第6話…仲間はいませんでした
配信後リザルトを呟きながら外で舞の祖父の車を待っているとすぐに祖父が車で近くまで迎えに来た為、同居人の玲緒と母や妹と一緒に祖父の車に乗り祖父母宅にある食事亭に向かった。
『こんにちは〜』
舞が挨拶すると親戚が来ていて祖父母が作る食事の支度を手伝っていた
「舞ちゃんこんにちは」
「いらっしゃい、今作り始めたばかりだから隣にあるカラオケ部屋の方で歌ってていいからね」
親戚のおばさんに挨拶されたあと、祖母から隣のカラオケ部屋で歌ってていい許可をもらったのだ
『わかりました。カラオケ部屋の方で歌ってきます』
そう言って、玲緒作れて苦手空気の食事亭から離れたのだった
そう、舞の祖父母は飲食店を経営しており食事亭とは別に店の外に防音のカラオケ部屋もあるのだ
昔はGUMというカラオケを入れてたのだが、祖父母が年々足腰が弱くなり外にあるカラオケ部屋への配達が困難となり数年前にやめてしまって以降は、テレビショッピングで買ったカラオケを導入してたのだった
ちなみに舞の歌唱力はこのカラオケで鍛えられたものだった
「相変わらずのコレか…」
『文句言ったらダメだよー。GUM辞めたらしいから』
「辞めてなければ採点とか神だったのにな」
『それはそうだけどさ』
そう言いつつねこっとを開いてた舞に気づいた玲緒は
「配信すんの?」
そう聞いた
『違うよ。同期の配信見に行くの、同じミスしてる人居ないかなって』
「あーね」
結局、カラオケはせずにお互いスマホをいじってたのだった
ねこっとを開いた舞ははくさいのアイコンをクリックして配信を見に行った
-初見の夢咲りんさんが入室しました-
-夢咲りんさんが星を贈りました-
-『こんにちは-!初配信おめでとう!』-
「おっ!りんママいらっしゃい!りんママも初配信おめでとうだよ!」
-初見さんが入室しました-
-初見さんが入室しました-
-星を贈りました-
どんどん流れてくコメントをよそに
『立ち絵透過されとる…コメマラもほとんどしてない…』
舞はそう思った
-『今、出先だからまた後日ゆっくり来るね!お疲れ様』-
「りんママ来てくれてありがとう!おつはくだよ」
スっと退出ボタンを押してはくさいの枠を後にした。
『立ち絵治すかー。えっと…』
舞は透過アプリに立ち絵を読み込み、背景透過をして保存をした。
確認はしなかったものの透過したのだからコレでもう大丈夫だと思いこんだ
その後、祖父母の作ったご飯を食べ帰りのタクシーが来るまでの間にねこっとを再び開いた
そして浜辺うみの配信へ行った
-初見の夢咲りんさんが入室しました-
「りんちゃんいらっしゃい!同日同期のりんちゃんです!」
-『こんにちは!初配信おめでとう』-
「ありがとう!りんちゃんも初配信おめでとう!」
-初見さんが入室しました-
うみの枠はとても落ち着いていた。
コメマラなんてものはなく、飛ばすコメントは飛ばして即時対応をしていた
-『ごめん!出先だから顔出しだけ、またゆっくりくるね!』-
「おけおけ!忙しい中来てくれてありがとう!またきてね!おつうみ!」
-『おつうみ!』-
ねこっとをずっと閉じ舞は思った
(立ち絵透過されてるじゃん!!待ってこのままだと僕だけ?)
やばいと焦りが舞を襲った
配信を閉じてから数十分後に迎えのタクシーが来た
しばらくするとタクシーは目的地と違う所で曲がり止まってこういった
「ここであってます?」
(何言ってんだ?この運転手…)
『この先の通りの方です。けど、近いんで歩きますからココで大丈夫です!』
するとタクシーは走り出し
「すいません!」
それだけを運転手が言った
一緒に乗ってた玲緒と顔を見合わせて
(歩くからおろしてくれよ!)
と思ったのだった
そして家に着き母にタクシーの運転手が1個先の通りで止まった話をしたら大爆笑して妹にも広めてたのだった
部屋に戻った舞は荷物を置いてねこっとを開きヒスイの配信へ行った
-初見の夢咲りんさんが入室しました-
-『こんばんは!初配信おめでとう』-
「りんママいらっしゃい!ありがとう!りんママも初配信おめでとう」
-入室しました-
-入室しました-
ヒスイの配信は、コメントを飛ばしたりして必要なコメントを読んでスッキリした配信だった
-『ごめん!出先から帰宅したばっかだから顔出しだけ!またゆっくりくるね!お疲れ様』-
「りんママありがとう!お疲れ様」
ヒスイの配信を後にしてふと思った
(同日組全員、立ち絵の事故起こしてないじゃん!)っと
そうなんと舞だけが立ち絵透過を失敗してたのだった
なんでそんなミスしたのか、改めて考えても全く分からない舞の頭にはマネージャーに聞くなんて考えはなかった
「その顔はなんかあった奴だな」
焦ったような顔をしてフリーズしている舞に玲緒をそう問いかけた
『同期全員立ち絵ミスしてなかった…』
「WWWどんまいw」
『透過アプリで透過したから大丈夫だと信じたい』
「透過したなら大丈夫じゃない?」
『大丈夫だと信じたい』
「とりあえずさ、片付けとかして寝な。明日の配信寝坊すんぞー」
『はーい、わかった』
玲緒の言葉で、片付けをして寝る事にした。
ただただ明日は透過された立ち絵であることを願ったのだった
まさかまたあんな事が起こるとは考えもしなかった