聖杖物語黒の剣編エピソード4あたしの彼はお兄ちゃんで騎士<ナイト>様!第2章もう一人の美琴<アタシ>
あたし達は四天王ゴブリンとマギカに対峙した。
「やっと、シリアスな展開ね。」(・・・そうだよ)
(じわっ、涙が出てきた。ああ、やっぱり虎牙兄はあたしの事、信じてくれてる。愛してくれてる。嬉しくって涙が出てきた。)
「な!何だとー!おいゴブリンどうなっている!」
「い、いや、こんな筈では。」
「ミコトが虎牙を連れてくるぞ。美琴を奪い返されては台無しだ。」
「うむ、早速美琴を城へ移すぞ。」四天王ゴブリンとマギカは慌てて美琴の所へ向うが、
「遅いな、マギカ、ゴブリンさん。」ミコトがすでに立っていた。
「ミコト貴様!裏切ったな。」
「式鬼の分際で主に反旗を翻すとは!」魔獣鬼の2人が口々にミコトを罵る。
「あたしはミコト。美琴のホムルンクス。あなた達に造られただけの事。別にどちらに付こうが、あたしが決めるだけの事。」
「くそ!お前なぞ、消してくれるわ!」マギカが怒鳴る。
「最初から消される覚悟でここに居るから。」
「言わせておけば・・・今すぐ消してやる。」
「そう。じゃあ、消せば。でもただでは消されないから。」
「何?」
「そうだなミコト。お前も美琴と同じ力が有るからな。」そう言ってあたしと虎牙兄は、四天王ゴブリンとマギカに対峙した。
「くっ、虎牙、美琴。いつの間に!」ゴブリンが驚愕する。
「ふふっ、お兄ちゃん、美琴!あたしはマギカ、あたしの魂を入れた奴をやる。やらせて!!」ミコトが右手を高々と上げて黒のハープを現せて言う。
「解った、虎牙兄!あたし達はゴブリンをやろう。」
「美琴、解った。」あたしと虎牙兄は右手を上げて、
「ハープよ!」
「聖召還<ビースト>!」光に包まれる。あたしはハープに祈る。
「超火弾<スーパーボム>」光に包まれたハープから、強力な火の玉がゴブリンを焼く。
「ぐがあああっ!」火達磨となりのたうつ魔獣を白銀色の鎧が虎鋼を振るう。
「獣破斬!」 <ギシュッ>斬波がゴブリンを撫で切った。
「ぎっぎぎっ。」ゴブリンは有無を言わさぬ必殺剣で一撃で叩きのめされる。
「虎牙兄!止めを!」
「了解!」あたしは虎牙兄の後ろから右手を高く掲げ、
「聖音玉<ホーリーサウンド>」虎牙兄に聖なる力を託す。
「うおおおおっ!」虎牙兄の鎧が白金色に輝き、
「聖獣壊斬<ホーリースレイブ>」超強力な斬波を叩き込んだ。
「ぎぐわあああっ!」一声絶叫して、ゴブリンは跡形無く消し去られた。そしてあたしと虎牙兄は、マギカと闘っているミコトの支援に向う。
「はあはあはあっ。」肩で息を切っていたミコトに、
「あたし達も仲間よ!いくよミコト。」と言って、ミコトの手を取り2人で高々と掲げる。ミコトは少し嬉しげにあたしを見て、
「ありがとう、美琴。」と、一言告げると視線をマギカに移し、あたしと同じ呪文を唱える。
「超火矢<メガファイヤアロー>」白と黒のハープから巨大な火の矢が重なり合ってマギカを貫く。
「ぐがああっ!」炎の塊になりくず折れるマギカ。
「やったね、ミコト。」あたしが言っても、ミコトは自分の手を見て、
「いや、まだよ。マギカは死んでいない。あたしが消えていないから。」そう言って、くず折れたマギカを睨んだ。
「ぐず、ぐがははは。」炎で焼き爛れたマギカが動き出した。
「くっ!まだ動けるの?」あたしが身構えながら言うとミコトが、
「美琴、悪いけど虎牙兄ちゃんかりるね。」
「え?ええ。何をするの?」
「奴に止めを刺す。」
「解った。あたしは何をすればいい?」ミコトはあたしを見て少し笑った。
「強くなったね美琴。羨ましいな。・・愛って。」
「何を言ってるの?」 ・・ミコトは俯いて、
「少しの間だったけど、美琴と虎牙に逢えて良かった。ありがとう、アタシ。」そう言ったミコトはあたしの手を取り、
「さよなら、アタシ。さよなら美琴。」そう言うと、魔獣結界を破った。
「!あっ!ミコトッ!!」あたしの足元が無くなり、開いた穴に吸い込まれる。現世へのポケットゾーンに落ちていくあたしに、ミコトの声が聞こえた。
「メリークリスマス、美琴。少しだけ虎牙お兄ちゃんを借りるね。ダンスパーティで待ってて、必ず間に合わせるから・・・美琴、頑張ってね・・・。」それが最後に聞けたミコトの言葉だった。
「・・・さあ、お兄ちゃん。さっさと片付けましょう。」
「ミコト、お前。」
「ごめんね、虎牙。最期だから・・・マギカを倒したら消えてしまうから・・・お兄ちゃんって呼ばせて。お願い。」
「・・・いくぞ、ミコト!」
「うん!行こうお兄ちゃん!」ミコトは最期に思った。美琴は幸せなのかな?水晶の巫女の運命を知っているのかな。それでも彼女は一生懸命なんだ。幸せを掴むために・・・。マギカを倒すときミコトは、光に包まれながらそう思った。
四天王ゴブリンとマギカを打ち破って現世に戻ったあたしは、急いでダンスパーティ会場に向ったけど・・・。虎牙・・間に合うかな?
次回第3章ホワイトクリスマスナイト。
イチャラブ路線か・・・くぅー羨ましい(です)Byマコヒナ
次回も読んでくれなきゃ駄目よーん。