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綾華と至音は仲直りをして友だちになったが、この数日の間に特に何かあったわけでは無く少し気まずい雰囲気が部屋に漂っていた。
「おかえり」
「ただいま」
2人はそんな簡単な挨拶をする。そのまま至音は自分の勉強机に座り、何も解決出来ていない現状を憂いて深くため息をつく。
「ちょっと、そんなため息ついてたらこっちまで嫌な気持ちになるでしょ」
「あぁ、ごめんね。少し困った事があって」
「何?話してみなよ」
「いいの?」
「逆に何でだめなの?」
「ありがと」
至音は全員の未練を解決しないと死んでしまうことを知らなかったことと、お菓子パーティーでどうやって未練を解決しようか悩んでいることを伝えた。
「待って、そんな大事なことも知らなかったの?結奈から色々説明受けてなかった?」
「結奈ちゃんからは1年でこの学校が終わるってことだけだよ」
「そっか、私も大して解決してないしまだ焦らなくて大丈夫だよ。今知れて良かったって思おう。そして、未練の解決方法だけど、人それぞれだから今回のは練習だと思えばいいんじゃない?」
「そうだね。ずっと知らずにいたらやばかったね。気楽に頑張ってみるよ。綾華ちゃんはどうやってるの?」
「……秘密」
綾華はプイッと顔を逸らした。
「相談に乗ってくれてありがとう。綾華ちゃん」
「頑張ってね」
こうして、具体的な解決策は見つからなかったが、気持ちは楽になってお菓子パーティー当日を迎えた。
緊張しながら遥とカレンの部屋のチャイムを押す。すると、遥が笑顔で出迎えてきた。
「いらっしゃーい!2人は今調理室でお菓子を作ってるから遅れるってー」
「え!?今作ってるの?」
「もう一人のルームメイトの白羽苺花がね、お菓子作り得意なんだって!だからしばらくは2人でお喋りでもして待ってよー」
部屋は可愛く飾り付けがされていた。2人で席につく。至音は周りの飾り付けに気を取られて、遥は早速ジュースを飲んでいた。しばらくそれぞれの時間を過ごしていたが、遥が我慢できず話しかける。
「ねえ、今未練の話するんじゃないの?」
「後からのほうが良いかなった思ったんだけど」
「嫌なことはとっとと終わらせよー」
「遥ちゃんは検討全くついてないんだっけ?」
遥が力いっぱい頷き、キラキラした目で至音を見る。
「えーっと。そんな期待されても困るんだけど」
「まあまあ。まずは何の話からするの?楽しみー」
「まずは死因かな?」
こうして2人は遥の未練を見つけるために話を始めた。