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暗い部屋の隅で遥は体育座りで縮こまっている。
「支音には悪いことをしちゃったな」
ボソッと呟く。声が少し震えている。自分から会いに行くことを決めたのに中途半端に逃げ出してしまった。喧嘩したときから何も変わっていない、自分勝手で迷惑な人間なんだ。勝手に1人で死んで、彼方にも迷惑を掛けただろう。
「どうして、どうして、私はこんななんだろ。ずっと、逃げて、みんなに迷惑もかけて、こんな私なんて大嫌いだ」
どうしようもなく涙が溢れてくる。我慢しようとしても出来ない。この暗い部屋の中ですすり泣く声だけがただただ木霊している。腕で涙を拭う。しばらく、無き続け涙が枯れてくる。次第に少し冷静さを取り戻し、自分の行動を振り返る。
「あの時彼方が言ってた理由ってのは何だったんだろう?」
色々な考えが頭の中を巡る。しかし、結局のところ行き着く答えはただ一つだった。
「やっぱり、好きな人が出来て私とは距離を取りたいってことだったのかな?」
遥は自分が出した答えにあまり納得をしていない。
「もし、好きな人がいるってことなら、なんで私とこれからも一緒にいたいなんて言ったんだろう?相手に失礼じゃない?」
納得できる答えは出てこず、ぐるぐると頭が回る。次第に枯れていた涙がまたこぼれてきた。
「私は彼方のことを想像していた以上に大切に思ってた」
口に出すのが少し恥ずかしい。思わず逃げてしまった行動の根幹にあるものを考えると自身の思考がクリアになってくる。
「なのに、彼方は私のことを大切だと思ってない」
決めつけるのはまだ早いが、次に話し合うときに逃げないため、彼方に淡い期待を持つことを一切やめた。
「ちゃんと話し合わないと、私の未練は100%彼方とのことだ」
まだ、どうやって話し合えば未練がなくなるのか分からない。勇気を振り絞り、立ち上がろうとする。涙をタオルで豪快に拭き、気合を入れ直す。しかし、体は動かない。腕を体の前でくみ、また体育座りのなる。どうしようもなく目線のみを扉の方に向けると急に扉が開いた。




