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014 オウドー師②

「ところで、レスピーギという名前の魔術師は知ってますか?金髪の美形の男なんですけど。」

「いや、そんな名前の魔術師に心当たりはないね。そいつは何者だい?」

「そいつが、シマノフスキをこんな目に遭わせたんですよ。」

「なるほどね。金髪の美形ってだけじゃ難しいけど、そいつをどうするんだい?殺すのかい?」

「いえ、まさか、そんな。いつかシマノフスキが元気になった姿を見せ付けてやりたいか、もしくは、もう二度と彼には会わせないようにするのがいいのか、今はわかりませんけど。」

「何だい、そりゃ、初めて子供を持った親みたいにその子の事で悩んでるじゃないか。呆れたね。」

「いやぁ、引きとった手前、ほっとけなくて。それに、こんな様子だから心配で。」


 シマノフスキは、あくびを噛み殺しながらシバケンの肘のあたりにしがみついて立っている。


「まぁ、いいさね。ところで、軽く依頼の話をしていいかい?」

「ええ、お願いします」

「報酬はシバケンには、全4日で金粒1顆(100,000ガン)。1日追加ごとに1日あたり銀貨2枚(20,000ガン)。シマノフスキは見習いって事で、その半分だ。出発は明日。ここから森の見える方向にかつての都市跡があるんだが、また新たな洞窟が見つかったらしくて、厄介な事に魔物が棲みついているみたいだから、その討伐と探索をね。」


 何でもその辺り一帯は、かつての魔法戦争で廃墟になって以来、魔法の残滓が未だに残り、一般人が住むにはふさわしく無い荒廃した土地となったままになっているらしい。


「そこに行くのは、お二人の他には?」

「アタシら2人に、盗賊ギルドから1名。学者が1人に役人が1人と領主からの護衛として腕利きの衛士が2名。あとはシバケンとシマノフスキの9人さ。役人の指示のもと、学者が調査をする。衛士は彼らの護衛。アタシらと盗賊ギルドは先兵として、魔物を含む危険の排除。シバケンはその全員分の荷物持ちって役割さ」

「という事は、お二人だけがメインで戦うみたいに聞こえますけど。」

「まあ、そうなるな。」

「大丈夫なんですか?」

「盗賊ギルドからの前情報を役所が検討しての依頼だからね。無茶な話じゃないんだろうよ。アタシらもまだ詳しくは聞かされてないけど、特に問題も感じられなかったから請けたよ。報酬もよかったしね。で、荷物持ちならシバケンがいいって推薦したら、冒険者ギルドからもそれがいいって、話になってね。」

「そう言って頂けるとありがたいです。わかりました。大変そうな依頼ですけど、シマノフスキにも報酬を頂けるのも良い条件ですし、お二人との依頼ですから安心して請けさせて頂きます。」

「請けてくれるかい。あぁ、よかった。それじゃ明日の正10刻に役所で集合な。早いけど門は空いてるから、守衛に声を掛ければ入れてもらえるはずさ。で、今日なんだけど、オウドーに会った後、一緒にメシでもどうだい?奢るぜ。」

「うーん、残念ですけど、今からの話がどれだけ長引くのか分からないので、、、」

「そうか。そりゃ残念だ。それじゃ、メシはまた今度な。明日、正10刻に役所で集合だから、忘れずに来てくれよ。」

「あと、オウドーには気を付けるんだよ。」

「はい、ありがとございます。明日からの依頼、よろしくお願いします。」


 2人と分かれると、ちょうどいい時間になっていた。

 シマノフスキは2人との会話中、大人しくしていた。


「今から向かうけど、ちょっと何か食べとこうか?」


 シバケンが聞くと、シマノフスキは小さく頷く。

 村碑に向かう途中にあった屋台で、メギという、パンの中に肉と野菜を細かく刻んで香辛料で味付けしたものを詰めて焼いたピロシキのようなものを二種買った。

 二つに割って、具の詰まったところをシマノフスキが一口ずつ齧る。

 それだけで、もういいみたいだ。

 シバケンは残りを口にしながら、中央区を目指す。

 初めて食べるメギは、ひとつはカレーのようなスパイシーな風味で、もうひとつは酸味を感じさせる不思議な味だった。

 交互に口に入れながら、村碑の前についた時には、もうルカは既に待っていた。


「お待たせして、すいません。遅かったですか?」

「いや、まだ時間にはなってないから気にせずに。こっちが勝手に早く着いただけだからね。」


 「それじゃ向かおうか」と、ルカは歩き出す。

 オウドーという魔術師は、引退しているという話だから、ひっそり暮らしてるのかと想像したのだが、ルカの足は商人が集うゴモ村の中でも一際賑やかな西区画に歩みを進めていった。

2023.5.4 誤字訂正 ⇒ 誤字報告ありがとうございました

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