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遂に大会当日となった。天気は快晴で何なら少し暑いくらいだった。会場は多くの人で賑わっていた。至音たちは当日に出来ることがほとんどなかったため、客席で応援をすることになった。
「勝てるかな?綾華ちゃんはどう思う?」
「そんなのあいつら次第でしょ」
「綾華は相変わらず口が悪いね。信じようよ。ね、支音ちゃんも」
結奈がなだめながら、ここでは和気あいあいとした空気が流れる。ふと、結奈が綾華の手を包むようにして握る。
「選手より緊張してちゃダメでしょ。大丈夫だよ。私たちに出来ることは全部やれたはずだよ」
綾華は顔を真っ赤にして、手を振り解こうとする。結奈の握力が強いようで振り解けず、その場は笑いで包まれた。
その一方で、控え室で出場メンバーはみんなで方を組んで円陣を組む。力斗が語り始める。
「俺達にとってはこれを奇跡的に訪れた最初で最後のチャンスだ。みんな全力を出し切るぞーー!!」
「「「おおーーー!!!」」」
叫び声と同時に片足を前に出す。他のメンバーは次々とグラウンドに向かって行く中、力斗はその場で立ち尽くしていた。
「力斗?」
力斗は騒がしい中でその声が耳に届き、その声の方を向いた。そこには心配そうな顔をした悠斗が立っていた。
「大丈夫か?僕が呼びかけても気が付かないなんて珍しいな」
「悠斗。こんなにサポートしてもらって負けたらどうする?」
「どうしようもないよ」
優斗は一切表情を変えずに言い切った。
「考えたって仕方がないよ。そもそも、そんなこと考えるようなタイプじゃないよな」
「そーだった!」
力斗は靴紐を結び直す。そして、その場でジャンプする。
「行こうか」
グラウンドに出ると、眩しい光が目に差し込んだ。ふと応援席の方を見ると、支援者や先生が手を振って応援しているのが目に入った。列になって並ぶ、敵チームと向き合いお辞儀をする。
正直言って、このチームに勝てる可能性はほとんどない。集めて貰った情報も有益ではあるが、活用できるだけの実力が自分たちにはなかった。
「頑張ろうな」
「何言ってるの?当たり前じゃん!」
力斗と悠斗は短く言葉を交わす。圧倒的な力量の差。しかし、それでも諦めずに全力を出し切ろうとここにいる全員が思っている。
それぞれ配置につき未練を終わらせるための試合が始まる。




