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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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短編百合

シャクヤクはお互い様

作者: 風土帽
掲載日:2026/06/30



「こまっちーいっしょ帰ろ!」

「う、うん!」


 今日は授業が早く終わったので、スクバには乗らずに二人で放課後デート、もとい少し寄り道するため近くのショッピングモールに移動中です。

 いや、付き合ってるからデートで合ってるんだけどさ、やっぱ恥ずかしいじゃん!こんな可愛い彼女と、デデデデートとかさ!


「じー」

「な、何でしょうか?」

「うんにゃ、今日も可愛いなって!」

「……ぅえっ!」

「アッハハハ!こまっち顔真っ赤ー!」

「うぅ………」


 しょうがないじゃん!急にそんなこと言われたら、誰だってこうなるよ!

 付き合ってからというもの、奈奈さんは学外だとしょっちゅうこうして揶揄ってくる。そのたびに私の顔がオーバーヒートする。その可愛いがお世辞だとは分かっているけど、こうして一々反応してしまうのは奈奈さんのことが大好きだから。


「もー、揶揄うのやめてよー」

「ごめんごめん。でも、ホントの事だよ?」


 私より背が高いのに、時たまわざわざ身を屈めて顔を覗き込んでくる。この仕草は私が好きな奈奈さんの仕草ベスト5に入ってくる。因みに1位は、何か頼むの時にまっすぐ目を見て「ダメ?」と言ってくる仕草だ。あれに逆らえる人がいたら見てみたい。


「んー?」


 あっ、カワッッッッ!!

 直視できなくなって手で顔を覆う。


「あっは!ごめんって。だから顔、隠さないで?」


 最近は私が顔を覆うのが限界の合図だと察してくれたのか、揶揄うのを止めてくれるようになった。


「うぅ~、あんまり恥ずかしい事言わないで」

「いやホン………わかった。外では言わないから」


 外じゃなかったら言うんかい。いや、まあ、それならいいのか?


「ほら、時間なくなっちゃうし行くべ!」

「うん」










「で、どっか行きたいとこあるの?」

「いや、決めてないよ?ただ、こまっちと遊びたかっただけ!」


 パァっと効果音が付きそうなほどの笑顔で言う。これを太陽の笑顔というのだろう。

 可愛すぎか?


「じゃあ適当にぶらつく?」

「おけ!気になったとこあったら言ってね!」


 それから、服屋、本屋、文具屋と適当にぶらぶらとウィンドウショッピングを楽しんだ。そして、モールの端っこにある雑貨屋で足を止めた。


「あ、ここ見ていい?」

「いいよ」


 ここの雑貨はアンティーク調で派手さはないものの、さりげなく可愛いものが多い。アンティーク調といっても本物ではないので、お値段も手ごろで学生でも手が出しやすいのが特徴だ。


「こまっち、こういうの好きなん?」

「うん。あんまりゴテゴテしたの苦手で、落ち着いたのが好き」

「ふーん」


 奈奈さんはあまりこういう所には来ないのか、キョロキョロと忙しなく周りを見回していた。

 私も特に欲しいものがある訳ではないので、商品をさらっと見ながら歩く。


「こまっち、こまっち」

「奈奈さん?」


 奈奈さんの所に行くと、そこはアクセサリーコーナーだった。自分一人で来てもあまり見ない所だ。

 そこで奈奈さんはシンプルなペアリングを指さしていた。


「これよくない?シンプルだけど、外側に葉っぱのモチーフがついててさ、二つ合わせると………ほら!ハートっぽくなんの!」


 確かに2つのリングを合わせると、葉っぱの丸みととんがったとこが合わさってハートのような形になる。


「可愛いね」

「だっしょー!ねね、これつけてみない?」

「え?」


 確かに可愛いが、自分はほとんど装飾品を付けることがない。ましてや指につけるとなると、自分にはハードルが高い。一応値段を見るけど、1つ500円か。うん、ワンコインなら許容範囲。

 試しにつけてみるが、なんか違和感。


「なんかいずいかも」

「ん~、じゃあさ!」


 奈奈さんは近くにあったネックレスチェーンを手に取って、そこに指輪を通す仕草をする。


「ネックレスにしちゃえば、イケない?」

「それだったら、イケるかも」


 指輪よりネックレスの方が抵抗がない。ただの感覚的なものだけど、ネックレスならって思う。

 私の反応を見てよしと思ったのか、奈奈さんはそのペアリングとネックレスチェーンを2つ持って、あっという間にレジに向かって会計を済ませてしまった。


「はい!こまっちの分!」

「え、あ、ありがと。あのお金……」

「いーの!うちからのプレゼントってことで!」


 勢いに押されてお礼言っちゃったけど、お金払わないのはなんか申し訳ない気がする。でも、プレゼントっていってるのに貰わないのも………そうだ!


「今度、なんか奢るよ!」

「ぅえ!?いいよいいよ!うちがあげたかっただけだし!」

「いやいや!それじゃ申し訳ないっていうか、私の気が済まないので!お願いします!」

「ええ~?」


 奢らせてとお願いするのも変な感じだけど、奈奈さんと言えどこれは譲れないんだ!


「もー、わかったよ。じゃあ、今度なんか奢ってね」

「はい!」


 奈奈さんは苦笑いで了承してくれた。

 うん、貰ってばっかは嫌だからね!

 

 お店の中でこれ以上わちゃわちゃしているのも迷惑になるので、外に出て再び当てもなく歩く。しかし、さすがに歩きっぱなしだったので階段のベンチで少し休むことになった。


「こまっち、さっき買ったの付けてみない?」

「うん」


 小袋からリングとネックレスチェーンを取り出して、チェーンにリングを通す。そのまま自分でつけようと思ったが、つけ慣れてないのでなかなかつけられない。


「貸して、つけたげる」

「う、ごめんなさい」

「大丈夫大丈夫、うちでももたつくときあるかんね~。っとでーきた!」


 奈奈さんは私のことをフォローしつつ、手早くネックレスをつけてくれた。


「うん!似合ってんじゃん!」

「そ、そう?」

「もち!いつもより大人っぽいよ~」


 そうやってすぐ人を揶揄う。でも、悪い気はしない。


「ねえ、うちにもつけてよ」

「あ、うん」


 奈奈さんがネックレスをつけやすいようにと、後ろ髪をかき上げるとうなじが露わになる。

 その姿にドキッとして、ネックレスをつけようとした手が止まる。これは私が触れていいものなのか?


「こまっち?」

「………あっ、何でもない!つ、つけるね!」

「?うん」


 ネックレスをつけるだけ、私は何もやましいことは考えてないと、心に言い聞かせながら奈奈さんの首にチェーンを回し少しだけ震える手で金具を繋ぐ。


「できた」

「ありがと!どう?」

「うん、綺麗だよ」

「〰〰〰〰ッ!!!」


 あっべ、思ってた事言っちゃった。

 奈奈さんが手で顔を覆ってしまった。顔は隠れているが、出ている耳が真っ赤だった。


「こまっち、急に言うのやめて」

「ごめん。つい思ってたことがポロッと」

「うぁ〰〰〰〰」


 なんか奈奈さんの反応見てたら、こっちまで恥ずかしくなってきた。

 なんとか気を紛らわそうとスマホの画面を見ると、いつもスクバに乗っている時間になっていた。


「そ、そろそろ帰ろっか?」

「うぅ~、そーするー」


 奈奈さんが手をどけて顔を上げると、その顔は若干まだ赤いままだった。







「今日楽しかったね~」

「だね」


 ただショッピングモールをぶらぶらとしていただけだったけど、確かに楽しかった。多分来楽々と一緒でも楽しかっただろうけど、奈奈さんと一緒だとそれ以上に楽しく感じた。


 二人会話もなく歩いていると、ふと奈奈さんの手が触れる。

 奈奈さんは何も言わない。

 遠慮がちに何回か触れたところで、その手を軽く握る。

 びっくりして此方を見てきた奈奈さんから視線を逸らす。

 言葉の代わりに、手をぎゅっと握る。奈奈さんも握り返してくれた。

 

 分かれ道まで手は握ったまま。

 

「じゃあ、また明日」

「うん!また明日!」


 手を離し、二人で手を振る。

 首元のペアリングが、手の振動に合わせて揺れていた。

 




 久々の小鞠と奈奈のお話でした。久々すぎて奈奈の口調とか結構忘れてましたが、書き始めたらあっという間でした。やっぱり自由に書けるって楽しいですね。

 拙い文章でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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