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麻耶の質問にカレンと苺花は首を傾げる。
「私はもともと勉強が好きだからな〜あんまり、勉強する意味について考えたことはないね」
カレンの返答に、麻耶は顔をしかめる。
「意味不明」
「やってみたら、楽しいってこともあるかもよ」
カレンはにっこりと笑って答える。麻耶は苺花の方を向いて、答えを促す。
「わ、私は、勉強はしないといけないことだし」
「もう、する必要はないと思うよ」
「みんなもやってるしね。私だけやらないのもおかしいよね」
麻耶は望んだ答えを得られなかったのか、徐々に声のボリュームが上がる。
「もう!なんで、こんな人たちしかいないの!!頭おかしいんじゃないの!?」
「まあまあ、麻耶。落ち着いて。でも、うちの言った通りだったでしょ?」
「わかった! 雛が先に根回ししてたんでしょ!」
得意げな表情で言うが、カレンも苺花も首を横に振る。
「そんなこと、うちがするわけないじゃん」
「なんで、私と同じ人がいないの!」
麻耶は机に突っ伏す。そんな様子に支音が声をかける。
「えーっと、麻耶さんはなんでそんなに勉強したくないの?」
「むしろ、好きな人こそいないでしょ」
「まぁーそれはそうだけどね。今まではどうしてたのかなって」
「そんなの覚えてるわけないでしょ。早く私の未練も見つけてよ。そしたら、勉強しなくて済むのに」
「そしたら、少し探してみる?」
「いいの!?」
麻耶は目を輝かせる。そんな中、支音に鋭い視線が突き刺さる。
「支音? うちの未練を後回しする気?」
支音はしどろもどろになる。それを見て、雛はため息をつく。
「まあ、いいよ。支音が何も考えてないことが分かった。その代わり、さっさと解決してきな」
「雛! さすが話が分かるね」
「飯野さん。ごめん」
「あー、大丈夫。大丈夫」
雛は支音の言葉に適当に返しながら、支音の勉強道具を片付け始める。
「何してるの?」
「長引いても嫌だし、今日中に解決してきて」
手を一切止めず、淡々と言う。
「え?」
あっという間に荷物がまとまり、バックを押し付けられる。支音は助けを求めるように周りを見るが、誰も目を合わせない。
「カレンちゃん」
声をかけられたカレンはようやく支音の方を向いた。
「支音。ガンバ!」
そう言って、カレンは親指を立てる。
既に準備を終えた麻耶と雛によって、教室から追い出されてしまった。
廊下には麻耶と支音が残り、扉は虚しく閉じられる。
「よし! どこで話そうか」
意気揚々の麻耶とは対照的に、肩を落として支音は教室から離れて行く。




