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忘却のテンペスト  作者: ひろゆき


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 第三部  二  ーー  時間  ーー

 百五十三話目。

   これだけ早く終わるなら、早く私を出せばいいのに。

 

 時間とは残酷だ。

 ツルギはどこか、リナとアネモネに対して敵意を隠しきれていなかった。

 それが憎悪だと一括りにできないけれど、禍々しく濁って見えた。


 だからか、一人になってしまうと、やはり考えてしまう。


 自分にも責任があるのではないか、と。

 彼を漆黒の渦に沈ませたのは自分なのではないか、と。

 リナとアネモネを焚きつけたのは僕なのだから。


 ツルギも昔はあんな奴ではなかったはずなのに。


 もちろん、この問題をツルギから責められれば、僕は反論していたに違いない。


 お前もそうなんじゃないか、とどこか強い口調となって。


 ツルギも昔はあれほど人に恐れられるような奴ではなかった。


 根は優しい奴なはず。


 僕らの関係を問われれば腐れ縁と呼ぶのが一番しっくりとなるだろう、ハッカイと三人は。

 きっと人の縁とはそういうものだ。

 時には反発したり、口論したとしても、苦悩をともにしたからこそ、本気でぶつかり、憎めなかったのかもしれない。


 僕らが暮らしていた町も正直、不穏な空気を漂わせていた。

 危険視しなければいけない町の一つにすぐ上がる町であっただろう。


 住民のなかでは、己らの行いがいずれ、“テンペスト”を引き起こすんじゃないか、と揶揄する者や、本気で心配する者もいたぐらい、危うい町であった。


 きっと幼少期の荒んだ生活が生活を歪ませるものだと決められても、大人になった今となれば、渋々納得していただろう。

 それぐらいの町であった。


 そこで普通に暮らしていたならば、僕らも心が荒んでいただろう。


 そんな僕らを真っ当な道に導いてくれた人がいたから。

 その人は僕らにとって憧れの人。僕らはその人に感謝もしている。

 尊敬する人があの町にいたからこそ、町も大丈夫なんだと信じられていた。


 だからかもしれない。

 僕がリナとアネモネを世話しようとしたのも。


 でも、それが間違いだったのか?


 冗談を口にするツルギであっても、昔の面影がなかったことに、自分を責めるしかできないのが悔しい。


 僕らを示していたあの人の言葉はあいつに響かなかったのか?


 時間とは本当に残酷だ。

 はい、はい、はい。

  だったら次回に期待しな。


 ということで、今後もよろしくお願いします。

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