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見せられた麻耶の点数はどれも90点を超える高得点だった。
「すごいね! 麻耶さん!」
支音は自分ごとのように喜ぶ。
「こんなにいい点数を取ったのは初めてだよ」
改めて麻耶は他のみんなの顔を見渡してから続けて言う。
「それもこれも、一緒に勉強に付き合ってくれたみんなのおかげ、本当にありがとう!」
麻耶は頭を下げる。満足げな表情をしたカレンが言う。
「こちらこそ、ありがとうだよ。教える方も勉強になるしね。それに、なんか教え子が成績上がったみたいで嬉しいね」
他のみんなも似たようなことを考えていたようで、一つのことを達成した一体感が生まれていた。
「5人も先生がいたら、そりゃ成績上がるよね」
「そうかな?これは麻耶が頑張った成果。誇るべきことだよ」
「雛。ありがとう」
笑いかけながら、麻耶が答える。
「次はもっと高得点を狙えそうだね」
芹亜が何の気無しに言う。それに同意するように支音が言う。
「私も次はもっと良い点取りたいな」
「私が1番低かったし、頑張らないと」
苺花が肩を落としながら言う。
みんなが思い思いに未来について語っている中で、1人だけ浮かない顔をしている人がいた。
「麻耶さん、元気ないけどどうしたの?」
「あ、いや、次はってみんな話してるけど、次は無さそうだなって」
「これでもやっぱり勉強は嫌いだって思うの?」
雛は訝しげに尋ねる。
「いや、そうじゃなくて。私の中ではこれで満足しちゃったんだよね」
そう言うと、麻耶の体が温かな光に包まれ始めた。この光景は一度見たことがある。それはこの前成仏した遥のものと同じだった。
「私はずっとバカにされてたんだよ。無駄なことばっかり気になって、肝心なことは何もできてないって。でも、今日みんなの協力のおかげで今までの人たちを見返せたかなって」
「そんな点数で満足ってこと?」
雛は鼻で笑うように言う。
「満足ではないけど、私がこの学園に来た未練は無くなっちゃった」
にこやかに笑いかけて、手を振りながら麻耶は続ける。
「みんなありがとう!またね」
そう言って、麻耶は光に包まれ消えてしまった。
明るく楽しかった空気とは一変して、誰も口を開かず静かで重苦しい場へとなった。
足元には綺麗な水晶玉が転がっているだけだった。




