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遥は初めて自分の好きという気持ちを打ち明けた。あまりにも恥ずかしくて彼方の顔を見ずに目をそらし続ける。対称的に彼方は遥のことを見つめ続けている。彼方はまんまるとして目をして口を開けっぱなしにしている。
「え、好きって?」
「もー!何度も言わせないで!好きは好きだよ!」
「え?LOVEってこと?」
遥は黙って頷く。彼方は笑顔になっているが、遥は彼方の顔を見ていないため全く気づいていない。
「ごめんね。急にこんなことを言って、迷惑なのは分かってるんだ。だって、彼方の大切なのは別の人でしょ?」
「は!?どうして、そんな意味のわからないことになってる?」
「だって、私にはまだ話せないって言ったじゃん!だから、だから、私はあの時は無意識に自分の気持が抑えられなくなったの」
「そっか……」
声が震えそうになるのを必死に堪えて、遥は彼方の方を向く、そしてこう言い放った。
「最期に気持ちを伝えられたし、もう、未練もないかな。ごめんねー。わがまま言って」
遥はニコッと微笑んだ。対称的に彼方は瞳が潤んでいる。
「なんで、そんな顔してるの?」
「未練が消えたらどうなるんだ?」
「そりゃー、もちろん。天国に行くんだよ」
人差し指をピンと立てて、上を指す。
「だからね。もう、私のことを考える必要はないんだよ。こんなことを言わなくても、忘れてたかもしれないけどね」
遥は零れ落ちそうになる涙を見られないように後ろを向く。
「忘れないよ。忘れたこともない」
「またまたー、彼女が出来たらあっさり忘れるよ」
「忘れない。だって、俺が彼女にするのは生涯でたった1人と決めてるから」
「それは素晴らしい心がけだね。んー?……って、え!?」
驚いて、彼方の方に向きかえる。遥の目には真っ赤な顔をして目を逸らす彼方が立っていた。自然と表情がニヤける。
「私さー、遠回しなセリフとかよくわからないんだよねー」
「絶対わかってるだろ」
「いやー。わからないなー。一体どういうことなんだろー」
「俺も好きだ。俺のたった1人の彼女になって欲しい」
遥はまだ目を合わせない彼方に飛びつき抱きつく。それを彼方は優しく抱き返す。
「ごめんね。ずっと私が勝手に早とちりしてたんだね」
「いや、俺こそごめん。ずっと勇気が無くて先送りにしてきた」
2人の高ぶっていた気持ちが次第に落ち着きを取り戻す。呼吸のテンポがゆっくりになり揃う。
「嬉しいけど、彼女にはなれないなー」




