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4話 レベルアップと新しいスキル

リナ子とパーティを組み、とりあえずはリナ子のレベルアップを手伝う事となった直哉。

これからどうするか詳細を決める話し合いをしようとしたのだが、何とリナ子は直哉に何も言わずに先に進んでいた。


「ちょっ!?大畑さん、何で先に行くの?」

「遅いよ。あたしのレベルアップ手伝ってくれるって言ったじゃん。

ちゃんと付いて来てくれないとダメでしょ」

「いえ……でも、まだゴブリンも倒せないのに上の階なんて行ったらやられるかもしれないんだよ?

ここは地道にこの階でレベルを上げて、適正になってから上に行った方が良いよ」


ちなみに次の階層である3階は、適正レベルが7から10レベルとなっており、命の危険がぐんと上がっている。


「そんなに言うならノリオは一体いくつなの?もしかして自分のレベルが低いから、ここでレベル上げたいわけじゃないわよね?」


リナ子の言葉にはレベルが低ければ用はないと、言っているようなものだった。

直哉はレベルが無いので、代わりに残機数を教える。出来るだけ自信満々に言ってバレないようにハッタリをかました。


「オレは7だよ。あとノリオって何?」

「おー!一緒に講習受けたのに高いじゃん!

ノリオはノリオでしょ。だって、おおのり、なんでしょ?逆さにすればノリオじゃん!」


逆さにすればリノーになるが、それに直哉は突っ込まなかった。


「それで大畑さんは今レベルいくつなの?」

「待ってよ!大切なのはレベルじゃなくて、適性の実力を持っているかどうかでしょう?

あたしはゴブリンに攻撃されても何ともなかったんだから、次の階層でも楽勝だって」

「いや、ゴブリンが余裕だからって次のモンスターに通じるとは───」

「理由があるんだって!

この装備、エッチな格好だけどかなり防御力があるの。何と防御力を120も増加させてるんだって、マジやばくない!?」

「あ、ああ……それなら、大丈夫そうだね……」


リナ子がビキニアーマーの話を振って来たので、直哉はこの話を流すことにした。

何せ自分のスキルは残機。ステータスの表示が一切見えない直哉に、防御力の数値を話されても何も分からない。

なので直哉はボロが出る前に話を打ち切り、リナ子の要望通りに階段を上がることにした。


「そう言えばその装備は随分と高性能みたいだけど、ダンジョンアタックの為にわざわざ買ったりしたの?

1階や2階の低階層に宝箱が落ちているわけないし、ドロップも防具が出るのはもっと後だったはず……大畑さん、かなり気合入ってるね!」

「いや、これはさっき親切なおじさんに貰ったんよ」

「え?」


リナ子の発言に驚く直哉。

そんな気前のいいおじさんがいる訳ないと思う反面、いないと思うのは自分がおじさんに優しくしてもらえなかったから嫉妬しているのだ、と冷静にリナ子の話を考えてみる直哉。

結果、真実は話を聞かないと分からないと結論が出たので、直哉は話の続きを聞く。


「そ、そんな簡単に良い装備をあげるおじさんが本当にいたの?」

「だってこれエッチな衣装だよ?防御力は高くても装備できる人は限られるし、おじさん達エッチな目でアタシを見ていたからね。

リアルJKのビキニアーマーを見れたんだから、タダでも安いでしょ。」


そう言われて直哉は、リナ子の姿をもう一度上から下まで念入りに観察してみる。


(確かに、この姿を見れるならタダでもいいか……?)


直哉はそう考えるが、タダより高いものはない。

この一件を甘く見た二人は最悪な事件に巻き込まれてしまうのだが、この時の二人に知る由は無かった。


「大丈夫だって。相手からあげるよって言ってたし、ギルドで貰ったから見ていた人も大勢いるから問題ないって。」

「そこまで自信があるならいいけど……」


話は終わり3階を探索していく二人。少し進んだ先で早速モンスターが現れた。

この階層のモンスターはキラービー、大きな蜂のモンスターだ。チワワくらいの大きさの蜂がそこかしこに飛んでいる。


「とりあえずオレが他のモンスターを倒すから、大畑さんは目の前の一体に集中して」

「分かった。後ろは任せたかんね!」


遭遇したのはキラービーが一体。キラービーはリナ子に任せて、直哉は辺りを警戒する。


ゴブリンと違ってキラービーは仲間と一緒に行動していないが、そこかしこを飛び回っているのでちょっとでも足を止めれば、すぐに別の個体が集まって来る。


つまり、キラービーとの戦いに苦戦していると二体三体と数が増えていき、最後には対処できなくなってやられてしまう。

それが、この階層の特徴だ。


だが、直哉達のようにパーティーを組んでいるなら話は別だ。レベルが低くても互いを補っていれば、そこまで苦戦する敵ではない。

何故なら、このキラービーはHPがゴブリンより低い。

おまけに攻撃方法が尻に付いている針しかないため、キラービーを視界に納めておけば攻撃を喰らう事が無い。


この情報を探パスで得ていたリナ子は、防具の頑丈さもあって実はレベル1のまま3階まで来ている。

HPが低く攻撃方法もワンパターン。さらにゴブリンよりも経験値が多く湧きやすい。それが3階層キラービーの巣。

探パスには防具を揃えるかパーティーを組んだなら、ゴブリンよりキラービーと戦った方が効率がいいと書いてあったのだ。


防具は手に入るは有用な人間とパーティーを組めるは、リナ子は追い風を感じていた。やることなすこと全部自分に都合よく起きている。

しかし、それもキラービーを倒せればの話。


「ちょっと!何で攻撃が当たらないのよ!?」


リナ子の攻撃はキラービーを前に空を切る。

ゴブリンと違いキラービーの動きは速く、動きを見切らなければ攻撃を当てることが難しかった。

代わりに、直哉は集まって来たキラービーをバッタバッタと次々に倒していく。


「ねえ、ちょっと……何かコツとかあるわけ?」

「えっと……キラービーは攻撃の前にお尻を向けてくる動作をするんだけど、その間は回避行動をしないからそこを狙えば簡単に攻撃を当てられるよ」


直哉はリナ子の目の前でキラービーの攻撃モーションを見せた。

キラービーは尻を二回持ち上げ、そのまま真っ直ぐ直哉目掛けて飛んでくる。それに合わせて直哉はゆっくりと攻撃を繰り出した。やはり直哉の攻撃を受けたキラービーは消滅した。


あれだけ速く不規則な動きをしていたキラービーの動きが、一直線に読みやすく、さらに回避行動の素早い動きとは違いゆっくりと向かって来ていた。

それを見て、リナ子は同じようにキラービーが攻撃モーションを取るまで待ち、そして攻撃が来たところへカウンターをお見舞いしてやった。

するとキラービーは光になって消滅した。


キラービーが消滅したのと同時に、リナ子の探パスから軽快な音が鳴った。

それはレベルアップの音だ。

急いで確認するとレベル4に上がっており、一気に三つもレベルが上がっていた。


「やったぁ!レベルが上がってる!新しいスキルも覚えてるじゃん!きゃあーやったぁー!」


リナ子はその場で飛び上がるくらいに喜び、その勢いで直哉へと抱き着いた。

驚いて目を見開く直哉に構わず、そのまま手も繋ぎ始めるリナ子。

リナ子のテンションは今までで最高潮だった。


「……手伝ってくれてありがとね。一人だとこんなに上手く出来なかった」

「いや、力になれたなら何よりだよ。それより新しいスキルって何っだたの?」


抱き着かれてドギマギした直哉は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたが、話題を変えることで頭を冷静にさせる。

スキルを確認するのにリナ子が手を離して一歩下がった所で、直哉はやっと落ち着いて息を吐き出せた。


「キュアだって。えっと・・・説明を読むとヒールよりも回復量は少ないけど、状態異常を治す効果もある回復スキルだって。これ凄くない!?」


新しいスキルに更に興奮するリナ子。

今度ばかりは本当に飛び上がって喜び、それにつられて胸も跳ねた。

リナ子の胸の揺れを見て、頭を冷やしたばかりの直哉にクリティカルヒット。

ダンジョンだと言う事も忘れて凝視してしまった。


「・・・エッチ」


その視線にリナ子が気付かない訳が無く、胸を抑えて咎められてしまった。


「ご、ごめん。そんなつもりは無くて、つい動きを目が追ってたら、あの、その・・・」

「ウソ。別に見られて困るもんじゃないから別にいいよ。だって、この見えてる部分ってあたしの体じゃないもん」

「えっ?そうなの?」


どう見ても偽物には見えない肌の色合いだが本人が良いと言うので、リナ子を凝視して慌てていた直哉は平静になれた。


「これって魔法の装備だから、この下にちゃんと服を着てるんよ。んで、着ていた服は魔法で見えなくなっているって訳。

だからこの下にはちゃんと服を着ているし、見えているのは不思議な力で見せた偽物って訳。

証拠を見せてあげる……装備解除!」


リナ子が大声を出すと、ビキニアーマーの下から服が出現した。

リナ子が着ているワンピースがビキニアーマーに締め付けられ、スカート部分が捲れあがっていてその姿はとても変だが、ビキニアーマーを直に着るよりかは恥ずかしくない。


「ね?言った通り服を着ているでしょ。装備!」


もう一度リナ子が装備と大声で唱えると、ワンピースがビキニアーマーに収納されて無くなった。

ただの鎧ではなく魔法の装備だと言うのが見て分かる現象だった。


「じゃあレベルも上がった事だし、敵を倒しながら階段を目指しましょうか。

スキルを覚えたおかげでこの先も安全に進めるし、ノリオは5階に行きたいのよね?」

「直哉です」

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