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試合はあっという間に終わった。
結果は負けだった。情報戦以前に、圧倒的な実力差があった。
「みんなごめん」
力斗がみんなの前で謝る。他のメンバーは目に涙を浮かべている。
「僕たちの力不足だ。ごめん」
照真も同じように頭を下げた。
「いや、私たちにももっと出来ることがあった」
結奈も謝る。
みんなが謝り合い、雰囲気はずっしりと重い。そんな中、支音は黙って立っていた。支音にはかける言葉が見つからなかった。みんなのように謝ることも、なんとなく励ましの言葉を与えることもしなかった。ただ、ふと思ったことをぼそっと口に出した。
「未練はどうなるんだろう…」
それに反応したのは、綾華だった。
「そーだよ!みんなの未練を解決せずに終わるなんて絶対嫌だ!」
「次のチャンスはないの?」
結奈が聞く。答えは返ってこない。誰もその先のことを考えていなかったからだ。
「私、今すぐ調べてくるね!」
結奈は駆け足で、その場から離れた。残された空間はまた静寂に包まれる。
「こんなに、みんなにサポートして貰ったのに結果は一回戦突破も出来ないなんてな」
力斗は俯いている。
「運が悪かったんだよ。まさか一回戦からあんな強豪に当たるなんて、誰も想像しなかったよ。力斗が悪いわけじゃない。誰も悪くない」
悠斗が励ますように、隣に立つ。
「俺たちが未練を解決出来なかったら、みんなにも迷惑かけるよな」
「迷惑とか考えなくていいよ」
照真が答える。
「いや、俺は油断してたんだ。また、チームメンバーに会えて、こんなに優遇されたサポートを受けられて、全力で練習できる。こんな環境に甘えてたんだ」
そんな、力斗の言葉に他のメンバーは口々に話をし始める。それは、この学校に来てから楽しかった思い出話だった。あの練習が辛かったとか、あの日あんな面白いことがあったとか、たわいのない日常の話だった。全てが楽しかったわけではない。しかし、みんなの顔は先ほどまでとは打って変わって、明るいものになっていた。
「負けたけど、楽しかったな」
「ああ、そうだな。また、やりたいな」
「また、やれるかな?」
力斗と悠斗の会話に支音が突如、割り込む。
「また、やろうよ!」
2人は驚いた顔をした。
「次があるかな?」
「次があるかどうかじゃなくて、こうやってみんなで協力してやろうよ!」
支音の言葉が広がり、次に進むための話をし始めた。急に扉が開かれる。
「みんなー!朗報だよ!半年後に次のチャンスがあるって!」
結奈が帰ってきて、みんなに伝わるほどの声量で叫ぶ。それに歓喜し、落ち込みムードはすっかりと無くなった。




