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大発見だ

「一体何だよ」

 たたき起こされたバルドリアンは、不機嫌に言う。まだ眠いみたいだ。他の騎士たちと夜遅くまで飲んでいたらしい。


「大発見だよ! セシリアが、またすごいものを見つけたんだ」

「何を……?」

「とにかく、それを確かめにいくんだ。行きたくないんだったら、僕一人で行くぞ」

「わかった、わかった、ちょっと準備をするから待て」

 バルドリアンが身支度をするが、その時間ももどかしい。

「僕は、他にも声をかけてくる」

 そう言って、バルドリアンの部屋を飛び出した。


 いつものようにニールス・フォクトマンとデニス・バグナーの二人の若者に案内を頼んだ。

 それから、30人程の騎兵も加わってもらった。


「これを持って行って」

 セシリアが、お昼用の弁当を持ってきてくれた。卵がたっぷり入ったサンドイッチだ。騎兵の分も用意してくれていた。

「いつもありがとう」

「がんばってね」

 セシリアの笑顔だけでも力が出てくる。それにこのお弁当。力が出ないはずはない。


******


 まず最初は、セシリアが石炭を拾ったという場所だ。南の山に向かって走った。屋敷からはそう遠くはない。馬で20分ほど走って、山の入り口に着いた。

 山は緑に覆われているが、その周辺は砂地の荒れ地だ。


 僕は、馬を下りて〈探査〉を使った。

 すぐに見つかった。それも大量にだ。地上から地下に大きな鉱脈が走っていた。地上の部分でも膨大にある。これならトンネルのような坑道を掘らなくても、地上から採掘していける。


 僕は〈探査〉で見つけた石炭の鉱脈の上に立つ。

 手で土を払うと真っ黒な石炭が出てきた。

「これを石炭といいます」

 僕は、その一欠片を足下に置いた。


ਪਵਿੱਤਰ ਆਤਮਾ ਦੇ ਨਾਮ ਵਿੱਚ ਮੈਨੂੰ ਅੱਗ ਦੀ ਸ਼ਕਤੀ ਦਿਓ 


と唱えると、その石炭が燃え上がる。

「おおっ」

 みんなが声を上げた。石が燃えた!驚きと不思議が入り交じった声だ。

「これは石炭といって、石なのに燃えるのです」

「それじゃあ、薪がなくても……」

「ええ、これは薪よりもよく燃えます」

「これで燃料の問題は解決できるのですね」

 みなが、喜びの表情だ。

「騎兵の方は5人ほど戻って、道具を持ってこさせて採掘させてください。1キロか2キロほど結構です。それで辺境伯様に説明しましょう」

「わかりました」

 数名の騎兵が戻っていった。


 さらに僕は〈探査〉を使って周辺の資源を探してみた。周辺の砂には鉄が含まれている。砂鉄だろう。ただ、それほど多くはない。


 それから、東、北、西へと馬を走らせた。


 走り回ると、銀や銅の鉱脈も見つかった。それほど大きいモノではない。鉛もある。この領地の地下資源は豊富だ。

 

 〈探査〉に金が引っかかった。川幅が1メートルほどで、深さも50センチほどの小さな川の中に見つかる。これは砂金だ。

 川の水に手を入れ、底の砂を取る。その中に小さく光る粒がある。目でははっきりと確認はできないが、〈鑑定〉すると確かに金だ。

 しかし、近くに金の鉱脈は見つからない。もっと上流にあるのだろうか。


 途中、セシリアの作ってくれたサンドイッチをみなと食べた。


「あんなにきれいで料理上手の奥さんなんてうらやましいですね」

 騎兵たちに言われた。そう言われるのはうれしい。

「まだ奥さんじゃないですよ」

と照れて返すのが精一杯だった。


 その日、一日中領内を走り回って、〈探査〉と〈鑑定〉を繰り返した。

 空振りはなく、どこへ行っても何かを見つけられた。だから楽しい。やりがいもでてきた。


******


 屋敷へ戻ってから、まず辺境伯様とベルンハルトに詳細を報告した。

 まだ、調べられたのは領内の一部だが、かなりの手応えがあったことを伝えた。


 それから屋敷内の人を集めて、石炭を燃やして見せた。

 石が燃える、それにみなは驚き、そして薪などの燃料不足がこれで解決することを喜んだ。

「周辺にも売れるな」

「はい、この周辺の貴族領には、木材が少ないところもあります。それに王都も人口が増えてます。必ず燃料不足がやってきます」


******


 翌日からも、領地内を走り回って〈探査〉を続けた。

 わずかだが石油もあった。

 紫水晶も見つかった。これは宝石になる。

 砂地の砂鉄も領地のどこへ行っても見つかった。集めるとかなりの量になるだろう。


 そうして見つけた資源を、地図に記録していった。

 疲れるけど、宝探しをしているような気分で、楽しい。


 だいたいが把握できた頃に、辺境伯様と相談した。

 いきなり大規模な設備投資はできない。投入できる人の数も限られる。

 当面は、塩と石炭の発掘に力を注ぐことにした。石炭は領民の日常の燃料としても必要だ。そして塩も石炭も近隣にも売れる。


 石炭の採掘も、当初は兵士が動員されることになった。これで採掘から販売までの体制が整えば、住民を雇えるようにもなるだろう。


 そして砂金と砂鉄の採取も進めることにした。これは、大きな設備投資は不要だからだ。


 砂金は高価なので、採取する川には兵士を駐屯させた。盗掘を防ぐためだ。

 最初には、僕がテレビなどで見たのを思い出して、お盆のようなものをもって川に入ってやってみた。これが結構楽しい。慣れないうちは、一日に一欠片を見つける程度だったが、採取人となった人ははすぐにうまくなって、一日に数グラム程度の金を採取できるようになった。

 毎日やるのだから、結構な量になる。〈探査〉で見ると結構な量の金が川底に眠っている。


 この地が荒れ地だったことも幸いした。緑豊かな土地だったら、資源の採掘には山や森を切り開かなければならない。しかし、荒れ地で、鉱脈のほとんどが地上だから、採掘が楽だ。金も川砂の中だ。大規模に山を崩すことも掘ることもしなくていい。


 砂鉄の採取のために、街や村の子どもたちに小さな磁鉄鉱を渡した。つまりは磁石だ。磁石に砂鉄をくっつけて集めるのだ。子どもにとっていい小遣いかせぎになる。

 だいたい数時間で、大さじ5杯程度の砂鉄を集めることができた。多い子は、お椀一杯くらいを集める。それを買い取って製鉄の原料とした。領国中を集めると、一日に10キロくらいの量になった。

 これも、山を切り崩して、坑道を掘るような採掘と比べると格段に楽だ。

 精錬のための燃料の石炭も自前で用意できる。


 2週間も経った頃から、塩と石炭、それと鉄を領地外への販売を始めた。

 商人たちも積極的に売ってきてくれている。

 そして、売ったお金で麦などの食料を購入して、領民に格安で与えた。

 少しずつ、領地が豊かになってきた。


 ところが、お金がまわるようになると、またクズが現れるのだ。

 それも一人や二人ではなかった。


ブラウザで翻訳ができる方は、翻訳してみてください。呪文の意味がわかります。

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