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忘却のテンペスト  作者: ひろゆき


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 第五部  七  ーー  ワタリドリとして  ーー

 三百二十九話目。

    この先、一体どうなるの?


 正直、みんな自分のことを責めすぎだ。

 この世界を信じられなくなった根源に、みんな何かが関わり、それで今に陥った節がどこかあった。

 だからって、そんな大きな十字架を背負うなんて、バカげているとしか思えなかった。


 あのときまでは……。


 でも今ならば、その責任を背負う気持ちはわかる。

 背負わなきゃいけない自覚も多少は出てきた。


 僕だってワタリドリの一人なんだから。


 昔、戦争が起きる間際、僕はレイナを守るために戦った。


 でも、僕は未熟だった。

 弱かった。


 だから、レイナを守ることができなかった。

 

 それが僕が背負う十字架。


 絶対に負わなくちゃいけないんだ。

 何より、それが僕がここにいる理由。

 留まることになった理由でもあるから。


 それでも、暗くなることは嫌だった。

 だから、できるだけ明るく振る舞ったり、冗談を交えるようにしていた。

 時折、癇に障るのか、怒る奴もいたけど、それはそれで楽しかった。


 そうだ。


 責任を負っても、暗くなる必要はないんだ。


 ……と思っていた。


 でもまた変わってしまった。


 レイナのなかで気持ちが変わったっての?


 彼女を見ていると、最近どこか雰囲気が変わってしまった。


 なんだろ、どこかこれまでと違って、刺々しくて、近寄りがたくなった。

 大きな、とてつもなく大きな決断をしたみたいに。

 彼女の眼差しを見ていると、それは決していい方向に進んでいるとは思えなかった。

 むしろ、危ういところに堕ちていくような怖さがあった。


 ーーでも。


 でもそれを指摘なんて僕にはできない。

 セリンだって何も言わず、彼女を見守っているんだ。


 僕にそんな資格なんてない。


 けど、これだけは言える。

 もう冗談を言ってふざけていられない。



 僕は彼女を見守るだけ。


 ーーそうだ。


 彼女がどんな行動を起こそうとも、僕は彼女に従うだけ。



 それがどれだけ辛いことであっても……。


 僕はワタリドリとして残った者。


 ミサゴなんだ。

 ミサゴ……。

 あなたの決意は……。

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