聖杖物語黒の剣編エピソード4あたしの彼はお兄ちゃんで騎士<ナイト>様!第1章アタシやばいかもPart1
あたし、冴騎美琴。聖導士なんてやってます。おかげで学業が赤点だったりします。
とうとう虎牙兄にまで、迷惑を掛けちゃう事になっちゃった。
今回のお話は、ちょっとチャラくない?でも、あたしには、ご褒美なのかも・・・
ーなんで、こんな事になってるんだろう。-あたしは、夢心地で考える。雪明りの中で、虎牙兄に身を任せてダンスを踊っている。・・・クリスマスの夜、綺麗なドレスを着て。
ーあの子のお蔭かな・・・最高に素敵な夜。そう、あれは3日前・・・。-
「こらっ虎牙兄!起きろ!」あたしは虎牙兄の部屋で怒鳴っていた。
「んー。美琴・・・なんだ?」虎牙兄は、起きてくれない。
「ちょっと!なんだじゃなくて。朝だよ、遅刻しちゃうよ。」あたしは夜勤明けの虎牙兄を起こしていた。
「うー。後5分。」そう言って、布団に潜り込む虎牙兄。
「さっき、言った。」あたしは何度目かのセリフを言う。
「本当にもう!何度起こせば起きてくれるのよ。あたしが遅刻しちゃうよ。起きて!」あたしは、強硬手段を取る。
「そりゃぁっ。!!」布団を引っぺがしてやった。
「うわっ!寒っ!!」あたしは勝ち誇った様に、
「起きろ!」と、腰に手を当てて虎牙兄を見下す。
「解った解った。美琴。」漸くムクりと虎牙兄が起き上がった。
「朝ごはんとお弁当、ダイニングにあるから、ちゃんと食べてよ。あたし、学校行くからね。」あたしの言葉に、
「わーた。ふぁ。」まだ寝ぼけた虎牙兄が、答える。
ーふー。今日も大きな子供のお守りから始まったな。ー
学校に向う途中、そんな事を考えながら歩いていると、
「オースッ、美琴。」
「おはようなのです。」マコとヒナが待っていてくれた。
「あ、おはよー。」あたしの挨拶に、
「おい、美琴。元気ねえぞー。」「です。」マコとヒナが明るく聞いてくる。
「うー。朝から大きな子供を起こすのに手間取っちゃってさ。まったくもう・・・」
「あはは、子供に子供っていわれちゃあ。虎牙兄さんもカタナシだな。」
ーむう。あたし、子供じゃないもん。もう、大人の女だもん。-
「子供じゃ有りません。」そう、ツンとして答えた。とたんにマコが、
「子供じゃん。ここが・・・あれ?」
ーむう。スキンシップ取りすぎ・・・マコ。-あたしの胸を後から掴んだマコが・・・
「・・・美琴、・・・もしかして、太った?」
ーガンッそうくるか?フツー。-
「ふ、太ってなんか無いもん!」
「・・・じゃあ、これなんだよ!」 ぐにぐに。
ー恥ずかしいから、ヤメロ。・・マコ。-
「セクハラなのです。」ヒナが恥ずかしそうにマコに言う。
「くっ!美琴!いつの間に?」
ーあのー。前からですけど・・・。-
「最近ミコッタン、女っぽくなったのです。」
ーくーぅ。ヒナは解ってるぅー。-
「頭の中以外は、です。」
ーガーン。それ、最悪ってモノだよヒナ。-
「は、ははは。どうマコ、解った?あたしも進化するのだよ。」あたしは勝ち誇った様に、マコに断言する。
「くそっ!胸揉んでたアタシの厚意が、仇となったのか、ガクッ。」
「あの、いや、それはちょっと・・・。」あたしは手を振りふり答える。
「ほら、マコッタン。しょげないしょげない、です。」そう励ますヒナに、
「ヒナはいーよ、デケエし。・・・この間までアタシの方が大きかったのに・・・この急発育!!」マコは本気でしょげていた。
「あ、あの。まだ朝なのです。こんな会話誰かに聞かれたら・・・」
「聞かれたら?」突然後から声が・・・。振り向けば白井先生が。
「よっ!朝から何の話してるんだ?」
「うわわっ、な、何でも無いです。」3人で、ハモッた。
「うぷぷっ、いーわよねー。発育途中って。」にへらっと、先生が言う。
「・・・先生もかよ・・・」ジト目で3人でハモッた。
「で、冴騎。それが今の悩みか?」
「はい。」教室でお悩み相談会・・・。何故だか解るよね。
「幸せだねー。美琴は。」
「そ、そうですか?」
「私なんて起こせる人いないから。朝晩一人だし。」
「そーいうものですか?」
「そりゃ、美琴みたいに兄妹の分の家事してたら、こーなるのは解らなくは無いが。」
「すみません・・・。」
「ま、なんだ。私も教師なのでナ。その、言い辛いが・・・父兄に来てもらわなくてはいけないのでナ・・一応。」
ーう。まづいよ。これ見せたら、虎牙兄怒るかな。やっぱり。-目の前にはテスト解答用紙。しかも赤点。
ーううっ、どーしよ。-
「お兄様にちゃんと説明して、明日来てもらってくれないかな、美琴。」
「は・・い。」あたしは元気なく答える。
「ところで、美琴。」
「はい?」
「お前、いくつになった?」
「はい?16歳ですけど?」
「違う!こっちのサイズ!!」と、胸を指差し先生が訊く。
「ふぇ?こっちのサイズですか?何で?」ビックリして聞き返すと、
「いや、最初に会った時より大分大きくなったと思ってナ。」
「・・・先生。それセクハラです。」
「あははっ、いやなに。マコがな、それとなく聞いてくれって言ってきてだな。ははは。」
「ははは、じゃありません。もう!」くすっと笑って、
「ここ最近ですよ、その大きくなったの。」
「へぇー。そうなんだ、いいなー。」
「・・・先生。よだれ・・・。」
「うっ!じゅる。な、なんでもないわ。美味しそうだなんて思ってないから・・・」
「先生・・・身の危険を感じるような発言は止めてください。」
「ああ、私もそっちの気は、ないつもりだ。」
ーいや、目が危ないから・・-先生の目はあたしの胸に釘付けだった。
「ごほん、だからお兄様に宜しく言っておいてくれ。冴騎。」
「ううっ、解りました。」
ーこれは、本当にピンチだ。どーしよ。-
学園にきてくれた虎牙兄と、白井先生が・・・。
ちょっと!聞いてないよそんな話!!