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遥が消えて、彼方はやり場のない手を下ろす。足元にはきれいな手のひらに収まるサイズの水晶が落ちていた。至音がそれに気づき、取ろうと近寄るとそれより早く彼方が拾った。
「これ、俺が貰ったらいけないか?」
「あっ、それは大切なものだから」
「そうか」
すんなりと、至音に手渡ししてきた。それを受け取り、大切に持つ。これは遥が自分自身と向き合い、行動したからこそ手に入ったものだ。
「ありがとう、おかげで遥に気持ちを伝えられた」
その言葉に支音は上手く返せなかった。そんな中、カレンが支音の肩に軽く手を乗せる。
「ほんとだよ!私たちがいなかったら、気持ちも伝えられないなんて、この先が思いやられる」
「あはは、ごめん。でも、もう大丈夫だよ」
「どうかな?この先は支音が監視してくれるもんね」
「わ、私!?」
突然話をふられて、驚く。カレンの顔を見ると、さも当然と言った表情をしている。
「ま、支音に任せるから」
そう言って肩をたたかれる。そのまま流れで連絡先も交換することになった。
外に出ると、心奈が待っていた。支音たちが外に出てきたのに気づくとすぐに駆け寄ってくる。
「ちゃんと仲直りできた?」
心奈は全員の顔を見渡すように見る。ここにいる人の中に遥の姿がないことに気づいて、顔を曇らせる。
「うん。ちゃんと仲直りしたよ」
彼方が力強く答える。その言葉に安心をしたのか、心奈は姿が見えないことには追及をせずにいてくれた。支音としては幽霊だということを大勢に広めることを良いと思っていなかったため、説明せずに済んで安心していた。
2人とも別れを告げ、学校に戻る。もうすぐ日が落ち、暗くなろうとしていた。そのためか、口数は多くなく黙々と3人は歩く。
「苺花の未練ってなんだろう」
唐突に苺花が話を始めた。
「今まで、未練についての記憶もなかったし、未練を解消することをしようと考えてなかった。でも、今日の遥さんを見たら、苺花にも大切な何かがあったのかなって思った」
「うん、私も同じことを思った」
前を歩いていた、2人が後ろを振り返る。
「支音には期待してるから」
2人は笑顔で支音のことを見る。支音はその笑顔に応えることができず、ぎこちない表情を見せた。
「支音さんも大変なことがあったら、いつでも言ってね。苺花の特製お菓子を振る舞うから」
支音の表情を不安と取ったのか、苺花が励ましてくる。そんなやり取りを続けていたら、学校に到着した。
支音は2人に別れを告げ、1人でとある場所に向かった。




