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幽霊学園  作者: 久遠 零
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 真新しい制服を身にまとい校門の前に立つ。


「おばあちゃんに勧められて来たけど、なかなかいい学校じゃん!」


 中学のつまらなかった頃とは違う。これから起こるであろう華々しいJK生活に期待を膨らませ軽やかに校舎に入っていった。この学校は一学年5クラスあり、私はAクラスらしい。


 Aクラスに入ると目を疑う光景が飛び込んできた。なんか、クラスメイトが全員透けてる。


「え、どゆこと?」


 今目の前に起きていることは夢だと思い、目を擦ってもう一度観察する。うん、間違いはない。どうやらクラスメイトは全員幽霊のように体が透けてしまっている。


「おい、何やってるんだ。ホームルーム始まるぞ」


 いつの間にか後ろにいた教師と思われる人物に言われ、慌てて席に着く。空いている席は一つしか無かったため迷うことなく座ることが出来た。未だに現実を理解できず周りの余りにも現実離れしている光景に戸惑っているといつの間にか自己紹介が始まっていた。自己紹介は最初の人間関係が決まる超重要イベント気持ちを切り替え挨拶を聞く体制に入る。


「水野カレンです!えーっと死因は溺死です!よろしくね!」


 あれ?死因って言った?聞き間違いか?理解が遠く彼方まで飛んでいく。脳の処理が追いつかずそのまま視界が一気に暗転してしまった。



「はっ!あれは夢?」

「夢ではない、もっと真面目に考えろ」


 私が寝かされたベッドのそばに先程の教師が座っている。周りを見るに保健室のようだ。


「Aクラスの支援者、上天(かみあま)支音(しおん)。お前は一体何をしにこの学校に入学した」


 声のトーンが低い。誰の目から見ても明らかなくらい怒っている。少し怖い。間違っても華のJKライフをなんて言えない。しかし、このまま黙ってても良くない何かしらは答えないといけない。


「そ、祖母にこの学校を勧めれて」

「はぁ?ここがどんな学校かも自分の立場も知らずに入学してきたのか!?」

「ご、ごめんなさい」


 高校を探しているときに祖母から急に連絡がきて両親も乗り気になりあっという間にこの学校に来ることが決まった支音にとってどんな学校かは興味の対象では無かった。

 教師は呆れたように頭をかき、話を始めた。


「まず、ここは成仏学園だ。そしてお前はクラスに一人ずつ置かれ、クラスメイトたちの成仏を助ける役割を持っている支援者だ」

「成仏学園?助ける?」

「まあ、追々わかる。今日は寮に行って休め」


 そう適当にあしらわれ、保健室から追い出された。寮に行くための渡り廊下を歩いている最中、急に後ろから声をかけられた。


「おい、人間」


 その声に反応し振り返る。そこには半透明のちょっとヤンキーの見た目をした背の高い男が立っていた。


「えっと、私のことですか?」

「お前以外誰がいる」


 男がズカズカと詰め寄ってくる。そしてこう言った。


「お前俺をさっさと成仏させろ」

「そんな事言われても、やり方わからないし」


 男から目を逸らして、ぼそっと呟く。男が覗き込むようにして逸らした目を合わせに来る。


「お前は俺の未練を見つけてくれればそれでいい。だからさっさと未練を見つけろ!」


 怒鳴るような声で、言われる。支音もそれに影響し男のことを真正面から見て答える。


「未練なんて自分で見つければいいじゃん」

「それが見つけられればお前に声はかけてねぇよ!」

「なんでよ自分の未練もわからなんておかしいじゃない!」

「はぁー。教室でぶっ倒れたときに思ったけど、何にも知らないんだな。お前を頼った俺が馬鹿だったわ。無駄な時間取らせてごめんな」


 少しぶっきらぼうに答え、適当に手を振りながら男は帰っていった。


「もぉ。何だったの?この学校には変な人いや幽霊しかいないじゃん。あーあ、華のJKライフなんて夢のまた夢だ」


 先程の男の態度に不満を持ちながら支音は学生寮までまた歩き始めた。


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