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元社畜がVTuberになったら芸人でした  作者: 天宮結依
社畜からVTuberへ
2/9

第1話…社畜?


『3、2、1、おつりんです』



『今日も来てくれた人ありがとうございました!

明日ものんびり配信するよ!』

「楽しみです」

「のんびり助かる!」

「まったりしてて作業すすむ!」

そんなコメントを横にスマホの画面を消す

今日も終わった…そう感じて布団にダイブする

この活動をして1年と半年…色々あったなぁなんて思う

出会いと別れ、良いことと悪いこと、1つ1つが今を作ってるんだなぁ…なんて思う


VTuberのきっかけは些細なことだった


「休憩中悪いけどレジ入って」

『わかりました』

2オペで1人休憩に入れるのが悪いよなコレ

『いらっしゃいませ』

『ありがとうございました』

『いらっしゃいませ』

「あの婆さんレジ遅いんだけど!こっちは急いでるんだよ!早くしろよ!」

『申し訳ございません』

出来ない先輩…違うか、凄いやることが遅い先輩と組むことになって半年

この職場に入って4年が経っていた

休憩中にレジ呼ばれるのもサービス残業も当たり前すぎて慣れた

ブラック企業じゃね?と言われればその通りとだって言える

休み申請しても休ませてくれない職場もあったからまだマシだ

ちなみに店長はこの先輩は何を言っても無駄と諦めて人手不足だからとメンバーを増やそうとはしない

「如月さんありがとうね」

『気にしてません。このまま売り場の品出ししちゃいますね』

今日も休憩は15分中5分か…5分取れるだけありがたい

酷い時なんて2分の休憩や12時間勤務だからなぁ…

このシフトのせいでポルキャス出来てないし…

『あー、声劇やりてー(ボソッ)』

「品出し終わったら納品来たから検品して売り場出してくれる?」

『わかりました』

先輩はレジから動かないから僕がやるしかない

1度売り場をやらせたんだが、理由をつけてはレジに戻って行った

それ以降、この先輩を売り場に出すことは諦めた

「お疲れ様」

『お疲れ様でした』

店を出てイヤホンを耳に付ける

『今日も終わったーーー』

帰り道はビフォーザスノーの曲を聴く

辛いとは思ってないこれが運命だと思ってる

だが1人で夜道を歩くよりも音楽と歩くと心が落ち着く


『ただいま』

家族なんて寝てるから誰も返事をしない。いつもの事だ

荷物を置いたらストレッチしてプロテインを飲んで寝る

夕飯は5分の休憩でバカ焼きさん食べてるからそれでいいやと思ってる

『あれ…またか…』

ただ最近おかしいんだ

悲しくないのに涙が出る

この時はただ疲れてるだけそう思ってた


何ヶ月か経って異変が起きた

職場に近くなると涙が出てくる、足が重くなる

バン!!

顔を叩いて気合いを入れる

『こんなの許されない、今日も行かないと周りが困る』

自分で自分にムチを打つのは得意だ

『おはようございます』

今日も仕事をする


そんな生活を何ヶ月も続けたら、家から出るのも拒絶するようになった

階段から落ちるのも靴を履けないのも日々増えていった

それを見た家族が

「病院行こ」

そう言って病院へ連れてった


「今日はどうしました?」

優しい声で落ち着く、この人にならと全てを話すことにした

『仕事に行けなくなりました』

12時間勤務や休憩が短いこと、休憩中に仕事すること、先輩がレジしかしないこと、店長は見て見ぬふりをしているかのように言っても動かないこと全てを話した

「今まで大変でしたね。よく頑張りました」

明日にでも仕事に戻れる、薬を飲めばすぐ治るそう思って次の言葉を待った

「今すぐにでも仕事を休んでください」

『えっ?なんで…』

「心がおやすみしたいって言ってるんですよ……だから…」

頭が真っ白になった、僕から仕事をとったら何が残る?

仕事休んだらライブにも行けなくなる全てを失った気がした

その後の先生の話なんて頭に入ってこなかった

薬を飲めば治るそう信じてた


ゴロゴロドーン!!

階段から落ちる音が響く

『いやだー』

「よしよし」

同居人の玲緒に心配されながら泣き叫ぶ

行かないといけないのに身体が拒絶する

行かなきゃ…

携帯を持つ手はそんな気持ちを無視して電話をかける

『もしもし…如月です。すいません…しばらくおやすみをさせてください…』

泣きながらのせいで言葉なんてぐちゃぐちゃだ

「わかった、ゆっくり休め」

ツーツー

ただその一言で電話は切れた

涙なんか止まらない

階段から落ちた痛みと休めた喜び両方が膨れ上がった


『今日からよろしくお願いします!』

あれから1ヶ月経って職場休職したまま辞めた

あの職場への拒絶反応は治らなかったからだ

今回は行きたくないなんて思わなかった

職場が悪かったんだと思い知っていた


何ヶ月もすればそんなの嘘だった

「教えたのに出来ないの!!何ヶ月はここで働いてるの!!」

『申し訳ございません』

毎日のように八つ当たりされることが増えた

知らないことを聞けば、何ヶ月いるの!そればっかり

自分が悪いんだ、考えて行動すれば分かることなんだ

何度も何度もそう言い聞かせた


それから何日も経たないうちに以前と同じ事が起きた

『行かなきゃ、行かなきゃ』

重い足を引きずる、泣いてるなんて周りから見れば変な奴でしかなかった

『お疲れ様でした』

「お疲れ様。来週から来なくていいよ」

先輩にそんな権限なんてあるのかと思いシフトを見れば1日もシフトに入っていなかった

悔しいでも悲しいでもないホッとした自分がいた

職場に行かなくていいんだという自分が何処かにいた


通院の日、今までの話をした

「休んでなかったんですね。シフト入ってないならこれを機に1度仕事から離れてみませんか?」

『仕事しないと生活出来ないので』

「障害年金とか、色々申請できるものがあります。結果が出るのに時間はかかりますが審査には通ると思います。そういうのを申請すれば生活は出来ると思いますよ」

『わかりました、考えさせてください』

「今まで頑張ってきたんですから、自分に休暇をあげてくださいね。周りが頑張りを認めなくてもココ(病院)のスタッフはみんな頑張ってるの知ってますからね」

その言葉に心が楽になった

嬉しかった

褒められたかったのかもしれない、頑張ってることを認めて欲しかったのかもしれない


その後家族と話をして障害年金を申請し、会社からメールにて今後どうするのかと連絡が来ていたので辞めさせて欲しいと返信をした。

これからどうしようかなと悩んだ

未来真っ暗だ

ただ、心は軽かった。外に出るのも億劫で恐怖の自分にとっては楽だった。

ピロン

-ぞまさんのLive2dの姿を作ってみました-

『Live2d?』

興味本位で開いたそのポストには、絵で描かれていたぞまさんの姿が動いていたのだ

『顔出ししないで動かせる世界…いいなぁ…』

憧れだが自分には無縁だと思い在宅の仕事を探したのだった

これがLive2dそしてVTuberとの出会いだった


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