表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

003 ステータス








 しかし言ったはいいものの、どうやってアビリティを発動させるのか。ゲーム時代ならアビリティを選択すれば自動的にキャラが攻撃を繰り出していてくれたのだが、ここではそうできるとは思えない。



 あれか。技名なのかひょっとしたら。

 子供のときなら喜んで技名を叫んでいたと思うが、もう十七でしかも幼馴染がすぐそばにいる。なかなかにハードルが高い。



 しかしこうして迷っているときにも着々とグリーは近づいてきているし、後ろではラービットとさつきがにらみ合っていることだろう。

 唾を呑み込む。迷っているひまはなさそうだ。

 ええい! 



「やってやるぜ! 『流骨拳法 静』!」



 腰を落とし、一気にグリーの腹へ肉薄する。引いた右手をグリーめがけて繰り出す。ゲームらしいエフェクトも出ず、ただなんの考えないしに接近したバカがいた。俺だ。



「くっそはすかじいいいいいい! ただのバカじゃん俺!」


「……よいよいかわいい」


「やかましいわ!」


「よいよい!」


「うお!」



 グリーが振りかぶった腕を俺めがけて下ろしてきた。幸い腰を落としていたこともあり、予備動作が必要なくすぐ後ろに飛ぶことができた。煽られて腐臭がグリーから漂う。再びさつきがいる地点まで下がる。背中をさつきと合わせ、グリーと見向きあう。



 流骨拳法とは素手のときに繰り出せる流派の一つだ。武器ごとにいくつもの流派が分かれており、それぞれ違うアビリティを取得できるようになっている。装備できる流派は基本的に一つ。今回使った流骨拳法は初期から持っている流派で無手のときだけ使用することができる。



 流骨拳法は三つのアビリティを取得でき、今回使った静は相手にスタン効果を付与するものなのだが、見事に不発に終わった。

 やはりここはゲームの中ではないのだろうか。もともとラービットもグリーもデフォルトの流派で勝てるような相手ではないのだ。さらにアビリティも使えないとなると逃げることすら不可能になってしまう。



「よいよい。たぶん違う。……なぞることが大事なんだと思う」


「……なぞる?」


「……見てて」


「手短に頼むぞ」



 半身をひねり、グリーから目を離さぬようさつきを見る。

 さつきはその場で大きく足を開くと、右の拳を上に突き上げた。それを地面に振り落す。瞬間、青白いエフェクトが地面を走り、ついで衝撃が駆けた。

 小石が浮かび、波状にひびが入る。ラービットも衝撃で宙に浮かびあがり、グリーもバランスを崩してその場に倒れた。



「今のって確か『流骨拳法 剛』だっけか?」


 確か地面に衝撃を伝えて複数体に対する範囲攻撃のアビリティだったはず。

 正直初期流派のアビリティはよく覚えていない。そんなに熱心にストーリーを進めるタイプでもなかったので、もっぱらスローライフ専攻なのだ。戦うことも必要最低限だけだった。



「そう。……できてよかった」


「どうやったんだよ」


「……うーん。動きをマネする、みたいな?」



 そういやゲーム内でも剛のアビリティの発動モーションは、さっきさつきがやったみたいなものであったような気がする。

 なるほど、と思う。



 確かに俺のさっきの動きは適当にやったものだったのだ。だからアビリティが発動しないと考えればしっくりくる。なぞるということはモーションの動きのことだったのか。



「とりあえず今のうちに逃げるか」



 転がっているラービットとグリーを傍目に俺たちは来た道を戻るのだった










 おっさんの手を引きながら歩くこと数分。シーリュスの町への入り口が見えたので、その手前あたりで俺たちは力なく座りこむ。さすがにここまでくれば町の自警団もいるし、そもそも基本的に街道にモンスターが出てくることはめったにない。ほっとして安堵の溜息をついた。おっさんの方を見てみると荒い呼吸を繰り返していた。とてもじゃないがすぐに話せるコンディションになりそうにもない。



「死ぬかと思った」


「……ほんと」



 しかしアビリティが発動したあたり、本格的にここがゲームの中だと認めなくてはならなくなりそうだ。と、なるとメニュー画面なども開けるのだろうか。試しに声に出してみたり、空間を指でタップしてみるが、特に何も起こる気配がない。



「……よいよいなにやってるの」


「うん? いや、メニュー画面でないのかなって」


「……なるほど」



 そういってさつきも参加してきた。二人でこれじゃないあれじゃないといろいろ試行錯誤をするのだが、一向にメニュー画面が出る気配がない。嫌気がさしてきたところにさつきの叫び声が響いた。



「できた!」


「おお!」



 さつきのそばに行って覗いてみると、確かにゲームのよくみるメニュー画面が空間に浮かびあがっていた。半透明の背景に黒い文字が浮かびあっているそれは紛うことなきアールさんのメニュー画面であった。



 マップ、ステータス、オプションといくつかの項目がある。



「どれから見る?」


「まずはステータスだろ」


「わかった」


 キャラメイク時にランダムで決定される、プレイ開始時から持つエーアレストスキルも確認しなくてはならない。、初期ステータス値も完全なランダムなのだ。思い通りにいかなくてやり直す人も大勢いたが、俺はゲーム一日三十分と親に決められていたのでそんなことはしなかった。もともと少ない時間がさらに少なくなってしまう。



 さつきのメニュー画面が変わり、ステータス画面に移り変わった。ステータス、アイテム、装備とさらに色々な項目が現れた。迷うことなくさつきはステータスを選び、さらに画面が変わる。



 そこには、

 



【名前】 新井 さつき  【所属】    【種族】 人間


【レベル】 3       【状態】


【HP】 50         【MP】 0


【STR】 200       【DEF】 50 


【INT】 0         【VIT】 20 


【AGL】 20       【DEX】 20   【LUC】 5










 とあった。

 HP,MPはおそらく誰もが知っていると思う。STRは簡単に言ってしまうと攻撃力。ここに武器が持つSTRと合わさると、相手に与えるダメージとなる。DEFは防御力。INTはインテンス。魔法攻撃力である。



 VITはバイタリティ。俗にいうスタミナに近い。いくらSTRが高かろうと強力なアビリティを有していてもこの値が一定値なければ連続で攻撃などできないし、アビリティによっては高いVITを求められることもある。AGLは敏捷性。足の速さと言っていい。DEXは器用さである。基本的には生産職くらいでしか使わない。LUCはアイテムのドロップ率や回心率などに影響する。



 さつきのステータスは平均の中の平均といえるが、その中でSTRだけが異様な値だった。わかりやすいSTR値極振りだ。そもそもレベル1かつ初期流派の流骨拳法で倒せないといえあのグリーを退けることはできるはずもないのだ。このSTR値があったからこそできることなのだと妙に納得してしまった。



 初期ステータスから三ケタというのはかなりラッキーだ。ばりばりこのゲームの攻略したい人や、対人戦をおもにやっている人にとっては垂涎ものだろう。

 俺も自分のステータスがかなり見てみたくなってきた。



「なあさつき、どうやってメニュー画面出したんだ?」

 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ