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004 薬草店〈ベルトの店〉にて

 自警団に協力をすると決まると、トントン拍子に話が進んでいった。

 すぐに冒険者ギルドの職員を部屋に呼び付け、シバケンとシマノフスキの両名に依頼を請ける旨の手続きを取らせた。

 薬草採取の依頼は初めてと伝えたところ、ギルドの職員からゴモ村周辺で採取される薬草のイラスト付き資料があるというのでそれを受け取った。

 ハッサム草は傷薬の原料に。

 ハム茸は疲労回復の薬に。

 ナンゾ草は痺れ薬に。

 ゼーリウムの花は気付け薬に。

 インガ草は毒消しに。

 それぞれ新芽がいいとか、根が大切などの一言コメントがついており、非常にありがたかった。


 自警団からは、ディガーの出現は夕方以降なので、暗くなってからも一刻ぐらいは採取を続けるように条件を出されたぐらいで、あとは自由に準備をするように言われた。

 これで、1日あたり20,000ガンの追加が貰えるという。

 自警団の言葉を額面通りに受け取れば、全く危険が無いまま3日間で60,000ガンの追加報酬になるという。

 

 そんな美味い話はないよな。


 いくら危険が無いとはいっても、全く準備せずに薬草採取に行く訳にもいかないので、シマノフスキの分を含めて買い出しに向かう事にした。

 薬草という事で、シバケンの頭にはターラと一緒に行ったベルトの店の事が頭に浮かんだ。

 店の場所はうろ覚えだったので、その途中で携行食を買い足し、シマノフスキ用のナイフも購入した。

 携行食については多少割高だがギャパンの肉を選び、チーズと堅パンも忘れずに補充する。

 あとは、オーク討伐の報酬が思いのほか多かった事もあり、荷車を一台購入する事にした。

 大きな荷車が必要な時は、その時借りればいいとして、普段使いとして小型の頑丈な物を探してみた。

 手頃な1メートル角ぐらいのサイズの物が見付かったので、シバケンは上機嫌で2人分の荷物を載せ、荷車を牽く。

 シマノフスキは最初こそ歩いていたが、途中から荷台に腰掛け、足をプラプラさせながら買ったばかりのチーズを一欠片齧っていた。

 シバケンは腹も立たずにその様子を眺め、自然と浮かぶ笑みのまま、再び荷車を牽く。


 何となくの記憶を頼りに、ベルトの店に着いた。

 店にはあの時と同じくおかみさんが忙しそうにお客を捌いていた。

 シバケンが店に入ると、それに気付いたおかみさんが声を掛けてくる。

 その声で、奥からベルトも顔を出してきた。


「こんにちは。ご無沙汰してます。」

「シバケンさんでしたね。いらっしゃい。」

「今日は干し果実とナッツと、傷薬を買いに。あと、ベルトさんにちょっと教えて貰えたら、と思って。」

「ボクにですか?何でしょうか?」

「さっき薬草採取の依頼を請けたんですけど、恥ずかしながら初めてで。何か注意点とかアドバイスを頂けないかと。あと、こんな資料をギルドから貰ったんですけど、補足するような情報はありますか?」


 と、シバケンはベルトに先程の資料を手渡す。

 それを見るとベルトは眉を顰める。


「これだけですか?呆れたものですね。ギルドが初心者にこんな資料しか渡さないから、質の悪い薬草が出回るんですよ。今から言う事メモ取れますか?」


 そう言うと、ベルトがインクとペンを用意して、シバケンに差し出した。


「まず、ハッサム草は新芽の効能が高いのは間違ってませんけど、新芽だけ採取したらダメですよ。茎や古い葉は、低い効能の傷薬を作るのに必要ですからね。低効能の傷薬も需要がありますから、それ用にも取ってください。新芽で作った効果の高い傷薬を水で薄める訳じゃ無いですから、必要なんですよ。次にハム茸なんですけど、この絵だけじゃ分かりにくいですよ。傘の裏が青くて、裂くとトロリとした汁が溢れてきますから、それで見極めて下さい。ハム茸そっくりの毒キノコがありますから、それと間違わないようにして下さいね」


 などと、丁寧に資料の補足をしてくれた。

 さらに、この時期だとこんな果実が採れて、といった資料に載っていない情報までもらって、予想以上の成果があった。


「ありがとうございます。まさかここまで教えてもらえるなんて。助かりました。」

「いいんですよ。ボクらも質のいい薬草を手に入れたいですしね。」


 シバケンは、すっかり恐縮してしまった。

 シマノフスキはというと、最初こそ物珍しそうに棚を見ていたが、すぐにそれに飽きて退屈そうにしていたので、見かねたおかみさんに干し果実を貰って満足そうに齧っていた。


「ベルトさん、おかみさん、本当にありがとうございました。薬草採取の依頼、頑張ってきますね。あと、彼が干し果実気に入ったみたいなのでもう少し頂けますか。」

「はいよ。」


 ベルトの店を出ると、昼を少し回ったところだったが、シマノフスキもあまりお腹は空いていないという。

 屋台のようなところでペイを2個購入し、シマノフスキに持ってもらい、とりあえず薬草採取に向かう事とした。

 シバケンは片手にいつもの金棒を握り、新調した荷車を牽き2人はゴモ村を出た。

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