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不思議な体験

作者: 神名代洸

あれはいつのことだろうか?

蒸し暑い夏であったのは間違いない。

幼かった子供の頃のこと。

当時はまだ幼かった僕は知らないことが多過ぎた。

知らないことが多すぎた為逆に怖いと思うこともなく、好奇心がいっぱいな少年だった。


ある日の事、いつものように1人で探検していた。公園の奥を…。

他の子は遊具などで遊んでいるが、僕だけは違った。

いつからか僕は子供達の間で噂になっていた。ちょっと変わった子供という位置で。

僕はそんなの気にしなかったよ。

だからいつものように1人で探検してた。

夢中になっていたからか他の子供達の声や、音が聞こえてくる事はなく、無音で首を傾げた。

後ろを振り向いても誰もおらず、どうやら僕1人だけがこの公園にいたようだ。

怖いと思う気持ちはなかった。



他の子達はと言うと、多分僕のことだと思うけど、1人で楽しそうに探検してる姿は側から見るとちょっとだけ不気味に見えたようだ。

噂になっていた。

あいつはきっと何かわからないものと喋ってるに違いない…とか。

独り言をブツブツ言ってて怖い…など。

当の本人の僕は全く自覚がなかった。

周りからそんな目で見られていたなんて…。



ある日の事。

いつものように探検をしてたら女の人に声をかけられた。初めは首を傾げたよ?僕のことじゃ無いって思ってたから…でもね、僕が知らない女の人はなぜか僕の名前を知ってて声をかけてきたんだ。ビックリだよ。


「君…何をしてるの?」

「探検ごっこ。誰も僕と一緒に遊んでくれないから僕が隊長で1人で探検してるんだ。」

「そうなんだぁ〜。お姉さんも一緒に探検してもいいかな?」

「?いい…けど……。目的があってやってるわけじゃ無いからつまんないよ?きっと。」

「あら、目的ならあるじゃない。だってこの公園…昔事件があって人が亡くなってるって話よ?」

「え?そう…なの?」

「うん、そう。知らなかった?」

「うん。僕、聞いた事なかった。」

「何処かに埋められてるって話だったから、掘り出せば何か見つかるかも。」

「それはちょっと怖いよ。」

「でもちょっと面白そうじゃ無い?もし出てきたら有名人になっちゃうかもよ?」

「何で?」

「そりゃあ普段遊んでいる場所から死体が出てきたなんてのになったらみんな驚くでしょ?だからよ。」

「ふ、ふ〜ん。なら探してみようかな。でも何処を探したら見つかるんだろう。」

「そうねぇ、掘り返された土があるところなんかはどう?あんまり新しいところだと逆に無いかも…だけど、そこそこ立ってる場所ならあり得るわ。」

「分かった。」

僕は女の人の言うような場所を探しては手近な石で土を掘り返した。

何度も何度もやっていたら夢中になってしまっていたのかあたりは少し暗くなってきていた。

「お姉さん、なさそうだけど、本当にあるのかなぁ〜?」お姉さんがいた場所に振り向いたがそこには誰もいなかった。

ブルっとなった僕は今度はお姉さんを探し始めた。でもいない。なんで?

仕方がないのでもう一度掘り返していた場所に行き、再び土を掘り返し始めた。

カッと何かに当たる音がして僕は石ではなく手でそっと土をどかしていった。すると何か丸いものが少し見えた気がした。

「何だろう?」

必死になって掘り返すとそれは人の頭部だった。

びっくりした僕は大声で叫んでしまったが、そんなことは気にならないほど驚いた。

だって人の頭だよ?

白骨なんだ。

なんでここに埋められていたの?

さっきまでいた女の人は一体何処に消えてしまったの?

わからないけれど、すぐに110番で電話をかけた。この公園の名前と僕の名前、そして白骨があった場所を説明すると、ここで待つように言われた。悪戯だと思われているようだ。そんな事するわけないのに…。

まぁいいや、警官が来たらわかる事だから。

僕はその場に座り込んで警官が来るのを待った。

時間にして10分くらいだろうかパトカーが来た。

これでようやく解放されるのかと思ったらホッとしたのだが、どうやらまだ違うようだ。

なぜここにあることを知っていたのか。

1人で何でしていたのかをしつこく聞かれた。

その時僕は思ったんだ。、あの女の人のことは言わない方がいいと言うことに…。

僕は探検が好きだからいつものように探検してたんだと言った。

まぁ、子供が1人でいるなんてのは何か理由があるのかもと考えたようだが、あえて聞かずに離れて行った。

他の警官は何処かに無線で連絡をしていた。鑑識とかいろんな人が来るんだなと思った。

僕は探検は好きだけど、刑事ドラマはもっと好きなんだ。


その夜は両親にこっ酷く怒られた。なぜかって?暗くなるまで公園に1人でいたことがバレてしまったからだ。

まさか友達がいないなんて思っても見なかった両親は悲しそうな顔をした。


「僕は平気さ!だって探検するの楽しいもん。」

「他のことは遊ばないのかい?寂しくないの?」

「ぜーんぜん!探検してるとワクワクするから大好きなんだ。やめられないよ。」

ニコニコしながら嬉しそうに話す息子に両親はため息をつくしかなかった。

公園での事件はすぐに近所でも噂が広がった。

なにせ見つけたのがうちの子。まして1人で見つけたなんて言われたら気味悪がられた。

何かに取り憑かれてるんじゃないかと言う人もいた。そう思う自分たちもいたが、子供のキラキラした目はとても何か嘘をついてる風には見えなかったから、黙っていることにした。


子供達の間でもすごい速さで噂が広がり、僕は注目の的となった。

「な、なぁ、お前あそこにあれがあったの知ってたのか?」

「ううん、知らないよ?だけど刑事ドラマとかで出てくる死体の現場はいつもあんな感じだった気がしたからさ、掘ってみたくなったんだ。そしたらでてきた…。ビックリしたよ。」

「あ、当たり前だろ?白骨だぞ?頭だけ見つかったのか?それとも…。」

「全部見つかったよ?詳しいことは内緒にって言われてるから言えないけど、人間の骨だって。」

「うわ〜!やば〜。怖いわ。」

「ホント怖い。」

「でもただの骨だよ?怖くなんかないさ。」

「やっぱり変わってる〜。」


でも人の噂もなんとやらしばらくすると別の話題に変わっていった。僕はその方が良かったからそれでいいやと思ったんだ。




そして数年後、僕達はその学校を卒業して行った。

時が流れ気がつけば20年経っていた。

今の僕はまだ学生だけれど、あの頃の記憶は鮮明に覚えていた。

クラスメイトとは会うことはなくなったけれど、時々思い出すことがあるんだ。

あの時会った女の人。

僕が白骨を見つける直前に消えてしまった人。

あの人は一体誰だったのか?

関係者か?

それとも……。

まさか、ね。

自分を見つけて欲しくて出てきた…なんてことないよね?

僕はお化けは苦手なんだ。怖いもん。

でもあの時は怖いと感じなかった。だってただの骨だもん。

今思い返しても不思議な体験だったと思う。

でもそんな体験はそれ以降パタリとなくなり僕は探検ごっこをするのもやめた。

今は警官になろうともう勉強中だ。

いつか僕と同じように探検して何かを見つけた子がいたら話してみようと思った。

「君、僕と同じ体験をしたんだね。」って。


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