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1話 パラレルゲート

いつもどおりの通学路を通る。

いつもどおりの電車に乗り携帯ゲームをする。

いつもどおりの僕の日常…だった。


電車の出入り口上部にある広告映像をチラリと見て電車を降りた。

【…最近発生している原因不明の人体消失事件…皆様も十分お気をつけください…】

耳に残る音声…低年齢の人が世界各地で忽然と消える怪奇現象…の注意を呼びかけていた。


(原因不明なのに気をつけても無いもんだよな〜)

そんなことを考えつつ駅の入り口へ向かう。学友が何人か約束をしているわけでは無いがその辺の、いつもの場所でたむろしているはずだ。


駅を一歩出て強い日差しが気になり空を見上げた。

今日も暑くなりそうだと思った。

そのとき風が吹いた。


(何?)


風になにかを、ほんの少しだけの違和感を感じた。

それを僕は気にもしなかった…それが僕の人生が変わった瞬間だと気づきもしないで。

そしていつもの待ち合わせ場所を見た。

しかし、だれもいなかった。

(おかしいな、先に行っちまったか?)

先にいかれたかどうかはわからない、

次の電車でくるかもしれない、

が、学友を待っていたのでは遅刻してしまう…。

あっさり見捨てて学校にむかって歩き出す。

一応メールが来てないか確認しようと携帯を取り出し電源をいれた途端バチッ!っときた。


「いて!」


痛かっというより驚いたので声をあげてしまった。

携帯は”バチッ”としたときに手を離しており道端に転がっている。

黒く焦げており、もう使い物にならないのは一目瞭然だ。

「うわ〜最悪〜!」

落胆しながら拾おうとしてかがむと、くらっときた。

(う?気持ち悪い…)

めまいと嘔吐感がジワジワと襲って来た。

熱中症?

携帯焦げ焦げショック?

気持ちの悪さで頭が回らない。

取り敢えず冷たい水を飲もうと思った。

眩暈にクラクラしながらもなんとか近くのコンビニに入り冷水のペットボトルを求める。

お客の何人かが自分を見ている…視線を合わすと目を逸らされた。

(たぶん今、僕の顔、真っ青なんだろな…)

レジの店員さんも心配そうな顔をしていた。

急いで買って表に出た。

店先で悪いが日陰に腰をおろして冷水を飲む、しかし、気分はは悪くなる一方だ。

身体が熱く感じ、玉の冷たい汗が滴り落ちて伝わる…とても不快だ。


「ねえあんた、大丈夫かい?」


店員のおばちゃんが心配そうな顔で近づいて来た。


「…ちょっと、キツイっす。」

「…あんた…”進化”って知っている?」

「はあ?」


いきなり、脈絡のないことを聞かれて返答に困る。

正直、気分が悪くて頭を使うのもおっくうなのに…なにを…何故。


「やっぱり来訪者さんみたいだねぇ。あんた、早くこれを飲みなよ。」


おばちゃんがドリンク剤のようなビンの封をきって渡して来た。


「薬、ですか?」


気分は最悪で薬ならばスグ飲みたいが…気になることが多すぎる。

…でも頭は回らない…気持ち悪い。

動きのとまった俺をみておばちゃんは言葉を続けた。


「騙されたと思って飲みな、スグに効くからさ。…ああ!始まった!はやく!」


おばさんは僕の手…ペットボトルを握っている方を指差した。


見ると…爪が鷹のようなかぎ爪になり始めていた!!!

慌ててビンの液体を飲み込んだ!

そうすると、下腹の方で暖かい感覚がしたと思うと気分の悪いのが一気に止んだ。

爪を見ると元に戻っていく。


「危なかったねえ!完全に変わってからでは効かないんだって!そういうウワサだからさ!」


おばちゃんが心底安心したように言葉を紡ぐ。

僕は状況に頭がついていけないで…ボケっと元に戻った手と指を見ていた。


ファンファンファン…


パトカーのサイレン音が急激に近づいて来た。

2台のパトカーが駐車場に入って来てキキッと音を立てて急停止する。

するとすぐに数人の警官が真っ直ぐ…僕にむかってくる!

普通の警官の服装でない…武装している!

その風景にものすごい恐怖感を覚え座りながら後ずさる。


「あんたは悪くないよ!だから、…強く生きなよ。”進化”できたら一度顔を出して!力になるからね!」


素早くそんなことを耳元で囁いたおばちゃんと僕の間に警官が割ってはいる。

一人の警官がおばちゃんからビンを押収した。


「わかるか⁉私は警察官だ!君!名前は!」


一人だけスーツの人が警察手帳を見せて質問した来た。口調は反論を許さない!と言う凄みがあった。


「鈴木…誠一郎せいいちろうです。」


ちゃんと答えたからか、相手の雰囲気が一気に良くなった。


「まともに会話が出来るのはありがたい!…誠一郎・・・君、君を逮捕する!なにも聞かずに捕まってくれ。抵抗しなければ我々は危害を与えない、私が保証する。」


先程とは別の意味で気分が悪くなって気を失いそうだった。

なにが起こったのかわからない!

不安と恐怖に僕の心は包まれ心が粉々になりそうだ!

もう、抵抗する気はなかった…逃げ出す気力も…。

僕は馬鹿みたいにカクカク首をたてに降っていた…。







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