表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

聖杖物語黒の剣編エピソード4あたしの彼はお兄ちゃんで騎士<ナイト>様!第3章ホワイトクリスマスナイト

ダンスパーティ会場であたしは虎牙兄が来てくれるのを待っていた。

きっと来てくれると信じて・・・

「ねぇ、美琴。虎牙兄さん遅いね。」

「・・・うん。」マコが心配そうに言ってくる。

「もうすぐ、ラストダンスが始まってしまうのです。」ヒナも心なし元気が無い。

ーうん。しょうがないよ。-

「ごめん、マコ、ヒナ。ちょっとベランダに出てくる。」そう言って月明かりで明るさの有るベランダに出て見た。白いものがチラッと舞う。

「あ、雪だ。」手の平に落ちた雪がすうっと溶ける。

「お嬢さん、体が冷えてしまいますよ。中へ入りましょう。」

「は・・・い?」あたしが振り向くと、マスクを被った男の人が立っていた。

ー一瞬虎牙兄かと思ったのに。違う人か・・・残念。-少し落胆していると、

「お嬢さん、最期の一曲だけでも、ご一緒に踊って頂けませんでしょうか。」

ーえ?でも、虎牙兄が来たら、嫌だな。断ろう。-

「すみません。連れが着てくれるかも知れませんから。おことわ・・・わ!」あたしが断ろうと頭を下げたら、この人行き成り手を掴んでダンス会場に連れ込まれ、

「あ、あの!待って、待ってください!」そう止めているのに、お構いなしにリズムに合わせて踊りだした。

「ちょっ、ちょっと!わっ、きゃっ!」あたしは、この人に軽やかに踊らされていく。

ーなんて上手なんだろう。体がふわふわ舞ってピンクのドレスが風にそよいでいるみたい。-あたしはそれでも、会場に虎牙兄が来ていないか視線を投げかけていた。マコもヒナもあたし達を見て、感極まった様に瞳を潤ませている。

ーあー、もう!マコ達は賞目当てだもん。感極まるよねー。-そんな事を考えていると、

「ダンス中は、相手だけを見るものですよ。」と、注意された。

「あ、すみません。」あたしは男の人に謝った。マスクで声がくぐもっているせいか、なんだかこの男の人が虎牙兄の様な錯覚が起こる。

ー虎牙兄が、こんなにダンス上手いなんてこと無いよね。-そんなことを考えていても、この男の人に軽やかに踊らされて気分が良くなってくる。ふわふわする様な、それでいて時には激しく、時には情熱的に踊った。(パチパチパチ)拍手が鳴ってダンスは終わった。

「あ、ありがとうございました。」あたしは少し赤い顔をして頭を下げてお礼を言った。

「お嬢さん。お名前は?」男の人があたしの前で膝を付いて畏まった。

「え?あの、美琴。冴騎美琴っていいます。」すると男の人が自分の手袋を取り、あたしの右手を自分の右手で取った時。

「!まさかっ、そのブレスレット!」あたしの声より早く、右手の甲にキスをして立ち上がり、マスクを取って、

「お嬢さん、間に合いましたね。」

ーじわっ、瞳が潤む。-

「虎・・牙。・・・嘘!」あたしはそう言うのがやっと。<バチン>室内の灯りが落とされ、月明かりが青白く差し込む。虎牙兄があたしの手を取り、

「美琴、もう一曲。お願いできるかい?」あたしはもちろん、

「うん、うん!」メロディーに合せて虎牙兄に身を委ねて、ゆっくりと軽やかにあたしは踊る。

ーああ、夢を見ているみたい。ーふわふわと風が靡く様にドレスが舞い、軽いステップで体が回る。

ーなんて、なんて素敵なんだろう。虎牙兄のダンス、こんなに上手いなんて。頭がふわふわして、心はドキドキして体も心も、もう虎牙兄に預けてしまっている。ああ、このままずっと踊っていたい。虎牙兄と一緒に踊っていたい。-

時を忘れて踊っていたけど、終わりは来る。メロディーが切れて、あたしは虎牙兄に手を預けたまま立ち尽くしていた。まだ心臓がドキドキしてる。

「美琴。」虎牙兄が、耳元で囁く。

ーあ、なんだかぞくぞくってした。-

「綺麗だよ。」

ーあ、ああ、ぞくぞくが、がくがくになる。頭の中が真っ白になっちゃう。-

「あ、ありがとう。虎牙兄。」そう、震える声で答えると、

「駄目、今は、いや、今日からは虎牙って言ってくれよ。美琴。」

ー!そ、それって、その。あの。彼女?恋人って事?-

「なっ、美琴。オレの大事な美琴。」じわっ、ポロポロ涙が頬を伝って落ちていくのが解る。

ーああっ、あたしもう、倒れてしまう。嬉しくって喜びで溢れて。-あたしに虎牙兄が、

「美琴?泣いているのかい?」と、心配顔で訊いてくれる。

「ううん、嬉しくて。虎・・・牙。」

「うん。そう!それで良い。。美琴。」ふわっ、あたしを虎牙兄は抱き寄せた。

「あっ!」虎牙兄の胸に顔を寄せ、上目づかえに虎牙兄の瞳を見る。

「ああっ!」虎牙兄の瞳がゆっくりと閉じて、

ーそんな、みんなが見ている前で。-

「んっ!」優しいキス。

ーああ、恥ずかしいのに・・・あたし・・・拒めない・・・こんなキスされちゃったら・・・もう・・・-

パチパチパチ・・パチパチパチ。

ーあ。会場から拍手が・・・皆さんに祝福されて・・・まるで結婚式みたいに・・頭の中が幸せで真っ白。夢なら醒めないで・・・最高の、最高のクリスマス。-

・・・・・・・・。

<ピロピロピロピロ>

ー!なに?携帯?-

「あっんっ。」ビックリしてあたしと虎牙兄は、キスを止めた。

ーまるで夢落ちじゃない。-

「はい、オレだ。」電話は虎牙兄の携帯だった。

ーしょうがないなー。もう!-

「兄さん!23号線で魔獣鬼の反応が出た。すぐ向って!」

ーそう、やっぱりね。-

「美琴。行くかい?」

「そう、だよね。あたし達。」あたしは顔を上げて、虎牙兄を見つめる。

「じゃあ、ドレスだし。こうして!」

「きゃあぁっ!」虎牙兄があたしをお姫様抱っこした。

「ん。この方が早く着けるだろ。」

「うん。今日だけ許してあげる。」

「ははは、じゃあ行くぞ。」あたしは虎牙兄に身を預けて、

「あたし達は、守りし者。だもんね!」

虎牙兄が月明かりの中、ベランダから飛び出した。

<キラッ>雪と月光に照らされて、髪飾りが光を放った。


エピソード4あたしの彼はお兄ちゃんで騎士様!をお送りしました。

どうでしたか?美琴が漸く虎牙に認められたボーナス回です。

チャライです。チョロイです。今回はギャグ的なお話でした。なにせ、四天王2人が弱すぎです。

私(作者)の声が入ってたり、メチャしてます。これも、次回エピソード5に続く伏線なのですが・・・

お前(作者)の声なんか関係ないだろって思った人。・・・正解です!・・すみません。

では、次回エピソード5黒の剣にて、お会いしましょう。

次回も読んでくれなきゃ駄目よーん。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ