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プロローグ

 VRと呼ばれる技術ができて、早十数年ほどたった。

 初期は精神病の治療目的から麻痺の治療リハビリまで何でもこなせる素晴らしい技術とともに医療の場では活躍。末期患者にも素晴らしい効果を見せ、希望の光をもたらした。

 医療界ではまず触りにそんなことを習う。実際VRなしでは現在の医療は語れないというほどにこの技術の存在は大きく、期待の的である。そして、そんなVRがついに民間のものとして出回るようになった。二〇一〇年代後半のVRハードとは違い五感を再現するものだ。

 最初期こそ問題が山積みと言われて、日常で触れる機会は医療の現場以外でないと言われていたのだが、それもこれで解決された。VRMMOというジャンルが珍しくなくなって数年。一時期ログアウト不能という致命的な事件が別ゲームで起こったものの、むしろそれがきっかけでなぜかVRの認知度人気度が同時に上昇している。何が原因かは分かり切っている自分としては苦笑を呈するところではある。


「はぁ、レポート辛すぎる」


 未提出のレポートが数個課題として溜まっている。提出期限はとうに過ぎているのだが、それでも温情で待ってもらっている状況だ。早く出さなければ本気で留年させられかねないのでなんとか頑張って全部終わらせたところだ。


「あぁ~、明日は休みだしゲームでもするか~」


 そう思い、テレビゲームをつける。

 ここ十数年で一気に浸透したVRハード。だが、僕はそれ以上にライトな旧ハードゲーマーだった。具体的にはPS2やGCをよく触る。

 くそげーというタイトルから神ゲーと呼ばれるタイトルまでちょこちょこプレイしている。中には、もう手に入れられないシリーズがあって歯がゆい思いをしたこともあるが、なかなかに面白い。

 ちなみに今までで一番思い出に残っているタイトルは『魔法のハロウィンパーティ』というタイトルでハロウィンの日に遊びに行った少年少女が友達の魂が盗まれたというので取り返しに行くという話。

 ここまで聞くとまるで壮大なストーリーが展開されると思うがそんなことはない。むしろ話が理解不能。ステージは地面テクスチャと天気とトラップを変えるだけで使いまわされるし、何より終わりが見えてこない。三十八ステージまでクリアしたが、道中ムービーと呼ばれるイベントは数えるほどしか発生していない。システムも下手すればゲームが詰みかねないバランスだしほんと酷かった。本当にひどかった。

 そんなゲームでも続けていれば不思議と愛着がわくもので、ステージの使いまわしはひどかったがグラフィックがきれいだったのが印象的だ。


「RTAやろうっと」


 地獄への門を開く。RTAとはリアルタイムアタックの略称でゲームをどれだけ早くクリアできるかというものだ。必要なアイテムが手に入らなかったらリセットする。死んでもリセット、当然ゲームの進行が遅れてもリセット。まさに修羅の道だ。ただ、軽くゲームを済ませる分には問題はないかもしれない。早いゲームは一時間程度で終わるし、そこまで早いわけではないが『Lのアトリエ』というお化けを撃退しつつ進むゲームは慣れれば一時間程度で終わらなくもない。面白いので何度プレイしても飽きない。

 ここまで考えたところで唐突に携帯が鳴る。

 VRが普及した今でもガラパゴス型の携帯は一定数の需要があり、種類が少ないものの未だに新型のガラケーが出たりする。画面を確認すると学校の女友達からの連絡のようだ。


「どうしたの?」

『ねえねえ、VRハード持ってる?』

「ああ、うん。一応持ってるけどどうかした?」

『今あたしと明美がやってるVRMMOやろうよ~?』

「ええ~?」


 VRでやるMMO。MMOは個人的にいいイメージがない。先の『FPSファンタジーファントムソードオンライン』というゲームでログアウト不能という事件が起こって以来、VRMMOとは意図的に距離を取ってあまり気にしないようにしていた。もちろん、据え置きソフトはやりましたけどね。


『いいじゃん。あたしらがサポートするし、一緒にギルド作ったりとかしようよー』

「いや別にそういう面で不安なわけじゃねーし」

『ええ~、ログアウト不能なんてそうそう起こらないしそもそもそれも一度しか起こってないわけだし大丈夫だよ』

「……キャラメイクして一時間ほどなら付き合うよ」

『そうこなくっちゃ! 待ってるね!』


 そう言って電話は切れた。

 はぁ、面倒だなぁ。このようにお誘いの電話は週末になると二、三件ほど来る。学校の人数比の関係上こういうことは割とあるのだがまぁ、仕方ない。

 とりあえず今しがた誘われた二人に従って、さささっとやって終わり。それで、こっちも気楽にRTAができるだろう。もしここで無視をしようものならクラスで干されかねない。それは今後の学校生活で支障が出そうなのでおとなしく従っておこう。

 VRを接続して頭にかぶる。そしてメットの横にあるスイッチを起動して、五感がVRのものに置き換わる。


~~~~~


 これから始まる物語は僕こと、白石実(しらいしみのる)の周りで起こった冒険譚ではなく周りの女の子にひっかきまわされる物語である。

書きたいことは大体あらすじに書いてあります。このシリーズどうしようか検討中です。

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