第二部 終 ーー 信じる者 ーー
百三十六話目。
気づいたら、これで終わり?
第二部
終
自分の選択が決して間違いなんかじゃない。
どれだけ周りの人に責められようと、この思いだけは揺らがない。
陽光の射し込む隙もない地下深くの部屋。
湿気が多く、肌寒い牢屋に閉じ込められても。
きっと部屋と通路を隔てる鉄格子の外に出ることはないでしょう。
壁に設置された松明の火が淡く殺風景な通路を照らしている。
きっとそれは私とは別世界の灯火かもしれない。
けれど、灯火は牢屋にもこぼれている。
きっと、世界は索漠としているだけじゃない。
もれた灯りを見ていると、そんなことを考えてしまう。
それに……。
「……どうして、こんなことをしたんだ?」
牢屋を見張る看守が鉄柵の前に立ち、問いかけてきた。
「いいの? 私なんかに話しかけて」
索漠とした空間で誰かと喋れるのは嬉しい。それでもつい皮肉がこぼれてしまう。
「……やはり信じられないのです。なぜ、自分を犠牲にするのです? 僕は階級の低い兵士です。それでもあなたの立場は理解しているつもりです。だから信じられないのです」
「優しいんですね」
「ふざけないでいただきたい。本気で怒っているんですっ」
薄暗い廊下に、男の怒鳴り声が反響した。
わかっている。
本気で私を責めているんだと。それでも私は頬を緩めた。
「大丈夫。私がここに来ることで、この争いが終わるのならば、私は本望よ」
「ですが、それは間違った方向に導いてしまった可能性だってあるんですよ」
「それなら、セリンがいるわ。彼がきっと間違いを起こそうとするあの子を制して、正しい方向に導いてくれる」
不安がる看守に笑顔を送った。
男は恥ずかしそうに顔を背け、
「僕は本当は嫌なのです。あなたを拘束することが」
「ありがと。私なんかに敬意を払ってくれて」
「僕とあなたは敵同士です。ですが……」
「本当に優しいのね。そんなに距離を取らなくてもいいわよ。名前で呼んでくれていいんだから」
「……そうですか。では、レイナ、僕はあなたを開放したい。あなたを拘束することはきっと、争いを混沌とさせる気がするから」
「大丈夫よ、きっと。私は妹を信じているから」
「……妹。アイナですか……」
第二部
了
まぁ、そうなるね。
これで第二部は終了となります。
ですが、次回より第三部の開始となります。
まだ話は続きますが、飽きずに応援していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。




