてあるという非常にシンプルなものだった。それにしてもこの不気味な雰囲気は何なのだろう。


「ここら人いないけど何かいいもの見つかった?」


 モアが気味の悪い顔をしながら寄ってきた。それについてくるようにライターもやってきた。


「おっ、お客さんだね? 別嬪さんお二人を連れてようこそ。よろしければ武器を見ていってください」


 この武器たちが放つ不気味さに比べて店員さんは気さくな好青年そうだ。だが、この武器はやばい。なんか、毒入りの食べ物を見ているような気分だ。料理が明らかに通常ではありえない色をしているのにどんなものが入っているのかまるで分らないという感じの。闇鍋……、今時の若者は遊びでもしない遊び料理を思い出した。


「あっはい。この武器はあなたが作ったんですか?」

「ええ、そうですよ。見てわかってもらえると思いますがなかなか面白い仕上がりでしょう?」


 好奇心的には確かに面白い仕上がりになっていると理解できるが、それ明らかにゲーム的に何かおかしいだろということは分かる。


「手に持ってみてもいいですか?」

「それはもちろん。できれば武器の様子なんかも見てください」

「ありがとうございます」


 ニタァッっとニヒルな笑みを一瞬店員さんが浮かべた気がした。

 武器を改めて観察する。僕が手に取ったのは一番小さなナイフのようなもの。目の前に表示されたウィンドウの名前を見ると『混沌の忍刀』とある。

 何が『混沌』なのだろうとみてみると、武器の種類が混沌としていた。

 ウィンドウに表示された武器の種類は忍び刀のほかに、太刀、細剣(レイピア)となっている。絶対にバグか何かではないだろうか。本当に闇鍋だったとは予想もしなかった。


「こ、これ表示がおかしくなってるんですけど……」

「いえ、これでいいんですよ」


 チート宣言と受け取っていいのだろうか。チートを使っているのであれば運営に通報したほうがいいのではないだろうか。表情に出ていたのだろうか、青年が取り繕う。


「いえいえ、チートやバグなんかではありませんよ。ちょっと作り方を工夫したんです」

「どんなふうにするんですか?」

「この材料を使うと武器に武器種として○○が追加されるという材料を混ぜ込んで作るんです。そうするとこんな風にできるんですよ。でも、そのアイテムを作るのにまた面倒なことになるんですけど……」


 あっ。この人生産ガチ勢だ。


「実際にドロップ武器にそういうのもありますし、ちょっとハメを外してしまいましたが面白い武器だと思います」


 そういわれたので今度はこの武器のステータスを見てみる。


「うぇ」


 一瞬変な声が漏れた。ステータスがなんかおかしい。ステータス自体は初心者ということもあり相対的なことは分からないがスキルにDEX四五%増とか言うのが付いている。そのほかにもAGIやATKにも同様なスキルが付いている。


「すごいですけど、こんな武器僕じゃあ買えないですね……」

「いえ、いいですよ。見た感じ初心者ですよね? じゃあ一〇〇F(フェイル)ください。それでいいです」

「えっ、でもこんなにステータスもスキルもいいのにそんなに安い値段でもらうわけには」


 さすがに初期所持金の一〇分の一なんて破格すぎるだろう。正直商売をなめているのかと思える。ついでににこのゲームでの基本通貨の単位はフェイルということを知った。


「いえ、いいんですよ。あなたにぜひテストプレイをしてほしいんです」

「テストプレイ?」

「ええ、この武器は三つの武器種です。ならば、それぞれのステータスを上げれば忍び刀、太刀、レイピアのスキルが使えるようになるはずなんです。で、それが本当に正しいのかということと、初めて買っていただいたお客様一号とかいろいろ加味した結果、これでいいと思いました。今後ともごひいきにしてくださるなら問題はないです」

「……すいません。初心者にこんな壊れ武器をいただいて」

「壊したの俺ですし、全然いいですよ。フレンド登録してください。これからも新製品のテスター試してもらいたいので」

「そんなことでよければいくらでもやります。本当にありがとうございます!」


 そういいながら、僕は一〇〇Fを青年に渡した。そしてフレンド登録をお互いに行った。彼の名前はハンバーグ。実においしいことだと思う。二重の意味で。


~~~~~


「お目当ての武器も手に入れたことだし、早速フィールドに出ようか」

「ちょっと待って。ならこの町で受けられるチュートリアルクエストは受けておいたほうがいいから、そっちも受注してクリアしようよ」

「そうだね。報酬もあるし経験値もたまるし、損はないね」

「じゃあ、それを受けてから行こうかね」


 と、僕がその提案に乗り、NPCから依頼を受けようとした。


「すいません! この町の近くでモンスターが湧いて困っているのです。勇敢な冒険者の方に対峙してもらいたいのですがどうにかしてもらえませんか? 報酬はお支払いいたします!」

「はい。わかりました」


 このやりとりでフラグが立ったらしい。


「とりま、敵をせん滅するわけだけどどんなモンスターが出てくるの?」

「今回のクエストではゴブリンとかゴブリンとかゴブリンとかそんな感じ」

「全部ゴブリンなんですが……」

「たくさん種類いるし。ゴブリンメイジとかゴブリンモンクとかゴブリンマジシャンにゴブリンファイターにゴブリンキングにゴブリン……「もういいよ」」


 ゴブリンの種類多すぎだろ。いや、まぁ哺乳類的な位置づけのモンスターはそういうの多いのかもしれない。あれだろ、ゾンビ、スケルトンとか似たようなのばかり集まるやつ。そういえば昔プレイしたゲームの説明書に書かれている敵が実際に出てくるゲームエネミーのほぼすべてというゲームがあった。当時は知らなかったが後々調べてみるとこれ、知ってるとやる気失せないだろうかと考えた。実際そのゲーム一週目なのにやめてしまったし。というか「魔法のハロウィンパーティ」だ。レビューサイトの評価も低かったがかなり昔のアクションげーだと思えばまだ我慢できるレベル。


「で、結局今回出てくるゴブリンは何ゴブリン? ホフゴブリン?」

「保父ゴブリン?」

「人間の子供を世話する心優しいゴブリン。みんなの心優しいアイドルになりますね」

「会話しようや二人とも。そんななりそこないのNPCみたいな話題を振らなくていいから」


 と、フィールドに出てしばらく歩いていると、目の前にいきなりゴブリンがポップした。


「ギャギャギャ!」

「ギャッギャギャ!」


 目の前に現れたゴブリンの数は五体。モアやライターも僕よりも先にゲームを初めて結構立っているはずなのでそれなりに戦えるはずだ。さすがに二人に寄生するつもりはないが、自分がメインで倒すつもりでいなければいつまでたっても強くなれそうにない。

 とはいえ、初期装備とこの壊れ武器。壊れ武器もしばらくは使わないほうがいいのかもしれない。

 そう思い、初期装備であるショートソードを使うことにした。

 VRMMOの肝と言えるこのアクションシーン。アクション系のVRゲームはやはり人気が高い。作りこむものも人気がないわけではないがやはり、こういったもののほうが人気だ。実際のふくよかな体系の方でもステータス上の恩恵にあやかれるからだ。体当たり攻撃を行うコマンドを取れば基本AGIとDEXさえ上げておけばスキルの発動速度は増す。

 逆に言えばそれらの数値が少ないと、スキルの発動が遅くなり待機時間や硬直時間が発生する。VRゲームの大体の仕様はそういう感じだ。


「ライター、右! ヌイヌイ真ん中! あたしは左!」


 モアが指示を出す。

 その言葉が聞こえるころには走り出していた。

 嘘だろ。結構速く動けるぞこれ! 少なくとも初期にライターに置いて行かれた時とはだいぶん違う。景色の流れ方もそして風の感じ方も。

 初心者ということで、スキルはまだ一つも覚えていない。だが、あの武器一つでここまで強くなれるのであれば本当にすごいものだと思う。

 すれ違いざまに、ゴブリンののどを掻っ裂く。最初の攻撃でクリティカルでも出たのか豆腐でも切っている感覚だった。ふと振り返るとゴブリンの頭が宙を舞っていた。もちろんこのゲームは十二歳以上対象ゲームなので血や内臓は出ない。血の代わりに光のポリゴンがゴブリンを侵食しそして空間に還元されていった。


「お、おぉ……」


 VRRPGをやった感覚と近かった。

 VRMMOだから緊張していたが戦闘に関してはVRRPGと変わらない。大丈夫だ。戦える。ショートソードでもこれなのか。そう思いながら、もう一度動き出して、追加でやってきているゴブリンをムーンサルトですれ違い様に首を跳ね飛ばし、そのまま着地して初期からある移動系スキル『ステップ』でもう一体のゴブリンと正面から相対しそのまま眉間にショートソードを刺し込む。


 そのまま他のゴブリンも追加で来るゴブリンもモアの魔法、ライターの剣のスキルで倒された。ちなみに増援のほとんどはモアが魔法で倒していた。総数三人で倒したゴブリンの数は十七体という割と大がかりなものだった。ちなみにそのうち八体はライターが倒し残り九体のうち四体は僕、残りはモアだ。

 近くにゴブリンがいたから多く倒せただけでやはり俊敏性の差は大きくモアには勝てなかった。というか差が一体だっただけでも十分な成果と運と言える。


「じゃあ、これで依頼も終えたことだし戻って報告しますか」

「そうね。あとレベル確認しておいたほうがいいわよ」

「えっ? うん……」


 確かにレベルは上がっていた。だが、VRRPGと比べて敵の経験値がかなり少ない気がする。

 そんな納得いかなそうな顔をしていたのをライターは見ていたのか、彼女は口にした。


「VRRPGと違ってMMOなんかは敵を大量に狩ることが前提だから敵一体一体の経験値は大したことないよ。でも敵を倒すのにやっぱり時間はPCでやってたころのMMOに比べて時間がかかるからその分は割高に設定されている方だけど」


 そう言われて改めて自分のステータスを確認する。まぁ確かに昔したゲームに次のレベルアップまで五ケタあるのにもらえる経験値が三ケタとかよくやったし、こんなものだろうか。

 MMOの仕様を少しずつ理解しながら僕は街へ戻っていった。


キャラの描き分けが難しい。ええとイメージとしてはモアがちょっと言葉が四角くてライターが五角形から六角形をイメージして書きたいなぁと思っております。

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