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クズだらけの世の中

現代の日本はクズだらけ。

裏金をつくる政治家、ブラックで働かせる会社……。

でも、僕たちには何もできない。


でも、それが異世界ならば……。


この舞台は我々が住む地球とは異なりますが、わかりやすくするため、時間や距離、長さ、重さ、そして通貨などの単位、名称はなどは地球のものに翻訳してあります。ご了承ください。

〈世の中クズばかりだ〉

 ずっと思っていたことだ。絶対に間違っていない。


 クソ親父は、僕を数字でしかみない。テストの点、偏差値、学校での順位。それだけだ。

「父さんのように良い大学を出て……」と偉そうにも言う。

 でも僕は知っている。

 愛人がいること、それも若くて美人ではなくて、近くの飲み屋のおばさんだ。

 会社でも仕事ができず窓際らしい。夜中に母さんと言い合いしているのを時々聞く。

 その鬱憤を僕や母さんに向けているだけなのだ。

 僕と言い争って、論理で負けると、人格攻撃と暴力に訴えるしかない。

 そんな小さなやつだ。


 母さんもクソ親父と同じだ。数字だけでなく、他人との比較でしか僕を見れない。

「○○ちゃんは……」と誰かとの比較が息をするように出てくる。

 クソ親父の愛人のことを知っているのに、何もできない。そして僕に当たり散らす。

 めんどくさくて料理をしないから、夕食のおかずがないこともざらだ。そんなときはふりかけだけでご飯を食べる。


 学校もそうだ。

「こんな偏差値だとろくな大人になれないぞ」

 点数と偏差値でしか生徒を見れない教師。

(いや、先生の出てる大学の偏差値よりは高いんだけど……)

 それをずっと言いたいと思ってた。

 その教師も、校長、教頭から、難関校への進学者数で評価されている。

 教育と言いながら、商売だ。


「フォロワーが5000人を越えたぜ。お前なんかとはレベルが違うんだよ……」

 SNSのフォロワー数でマウントをとってくるやつ。

 それも彼女のパンチラ、胸チラで稼いだだけのフォロワー数だ。お前の価値ではない。


 いじめられてはいないが、そんなやつらばかりの学校には、もううんざりだ。


 唯一、僕と普通に接してくれているのが、幼なじみのエリカだった。

「タクはやさしいね」

 僕を数字以外で見てくれる。

 昔から、エリカのことは好きだった。

 でも、エリカには彼がいる。かわいくてスタイルも性格もいいから当然のことだ。

 彼を紹介されたことがあるが、いい奴で、これならエリカをまかせてもいいとも思った。

 でも、後から知ったのは、彼が二股どころか、五股をかけていた。


 本当にみんなクズだ。

 そして、エリカの彼が五股をかけていても、それをエリカに言わない僕もクズだ。

 告げ口をしたようで、エリカに嫌われるのが怖いのだ。

 エリカの幸せよりも、自分を守ることを選ぶ。

 僕もそうしたクズなのだ。

 それでも、クズの自覚がある分、他のやつらよりはずいぶんとましなはずだ。


 家も学校もクズだらけ。もうすべてが嫌だ。

 家出をしようか、それとももっと遠くへ……。


 そのときだった……。



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