3
朝が来た。眩しくていつもよりも早く目が覚めてしまった。結奈はもう起きているようだ。おはようの挨拶をして身支度を始める。
「綾華はもう学校に行っちゃたみたい。2人で登校しない?」
「いいの!?一緒に行きたい!綾華ちゃんは先いちゃったのか。昨日のこと謝りたかったんだけどな」
「それなら、今日帰って来たときにでも話せるよ」
「まっ、そうだね」
準備を終え寮を出る。寮から学校はそこまで離れておらず、軽い談笑をしながら10分程度でついた。
「そしたら放課後に支音ちゃんが昨日言ってた男子生徒に話を聞きに行こうね」
そうして2人はAクラスの前で手を振って別れた。昨日、この学校について説明をしてもらいある程度理解は出来た。だからこそ、教室に入るのは緊張した。クラスメイトが幽霊で普通の態度を取れるのか不安になりながら、勇気を振り絞り教室の扉を開けようとすると、急に肩に手を置かれた感触がした。
「至音ちゃんじゃん。おはよー。昨日はだいじょぶ?」
「え、あ、大丈夫です!」
驚いて敬語になってしまった。後ろを振り返り誰かを確認をする。金髪のいかにもギャルって感じの人物がそこには立っていた。そして思い出した。この人は唯一自己紹介を聞けた、水野カレンだったと。
「昨日は急に倒れちゃったから、みんな心配してたんだよー」
「心配かけてごめんね。もう、すっかり元気だよ」
そのまま2人で教室に入る。するとクラスメイトが次々と駆け寄って来た。みんな至音のことを心配していたようで元気そうな様子を見ると安心したようだった。至音本人は初のモテ期かと錯覚していた。ふと、視界の端に昨日の男子生徒がいることに気がついた。人の波をかき分け目の前に行く。
「昨日はごめんね。放課後時間ある?今度こそちゃんと話をしたい」
「昨日の今日で信用できないんだけど」
「昨日ルームメイトに支援者の役割について知ったんだ。私のルームメイトも来るから今日だけでいいから話聞けないかな」
それを聞いて男子生徒は机に肘をついて頬に手を当て、目を背ける。何か言葉を続けようとしたがそんな間もなくチャイムが鳴って担任が入ってきた。そのまま授業が始まりあっという間に放課後になってしまった。その間も男子生徒に説得を試みたが、失敗で終わってしまった。ちなみにこの学校の授業は普通の高校1年生の範囲をやった。特殊な授業が来るかと身構えていたから少し拍子抜けだった。
最後まで説得することが出来ず落ち込みながら玄関に向かうと結奈がいた。
「結奈ちゃんごめん。説得できなかった」
「え?後ろにいる人は?」
後ろを振り返ると男子生徒が立っている。
「え!?なんでいるの!?」
「お前が嘘をついてるか確認しに来た。どうやら本当だったみたいだな。今度こそちゃんときいてくれるんだな?」
念を入れるために詰め寄ってくる。それに負けず言い返す。
「もちろん!」
「私も協力するから安心していいよ」
誰もが安心してしまいそうな笑顔で結奈は微笑む。それを見て男子生徒も安心したように少し表情を緩める。
「五十嵐朔久よろしく」