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遥に走り去られてしまい仕方なくカレンと苺花の元に戻る。
「至音さん、お帰り。遥さんの姿が見えないけど、何かあったの?」
「えーと、すごく端的に言うと逃げられた」
「はあああ!?何してるの至音!?」
「ごめん。で、でもね。未練は多分わかったよ!」
「その未練は一体何だったの?」
「幼馴染の遠野彼方君から謝罪が欲しいって遥ちゃんが言ってた。後、」
言いかけた所をカレンに遮られる。
「それなら私達だけで先に話に行くよ!」
カレンが即座に行動を起こそうとしたところを苺花が手を取って止める。
「待って、カレンさん。もうちょっと冷静に至音さんの話を聞こう」
「冷静って何?今は遥の一大事なの、大切な友達だからこそ焦るのも当然でしょ。白羽さんは大切だと思ってないの?」
「そうじゃなくて、至音さんが考える遥さんの本当の未練を聞きたくて。さっき、言いかけてた続きを聞きたい」
カレンは不思議そうに首をかしげる。
「謝罪が欲しいことが未練じゃないの?」
「多分遥ちゃんはそう思ってる。でも私はちょっと違うかなって思ってて」
「至音の考える未練って何?」
「……幼馴染に彼女がいたこと、かな?」
「……嫉妬ってこと?」
「うん。それをうまく言葉に出来なくて喧嘩したとか。とにかく、喧嘩腰で遠野彼方君のところに行くのは良くないと思うの」
カレンは考える素振りを見せる。その後、落ち着きを取り戻したのか、息を吐いて至音を見る。
「わかった。ごめん。ちょっと私、冷静じゃなかった。白羽さんもありがとう」
「大丈夫だよ。私も遥さんが心配だし、皆で話を聞きに行こう」
心を一つにし至音が先頭に家の前まで戻る。すると、そこには彼方と隣りにいた女性が何やら言い合いをしていた。女性の方が至音が近づいてきたことに気が付き、小走りで駆け寄ってくる。その顔には焦りが見える。
「あの、さっき遥って呼ばれてた人と一緒にいたよね?」
至音は頷き口を挟む間もなく女性は話を続ける。
「彼方君は否定してたけど、遥さんって恋人でしょ?今日、彼方君のお家に来たのはグループワークの課題が終わらなくて、予定が空いてて作業出来るのが2人だけだったの。すごい、言い訳みたいだけど本当なの。でも、勘違いさせちゃったみたいだから遥さんに謝りたくて」
「ええっと、つまり、遠野彼方君とあなたは恋愛関係ではないと」
「そう!そういうこと!そもそも、恋人が居るなら家に行かなかったよ」
カレンがその様子を見てぼそりと呟く。
「やっぱり、嫉妬だったのかな?」
その言葉を女性は聞き逃さず割って入ってくる。
「私の目からは嫉妬して怒るを通り越して呆れてるように見えた。だから、もう、ほんと、焦っちゃって」
「私、至音って言います。遥ちゃんと遠野彼方君の仲直り協力してくれませんか!」




