第三部 第四章 5 ーー 悔しさと焦り ーー
百七十一話目。
遠い、私って、話から遠いところにいる。
戻らなくていいの?
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●月△日
ワタリドリ……。
彼らは何を考えているのだろう?
彼らはきっと一番の被害者だろう。
けれど羨ましい。
あれだけアイナという人物のことを考えて動けることが……。
△月△日
変な話を聞いた。
この戦争を終わらせれるのはアイナだけであると。
でも、それはワタリドリにとって、屈辱でしかないんじゃないたまろうか……。
悲しんでいるんだろうな、きっと。
△月×日
友人が昨日、五人殺された。
悔しい……。
仇をとってやりたい。
でも、それができない。
彼らを殺したのは天気。
テンペストだったから。
悔しさしかない……。
ツルギとの話は、また決別に終わってしまった。
こちらの思いがどうしても伝わってくれず、なかば逃げ出すように部屋を飛び出していた。
慌ただしく廊下を蹴り、部屋を離れたところで、次第に歩幅が縮まっていく。
完全に足が止まったとき、壁を殴りつけていた。
「なんでわからないんだ……」
悔しさを堪えることはできなかった。
部屋を出た後、脳裏を巡らせていたのは、あの日記の分。
それらはアイナという人物に対しての疑念。
そしてテンペストに対する憎悪であった。
アイナに関しては、自分たちにできることは少ない。
謎が多すぎて。
それに極端なことを言えば、直近の危険がない気がしてならない。
反面、テンペストに関しては、得体が知られていない。
不明な点が多いだけに、より危険が高いと危惧してしまう。
私の本音を言ってしまえば、今は争いを生む種を蒔くような行動は控えるべきである。
まずはいつ起こるかわからない、テンペストに、事前に対策を練るべきだと思ってしまう。
そのため、アネモネとちゃんと話をするべきなのだ。
そうすれば、おのずとアイナについても見えてくることもあるかもしれないのだかり。
「……クソッ。リナを早く見つけなければ……」
状況が芳しくないもどかしさに、もう一度壁を殴りつけた。
こうなれば、ツルギらよりも早くリナを見つけて話を聞くしかない。というかとか。
それが難しいんだよな……。
悔しさと不安が胸を駆け巡る。
まぁ、遠いな。
まぁ、今だけだろうから、待っておけって。




