第7話…荒らしとアナログ
前日の初配信で立ち絵が透過されず、しかもそれが自分だけという伝説的出来事が起きた舞
今日も配信するぞとは思っているが、朝から悩んでいた
『これで透過したから大丈夫だとは思うんだけど……』
「起きて早々それかよ…他にやることあるだろうに…」
同居人の玲緒に飽きられてたのだった
『今日は透過されますように!!』
「事務所に言えばいいのにな……」
透過されることだけを願っている舞には他のことなど頭にはなかった
ただただ透過されて、同期と同じように配信することしか頭になかったのだった
それから数時間後
朝ごはんを食べない舞の1食目である昼御飯を食べて配信の準備をしていた
『ミキサーOK!マイクOK!後は立ち絵のみ!』
「ガンバー(棒)」
立ち絵の事ばかり気にしてる舞に呆れた玲緒は棒読みのような応援を横でしてゲームをしていたのだった
すると
『あれ?…気のせいか!始めれば治るやつだ!』
なんということでしょう、初配信で配信後に治ることは無いと知ったはずなのに配信後に治ると思ってるではありませんか
ポンコツはこういう所からなんでしょうね
-『2日目もよろしく!』-
そのタイトルと同時に配信が始まった
-入室しました-
-星を送りました-
-星を送りました-
-入室しました-
-入室しました-
-こんにちは-
-こんりん~-
『いらっしゃい』
-なんか画質荒くない?-
-確かに荒いね-
-アナログ画質みたいだね-
『実は昨日立ち絵が透過されないで初配信してさ、自分で透過させたんだよね』
-それ事務所の人には言ったの?-
-よっ(初見)-
『初見さんいらっしゃい!』
-俺のこと知らない?-
『事務所の人には言ってないよ。初見さんは初見さんだよ』
-んなこと知っとるわ!-
-こんりん-
『いらっしゃい。あっ!もしかしてポルッターで流れてきた例の人!!』
-例の人www-
-は?-
-背景透過してもらった?-
『背景透過は自分でやってみたよ』
-だから画質荒いのか…-
-事務所の人にちゃんと話しなよ-
『はーい』
-お前荒らし知らないんだ〜-
-うわっ!ホンモノじゃん-
『荒らしにデビュー2日目で出会うとは感激だわ』
-画質荒くて荒らしと出会うとか伝説やんww-
-あっ、つまらなくて荒らし帰った-
『もっと話したかったなぁ荒らしの人と』
-そう思うのはりんさんだけだよ-
-ホントそれね-
-上に同意-
『荒らしとかレアじゃん!経験としていい事じゃん!』
-荒らし来たことも事務所に話しなよ-
-立ち絵の事もだな-
『同期とかにまず聞いてみるよ、立ち絵の事は』
数時間後
『じゃ今日はこの辺で終わるね!おつりん』
-お疲れ様-
-おつりん-
-星を送りました-
-おつりん-
配信を終えたりんは同日同期の浜辺うみに連絡をした
-『お疲れ様。聞きたいことあるんだけどいい?』-
-いいよ!どうかしたの?-
-『立ち絵透過されなくて自分で透過したら画質荒くなったんだよね』-
-それこの前、来週デビューのグンくんが同じこと聞いてたよ。グループの方に貼ってあるからみてみて-
-『ありがとう!見てみるね』-
そしてグループをチェックしたのだが
『YouLOUDを消す……?わかんねーー』
「うるさいぞー」
『透過問題解決しないんだもん!』
玲緒に呆れられてた時
〔ピコン〕
とデイコードの通知が鳴った
『咲紀ちゃんからだ』
-こんばんは。立ち絵が透過されないって話聞いて連絡したよ。解決した?-
-『こんばんは。全然解決しなくて困ってるところ』-
-『うみちゃんにグループの方でこの前同じことあったって言われて読んだんだけど訳分からなくて』-
-そうなんだね。もしかしたら保存ファイルの問題かもしれないから、立ち絵を私に送って貰うとことできる?-
-『大丈夫だよ』-
-〔画像を送信しました〕-
-ファイル変えてみるね!-
数分後
-〔画質を送信しました〕-
-これで大丈夫だと思う!1度ねこっとで読み込んでくれる?-
-『ありがとう!読み込んでみる』-
ねこっとを開き、咲紀に送ってもらった立ち絵を読み込む
するとそこには綺麗な画質で透過された立ち絵が読み込まれたのだった
すぐに咲紀に連絡をする
-『画質綺麗だし、ちゃんと透過されたよ!ありがとう』-
-ファイル変えたぐらいしか私はしてないから。無事に治ってよかった-
-『本当に咲紀ちゃんのおかげだよ!ありがとう』-
-また困った事とかあれば連絡してきていいからね!-
-『ありがとう!その時はお願いします』-
咲紀との連絡を終えた後
『良かったーーーー!!』
「何が良かったの?」
そう玲緒に聞かれた
『立ち絵無事に治ったんだよ!』
「それは良かったじゃん」
『明日から平和な配信だー』
あんなポンコツが起こるとも知らずに立ち絵が治ったことに喜ぶ舞だった