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聖女降臨

 プロ?が拷問をしている(らしい)間も、僕とクレバーは、街の見回りを続けた。

 まだいるかもしれないし、これ以上被害が出ないようにもしたいからだった。


 見回りの前に、フランソワさんの店に寄ってみた。

 リアフさんとセシリアが、開店前の仕込みを手伝っている。

 焼酎も販売できるようになったし、僕が教えた”粉ふきいも”も人気のメニューになっていた。ほとんどの客が戻ってきているという。

 教えたと言っても、セシリアにこんな料理があったと伝えただけで、実際に作ってみて、レシピにしてくれたのはセシリアだ。これも、彼女のスキルのおかげだ。

 ”粉ふきいも”はフライドポテトのように油も使わないから手軽で、フランソワさんの負担もない。単純な料理だが、今までなかったから人気のメニューになった。


「そろそろ大丈夫だな」

 クレバーが言う。そろそろランドシャフトを再開してもいいと考えているようだ。

「ええ、ありがとう。もう大丈夫だわ」

「フランソワさんもがんばったわね」

とリアフさん。


 そのときガチャリとドアが開いて、ヴァイスが店に入ってきた。

「あれ、みんなそろってるね」

「ああ、どうしたんだ?」

「フランソワさんへの伝達事項があるんだ。公式のね。聖女様が、明日、この店を訪問したいと言ってきた。今日は、その先触れに来た」

「聖女様が?」

「そうだ。詐欺で被害に遭った人たちを慰撫したいと」

「ああ、なんという光栄なこと……」

 フランソワさんは、両手で顔を覆って、感涙にむせぶ。

 リアフさんもセシリアも手を取り合って喜んでいる。本当に嬉しそうだ。


「聖女様って?」

 僕はヴァイスに聞いた。

「第二王女のことなんだ。聖女といっても、この国にそういう称号はなくて、まわりが言っているだけなんだけどね」

 王国の第二王女は、メサリーナ・バートリといい、年齢は18歳くらい。ものすごい美人らしい。

 ちなみに国王は、エリク・バートリと言い、王子はグスタフ・バートリと言う。

 聖女と言われるようになったのは、王女にもかかわらず貧民や孤児への援助を惜しまないからだそうだ。国民からは絶大な人気がある。

 あの王子の妹が聖女とは信じられないとも思ったが、ほんとうによいことをしているみたいだ。


「明日の昼前にご訪問の予定だから、朝から掃除をして、きれいにしておいてくれ。あとお迎えするのは、女性の三人だけにしてくれ。警備のためもあってな」

「わかったわ」

「聖女様に失礼のないようにがんばらなきゃ」

 フランソワさんやリアフさんの心酔ぶりはものすごい。


「ところで、なんで詐欺のことを知っているんだ?」

 クレバーが聞いた。

「たぶん、俺が上に報告したからだろう」

「そうか。それにしても早いな……」

「ああ、少し不思議だな……」

 二人には何かモヤモヤしたものが残ったようだった。


******


 翌日、女性陣三人は早朝から店に出て掃除を始めていた。

 訪問の1時間ほど前に、防衛隊隊員が数名来て、怪しい者がいないか、危険な物が置いてないか、店内を確認していく。隊員はランドシャフトの常連だし、リアフさんとセシリアがいるから、スムーズに確認ができたらしい。


 僕とクレバー、セラーは、店の外での見物だ。

 早々に防衛隊が来て、野次馬のためのロープを張っていった。

 1時間以上前だが、何百人も集まっていた。

「ここからは入るな。もし勝手に入ったら、命の保障はないぞ」

 そう厳しく言っていった。王女様だからしかたがない。


 カンさんは、王族に対して悪い印象しかないので来なかった。

 僕は、やはり美人は見てみたい。セラーもそんな感じで来ていた。

 クレバーは、冷静に、現状を把握することが目的だ……と言っていた。


******


 時間の少し前に聖女を乗せた馬車が到着した。高級そうで、立派な馬車だ。

 前後を防衛隊が警備している。ヴァイスの姿も見えた。


 まだ聖女は降りてはこない。馬車から店の入り口まで赤い絨毯が敷かれた。

 某映画の賞のようなレッドカーペットだ。両側に王家の近衛兵が立ち並ぶ。僕たちは、その外側だ。

 準備ができたところで、近衛兵の偉そうな人が、馬車の扉をゆっくりと開いた。


 馬車の中から、まず頭を、そしてドレスのスカートをつまんでゆっくりと聖女が姿を現した。

「おおっ」

 歓声と拍手が街中の路地に響いた。


 純白のドレスで、清楚でいかにも聖女らしい。

 金髪の髪は腰まできれいに流れ、スラリ細く、白い肌は透き通るよう。その白い肌にひときわ輝く深紅の唇。そして碧く透明な瞳。

 確かに美人だ。いや、僕が実際に見た女性の中で、間違いなく一番の美人だろう。

 ハリウッド映画の主人公にもなりそうだ。


 聖女は、レッドカーペットの上を、ゆっくりと歩いた。

 僕たちの前をとおるときには、何か、甘いようないい匂いがした。

 セラーと僕は、ボーッとして見ているだけだった。

 

 聖女が歩く先では、フランソワさん、リアフさん、セシリアが待っていた。


 三人は深く頭を下げ、聖女は軽く微笑んだ。

「大変でしたね」

 聖女がまず声をかけた。

「とんでもございません」

「そのあとも、がんばっていたと聞いておりますよ」

「もったいないお言葉で」

「これは些少ですが、お受け取りください」

 聖女は、そう言ってコインがザクザクと入っていそうな袋をフランソワさんに差し出した。

「とんでもございません」

「あなたが取られたお金には足りませんが、私の気持ちです。ぜひ受け取ってください」

「そうおっしゃるなら」

 フランソワさんは頭を下げたまま、それを受け取った。ずしりと重そうだ。


 聖女は振り向いて観衆に向かって、

「こんな卑劣な犯罪を私たち決して許しません!」

と力強く言う。

「私たちの国民を苦しめるものに、私は立ち向かいます!」

 観衆からは、大きな拍手が沸き起こった。

「必ず、犯人を捕まえることを、ここに誓います!」


 まるで演説のような聖女の一言一言を、感動して聞いていた。あのクズ王子の妹とはとても思えない。


 聖女って、どんな人なんだろう。ふと疑問に思って、スキルを使ってみた。


 えっ!!!!


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