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支音が向かった先は職員室だった。ノックをして中に入る。支音の存在に気づいた担任がこちらに向かって歩み寄る。
「上天支音か。ずいぶん遅かったな」
「あっ、帰る時間に決まりとかありましたっけ?」
「いいや、基本的には日付を越えなければ大丈夫だ。泊まりになるには、教師の引率も必要になる。で、要件はなんだ?」
外に出る時に貰ったネックレスと拾った水晶を渡す。
「うん。確かに受け取った」
作業に戻ろうとする担任を呼び止める。
「あっ、あの。その水晶は何に使うんですか?」
「これは保管して置くんだ。歴代の卒業生と言ったところかな」
「その場所を見ることは出来ますか?」
「残念ながら、校長以外は立ち入り禁止だ」
「そうですか」
行きに比べて明らかに覇気のない様子に気がついたのか。こちらに体を向けて、声をかけてくる。
「何を不安がっているかは知らないが上天支音。もっと自分に自信を持っていいぞ。初めは常識知らずの支援者だと思っていたが、遥のことを救えたんだ。そんなに怯えなくてもいい。最後まできっとやり切れる」
それでも、支音の顔は晴れない。
「ありがとうございます」
「困ったことがあればいつでも相談しろ」
一礼をし職員室から出ていく。
寮の部屋に着き、扉を開ける。中には、白玉結奈と桜中綾華がいた。扉の音で帰ってきたのが分かったのか。綾華がこちらにやって来る。
「おかえり。遅かったね」
「ただいま」
少し遅れて結奈もやって来る。
「支音ちゃん、おかえり。未練は解決出来た?出来なくても大丈夫だよ!私に手伝わせて!」
「あれ?未練のこと言ったっけ?」
「ちょっと、風の噂で聞いたの。で?どうだった?」
「無事に解決出来たよ」
2人の横を通り抜けて、自分のベッドに横たわる。
「それにしては元気なさそうだね」
綾華は興味がなくなり机に向かったが、結奈はそうではないようだった。ベッドの近くにより、質問をしてくる。
「友達が居なくなっちゃうの、寂しいなって」
「なーんだそんなことか。私も綾華も居るんだし、寂しくないよ」
結奈も満足したようで、元いた場所に戻っていく。支音は疲れていたようで、少し目を閉じただけで、簡単に眠りについた。




