表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/253

014 冒険者ギルド① 登録

 翌朝。

 シバケンはメルリーナに連れられて、2階建ての立派な建物の前に立った。


「そんなに緊張しなくて平気だよ。」


 きょろきょろしていると、メルリーナは笑っている。


「大きな建物ですね。これが冒険者ギルドですか?」

「そうだよ。厳密にいうと、冒険者ギルドと、私らの加盟している盗賊ギルドの共同の建物だね。冒険者ギルドは、入ってすぐのホールに依頼の掲示とその受付がある。裏には獲物の買取りの受け付けがあるね。2階は個室の打ち合わせ室さ。高ランクの依頼に多いんだけど、機密性の高い依頼の打ち合わせに使用する事が多いね。あと、ホールからは隣の盗賊ギルドに行き来できるよ。盗賊ギルドはその依頼のほとんどが機密性が高いから、冒険者ギルドみたいな掲示方式じゃなくて、ギルドからの指名依頼がすべて。依頼者からの特命もあれば、ギルドが割り振る場合もあるわ。仕事を振られない弱小チームは、冒険者ギルドにも兼ねて登録してるわよ。まぁ、弱小に限らず登録してる人は多いかな。あと、この隣の建物は自警団の詰所よ。冒険者達はガサツな連中が多くて、しょっちゅう喧嘩になるから、すぐに駆けつけられるように、たいてい冒険者ギルドの隣には屯所があるわ。さあ、入るわよ。」


 中は広く、いかめしい冒険者たちでごった返していた。

 男ばかりかと思ったが女性もおり、また、ワイルと同じような獣人もいた。

 ひときわ人が集まっているのは、依頼の掲示板だろうか。

 まだ、子供のような年恰好の者もいる。

 メルリーナは脇目も振らずに、真っ直ぐカウンターまで歩みを進める。

 シバケンも遅れずについて歩く。

 他のカウンターには並んでる人がいるが、このカウンターには誰も並んでいなかった。


「あら。メルリーナさん。お珍しいですね。」

「おはよ。今日はこの人の登録にね。」

「わかりました。“アンジュの顎”の方ですか?」

「違うわ。ザルツベルから流れてきたのを、たまたま縁があって、こうやって連れて来ただけ。ウチの人間じゃないし、他国の人だから、冒険者ギルドについて。一から教えてあげてね。」

「よろしくお願いします。」


 まだ若いカウンターの女性に、シバケンは照れ臭さそうに頭を下げる。


「そうですか。ザルツベルから。それは大変でしたね。向こうでも冒険者を、、、やってない。途中ブランクがあった訳じゃなく、今回初めて。わかりました。それでは、新規登録の手続きをとりますね。」


 そう言うと、用紙をカウンターにのせた。

 見たことのない文字だが、不思議な事に読む事は出来た。

 名前は、シバケン。

 種族は、人間

 年齢は、、、この世界で目覚めてすぐ池に映った自分の姿を思い出す。

 実年齢は35歳だが、多少若かったので28ぐらいかと思ったが、年齢をサバ読む気恥ずかしさはある。

 どうしようか。

 まぁ、間を取って30歳ぐらいにしておくか。


「あら、30歳ですか。その歳から新天地での暮らしは大変だと思いますけど頑張って下さいね。」


 年齢については何も言われなかった。

 さて、次に職業欄には何て書こうか。


「こんなもの、全部埋める必要はないんだ、職業もその下の欄も空欄でいいよ、ああ、最後の履歴欄に、“アンジュの顎”の依頼による荷物持ちって書いておきな。」

「最後に、これに血を垂らしますから、どっちでもいいから手を出して下さい。」


 メルリーナと受付の女性の2人に言われるがまま、用紙に記載をした。

 左手を出すと小指の先に器具を当てる。

 血が金属板に垂れる。

 垂れた瞬間、血が消える。


「はい、これで終了。登録証が出来るまでしばらく時間掛かるけど、待ってますか?」

「登録してからで順番が逆なんだけど、彼にギルドのシステム的な事教えてもらえないかな。」

「いいですよ。ちょっと待って下さいね。」


 用紙と金属板を裏に持っていくと、すぐに戻ってきた。


「お待たせしました。それじゃ、ご説明しますけど、メルリーナさんからはどこまで説明されました?」

「ごめん、アミナから説明してもらおうと思って、あたしからは何にも言ってないんだ。」

「そうなんですか。それじゃ、ホントに一から説明しますね。」


 アミナという受付の女性は、シバケンの方を向き直って説明を始めた。


「まず、冒険者に登録されますと、6級からスタートされます。ランクは基本的に1級から6級までですが、他に0級という国から認められた方と7級の方がいます。」

「7級?」

「ええ。ランクは依頼解決の件数と内容により昇進しますが、失敗した場合はペナルティがあります。ペナルティの累積で、ランクが下がりますので、スタートの6級から下がります。報酬の20%の罰金もありますから注意して下さいね。ここまでは大丈夫ですか?」

「はい。説明を続けて下さい。」

「次に依頼ですけど、基本的にはあそこの掲示板に掲載されます。更新は午前、午後の2回。依頼書には内容、報酬、達成納期、達成ランクといった情報が書かれています。達成ランクはギルド職員が依頼内容から判断して記載しております。現在のランクとその一つ上のランクまでは受注可能です。シバケンさんですと、5と6級の依頼ですね。ちなみに7級の依頼はありませんから、7級の人は6級の依頼のみ受注可能です。ランクより下の依頼は、1ランク下のみ可能です。」

「難易度が高い事に受注の制限があるのはわかりますけど、下にも制限があるのはなぜですか?」

「それは、仮に2級の人が6級の仕事を受注出来た場合、6級の人の仕事が少なくなる恐れがあるのと、依頼者がそのクオリティを求めて、本来受けるべき6級の人が達成した仕事に対してもクレームになりかねませんからね。よろしいですか?」


 たしかに、2級のベテランがやった仕事と、6級の新人がやった仕事を比較され、しかもそれがクレーム扱いにされるのはギルドとしても避けたいだろう。


「なるほど、わかりました。それで、ランクアップするには?」

「ランクアップ基準は基本的に件数です。たとえば、5級へのランクアップは、6級の依頼30件、5級の依頼10件が条件です」


 そう言うと、アミナは「えーっと」と言いながら、カウンターの背後の棚から書類を出してきた。


「これは昨日解決した依頼書ですけど、6級は森で熟した果実を20個採取。手紙を届けて翌朝までに返事を貰って帰る、これも6級ですね。ええっと、5級は何か無いかな。。。ありました。害獣駆除、大イノシシ捕獲。あとは、街道の落石撤去の人足。こんな感じですね。まぁ、6級は細かい仕事が多くて、一般人でもやれるけど手が足りない。5級になると怪我のリスクが高くなり、一般人はやりたがらない。って仕事のイメージです。だから、6級でずっといる人も少なからずいますよ。」

「何人ぐらいの冒険者がこの街に?」

「ここで登録しても、他の街に行くのは自由だし、逆もあるから、正確な人数は把握出来てませんけど、たぶん、200人ぐらいいるんじゃないでしょうか。で、依頼の話に戻りますけど、基本的には掲示板に掲載されますけど、それとは別でパーティ間の依頼ってのがあるんです。あっちの小さい方の掲示板ですけど。例えば、いつも4人のパーティーだけど、次の依頼用にもう1人増やしたいとか、遠出の依頼だから、荷物持ちが欲しいとかね。そういった時もギルドを通して貰うのが原則ですね。本依頼時にその点も確認しますから。ギルドは手数料で運営してますから、その辺は理解して下さいね。」


 イメージしてた冒険者像とは随分違っていた。

 これなら、仕事を選べばなんとか暮らしていけそうだ。


「運営の話のついでに、買取の話をしましょうか。さっきの依頼がちょうどいいね。果実を取ってくるって依頼の途中で、違う物を見つけたら、それは純粋なあなたの報酬。冒険者ギルドで買取もするし、他のギルドでも買取はするよ。相場が違うから両方確認する人もいれば、面倒くさがってこっちだけに持ってくる人もいるし、どちらかと言うとこっちのタイプがほとんどかな。動物・魔物の解体はウチが強いし、薬草系は商人ギルドかな。あと、鉱石とかは工匠ギルドが強いって言われてますよ。ちなみに、小売屋への直接販売はダメですからね。ほかに聞きたい事は?」

「冒険者に登録した後の、更新とかの必要はあるんですか?」

「継続的に依頼をこなしている人は更新料のみで、特に難しい手続きはいりませんよ。最後の依頼から、5ヶ月何もしないと抹消されて、再登録となります。その場合、5級より上のランクの人は6級からのやり直し。7級に限っては、3年間記録は保存されるから、仮に1年後に再登録した場合でも、7級からスタートだからね。事情があるようなケースは一旦据え置きの処置も出来るから、困った事があったら相談してくれたらいいですよ。」

2023.8.20 誤字訂正 ⇒ 誤字報告ありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ