第四部 四 ーー 深まる厭悪 ーー
二百四十一話目。
私、この章はもどかしさしかない。
ふざけたことを言うなっ。
どれだけの奴にこの言葉をぶつけたか。
もう我慢なんかしたくない。する必要なんてないんだ。
ずっと蔑まされて生きてきた。
血を恨んだこともある。
先祖が敗戦国の人間だった?
それじゃその子孫はずっと蔑まされるのが当然?
ふざけるなっ。
そんな戯言、変えたくて“蒼”に入隊したのに。
遠い昔の勝敗にかまけて、偉そぶる連中を蹂躙したくて僕は入隊したんだ。
僕をバカにする奴に人権も何も関係ない。
そう思っていたのに。
統率?
先導者?
帝?
正直クソだ。
“蒼”に入っても、序列がのしかかり、僕を邪魔してきた。
イシヅチ。思い留まることはできないか?
帝の最期の言葉が蚊のように耳元に鳴り続けて騒がしい。
何を言っているんだ。
こいつも嫌いだった。
何が帝だ。統率者だ。
結局、お前だって先祖の血筋のおかげで、その地位に立っているだけだろう。
自力でも何ない形だけの統率者のくせに。
だから……。
だから殺してやった。
結局、こいつだって、最期は悲鳴を上げ、命乞いをするだけの情けない奴じゃないか。
みんな腹が立つ。
あいつもそうだ、ツルギ。
何が恐怖に勝つために帝が必要だ。
恐怖?
そうだろ、テンペストがもたらすのは恐怖。
そうだ。恐怖がバカな人を束ねるのに一番必要なんだ。
そこに温情なんていらない。
それを奴らは知らないんだ。
だから僕はもう“蒼”はいらない。
こんなバカげた組織なんていらないんだ。
転機は今しかない。
今、僕らが変わるべきなんだよ。
古臭い連中を消し去ってさ。
だよな。今回の章はそうなるよな。
次の章は動けるように願うしかないよな。




