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深淵の覇主  作者: aaaa


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第3章 初陣

以下で囲われている箇所は冒険者視点になります。

◇ ◇ ◇


◇ ◇ ◇

4人が動き始めたのは、日が高くなってからだった。


野営地の熱源が消えた。荷物をまとめる動き。出発の準備を終えて、入口の方向へ歩き始めた。距離が縮まっていく。


```

[ 侵入者感知:反応あり ]

[ 侵入体数:4 ]

[ 推定種別:人型(武装) ]

[ 脅威度判定:低(推定Dランク帯) ]

```


脅威度は低だった。

核の感知が自動的に判定した区分で、

経験の浅い者——駆け出しの冒険者に対応する。

「低」の上には「中」「高」「極高」がある。

下は「極低」——武装すらない素人だ。

今回は「低」。装備があり、ある程度の訓練を受けた人間。

ダンジョンに踏み込む程度の意思と準備は持っている。

だが熟練とは程遠い。


脅威度は低だった。経験の浅い者、あるいは駆け出しの冒険者に対応する区分だ。


「低くても人が来る」


それだけで十分だった。設計の試験になる。


感知を絞った。4人が亀裂に近づいた。2人が先行し、2人が後方で待機している。先行の2人が亀裂に入った。


 ◇ ◇ ◇


魔法灯の光が石造りの部屋を照らした。床の中央付近に、不自然な板が2枚ある。罠だと分かった。


「迂回しろ」


先行の一人が板を避けた。感知符が前に揺れている。スライムの反応がある。


 ◇ ◇ ◇


感知の中で、音声が断片的に拾われた。


ダンジョンの内壁は振動を伝える。言葉としては聞き取れないが、声の調子は分かった。軽い声だった。


```

[ 音声断片(入口の間) ]

[ ——こんなもんか——]

```


ダークスライムが動いた。


先行の1人が応戦した。連続した打撃が入った。6発、7発。ダークスライムが動かなくなった。溶けた。


```

[ 音声断片 ]

[ ——楽勝——]

```


後方の2人が入口の間に入ってきた。4人が揃った。明かりが部屋全体を照らしている。落とし穴の位置が見えている。毒霧散布罠も、慎重に歩けば踏まない。


入口の間の設計は、明かりを持つ者には効かない。


「想定通りだ」


次の間で待っている。4人が通路に入った。


コアバットが動いた。


天井から急降下して、音波攻撃を放った。狭い通路に音が反響する。先行の1人が耳を押さえた。後退しようとした。だが通路は狭く、4人が詰まった。後方の1人が前に出た。コアバットに向けて何かを投げた。コアバットが回避して天井に張り付いた。


4人が通路を抜けた。前室に入った。


影狼が待っていた。


 ◇ ◇ ◇


前室に入った瞬間、何かが壁から飛び出してきた。


速かった。


先頭の者が吹き飛んだ。壁まで転がった。起き上がろうとしたが、動きが鈍い。


```

[ 音声断片 ]

[ ——カイン!——]

```


誰かが名前を叫んだ。影狼が距離を取って低く構えた。


アラクニアが天井から糸を落とした。後方にいた1人の腕と体に絡まった。引いても切れない。魔法の詠唱が止まった。


前では影狼と先頭の者が対峙している。後ろは糸で動けない。


 ◇ ◇ ◇


---


「仕留めろ」


影狼に命じた。先頭の者の喉元に飛びかかった。壁に押しつけた。動かなくなった。生体反応が消えた。


アラクニアが糸を絡めたままの者に近づいた。牙が首筋に触れた。毒が入った。動きが鈍くなった。影狼が戻った。


2つ目の反応が消えた。


---


残りの2人が後退しようとした。


通路に入った。コアバットが体当たりした。体勢が崩れた。そこに影狼が追いついた。


```

[ 音声断片 ]

[ ——逃げ——走——]

```


3つ目の反応が消えた。


最後の1人が亀裂に向けて走った。出口まで5メートル。コアバットが進路を遮った。転倒した。影狼が来た。


4つ目の反応が消えた。


```

[ 殺害確認:4 / 4 ]

─────────────────────────

[ 殺害報酬:+14 PT ]

[ 内訳:基本殺害報酬 3 PT × 4名 + 全滅ボーナス 2 PT ]

[ 残PT:46 ]

─────────────────────────

[ 功績:初陣全滅 — 初めての侵入者パーティーを全員討伐しました ]

[ 獲得功績:+40 ]

[ 功績合計:52 ]

─────────────────────────

[ 功績が閾値(50)を超えました ]

[ ダンジョン核:レベルアップが可能です(Lv1 → Lv2) ]

[ ※ 購入カタログの「核レベルアップ」から実行できます ]

```


静かになった。


---


感知を外に広げた。追加が来る気配はない。4人は単独で来ていたらしかった。


遺体が4体ある。


まず装備を回収した。剣、短剣、盾、ローブ、背嚢——それぞれを確認しながら壁際に積んだ。使えるものと使えないものは後で分ける。今は片付けが先だ。


影狼とアラクニアに命じた。「食え」。


影狼が動いた。迷いはなかった。アラクニアが糸で遺体を巻いて引き寄せた。どちらも本能の範囲内で、命令は補助に過ぎなかった。


30分ほどで遺体はほぼなくなった。骨の一部が残ったが、アラクニアが糸に包んで天井に吊った。


ダークスライムが床を這い始めた。染みのある場所に寄っていき、表面を吸うように動いた。血痕が薄れ、消えた。石床が元の色に戻った。


「使える」


コマンドより安い。モンスターを飼えばそれだけで動く。


控えの予備ダークスライムを入口の間に配置する。


```

[ ダークスライム(予備):入口の間に配置 ]

[ 消費:5 PT ]

[ 残PT:41 ]

```


---


レベルアップを実行した。


```

[ ダンジョン核:Lv1 → Lv2 ]

────────────────────────

[ 解放された機能・施設 ]

[ ・DM区画 拡張(+3m×4m):20 PT ]

[ ・DM全浴室(浴槽・洗い場・排水・温水完備):18 PT ]

[ ・高度罠(暗闇罠・磁場罠・幻惑罠):各5〜8 PT ]

[ ・上位モンスター(Tier3):コスト10%削減 ]

────────────────────────

[ 残功績:0(次のレベルアップまで:100) ]

```


カタログが更新された。グレーアウトしていた項目が解放されている。


「高度罠か」


暗闇罠——明かりを持ち込んでも機能する罠の選択肢だ。今日の戦闘で確認した課題に、解放タイミングが合った。


---


今日分かったことを整理した。


落とし穴は明かりがあれば機能しない。毒霧散布罠は接触型なので、明かりがあっても踏み込まなければ作動しない。入口の間の罠全体が、暗所前提の設計になっている。次は明かりがあっても機能する罠に変える必要がある。


あるいは、暗闇罠で明かりそのものを無効化するか。


修正事項を頭の中に並べた。


---


その夜、凪はDM生活区画に入った。


発見してから数日が経つが、清潔石で間に合わせてきた。温水がない。洗面台から出るのは冷水だけだ。石の寝台に横になれば寝られるが、毛布がない。諦めてきたが、今日で状況が変わった。


温水生成を購入した。3PT。


```

[ 温水生成:有効化 ]

[ DM区画の洗面台・排泄スロットが温水対応になりました ]

[ 残PT:38 ]

```


洗面台の突起に触れた。今度は温かい水が流れ出した。36度程度だと感じた。冷えた石の部屋の中で、その温度は予想より大きく違った。


手を入れる。顔を洗う。首筋を洗う。清潔石で誤魔化してきた分の汚れが、温水で初めて本当に落ちた。


タオルはない。袖で拭いた。


寝具セットを購入した。5PT。


```

[ 寝具セット(敷布・枕・掛布):付与 ]

[ 残PT:33 ]

```


石の寝台の上に、布が現れた。薄い敷布、小さな枕、軽い掛布。異世界の素材でも感触は普通の布だった。少なくとも、石の台に直接横になるよりは条件が違う。


横になった。首が痛くない。それだけで、随分と違う。


今日、4人死んだ。


凪が意図して下した判断の結果だった。感情的な引っかかりがあるかどうかを確認しようとした。核による倫理調整が入っていることは分かっていたが、その効果の具体的な感覚は把握しきれていなかった。


結果として、引っかかりはなかった。


合理的な判断だったと思う。生存者が報告を持ち帰る前に処理した。ダンジョンの設計情報が外に漏れることを防いだ。報酬も、撃退で終わらせた場合より高かった。功績がレベルアップに使えた。


全ての判断に根拠がある。それで十分だ。


次の侵入者が来るまでに、入口の間の罠を組み替える。暗闇罠の購入も検討する。やることはある。


意識が薄れるにつれて、凪は思考をそこで止めた。



■ あとがき — 第3章 ダンジョンレポート


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ダンジョン構造(変更点)】


変更なし


【経路】

 入口(山の斜面・岩壁の亀裂)

  ↓ 通路(5m)

 入口の間(10m×10m)

  ↓ 通路(5m) ※コアバット天井待機

 前室(10m×10m)

  ↓

 ダンジョンマスターの間(10m×10m)

  ↓ (隠し扉)

 DM生活区画(3m×4m)


【配置詳細】

◇入口の間:落とし穴×2(中央ライン)、毒霧散布罠×1、ダークスライム(予備・第3章で再配置)

◇通路(入口の間⇔前室):コアバット(天井待機・第3章で戦闘参加)

◇前室:影狼(壁際・奇襲待機)、アラクニア(天井中央付近)

◇ダンジョンマスターの間:ダンジョン核

◇DM生活区画:排泄処理スロット×1、洗面台(温水生成済み)×1、石製寝台(寝具セット設置済み)×1


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【戦力配置(変更点)】


ダークスライム(初代) 入口の間で撃破される(Dランク冒険者の物理攻撃7発)→ 予備を再配置済み

コアバット       通路・入口の間で戦闘参加。継続配置中

影狼          前室から通路・入口の間まで追撃。4体中3体の殺害に関与

アラクニア       前室で糸・毒牙を使用。1体を無力化・殺害


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【PT収支】


 第3章開始時PT               32 PT

 殺害報酬(4名・低脅威・全滅)       +14 PT

 ダークスライム(予備)再配置         -5 PT

 温水生成(DM区画・永続)           -3 PT

 寝具セット                  -5 PT

 モンスター維持費(影狼×1日・1 PT/日)    -1 PT

 モンスター維持費(アラクニア×1日・1 PT/日) -1 PT

 ──────────────────────────

 第3章終了時PT:31 PT


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【功績収支】


 第3章開始時功績               12

 初陣全滅(Dランク4名・全員討伐)      +40

 ──────────────────────────

 功績合計:52 → 閾値50を超過 → 核Lv1 → Lv2


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【Lv2解放内容】


・DM区画 拡張(+3m×4m):20 PT

・DM全浴室(浴槽・洗い場・排水・温水完備):18 PT

・高度罠(暗闇罠・磁場罠・幻惑罠):各5〜8 PT

・上位モンスター(☆☆☆以上):コスト10%削減

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