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忘却のテンペスト  作者: ひろゆき


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 第二部  七  ーー  聞きたい  ーー

 百三十五話目。

    これからってときに、また出番なし?

 

 今になっても忘れない。


 ハクガンが大剣について話したのは一度だけだったけれど、そのときの寂しげな表情は目蓋の裏に強く残っていた。


 誰かを傷つけるためじゃない。

 助けるために作ったんだと。


 ハクガンは自信を持って断言していた。

 大剣を世界のために使うならば、きっと自分たちのような、生け贄を生む必要必要がなくなるとも言っていた。


 信じられなかった。


 そんな、大剣一つで世界が変わるなんて。

 そんなことで変わるならば……。

 どこかで、自分の追い詰められた境遇に対しての苛立ちがあったのかもしれない。

 私は責めてしまった。


 じゃぁ、どうして私は“生け贄”にされそうだったの?


 大剣で世界が変わってくれるならば、なんで私は命を捧げなければいけなかったの、と。


 決してハクガンが悪いわけじゃないのに。


 あのとき、寂しげな顔をしたのは、私のせいだったのかもしれない。

 きっと、信じていなかったんだ、そんな大剣があるなんて。




 だからあのとき、あの三人が大剣を背負って村のそばに現れると、驚きしかなかった。

 以前に見かけたとき、村の名前を呼ばれ、胸が締めつけられたことがあった。


 私ら生け贄だった者を捕まえに来たんだと。

 でも、

 背中の大剣を見て迷いが生まれた。


 彼女らは世界を救うことのできる人たちなの?

 ハクガンに聞いてみたくなった。

 それはどうなのかわからない。


 ただ、洞窟で大剣から放たれた光を目の当たりにしたとき、あの話は本当だったんだ、と信じられそうな気がした。


 信じることができなくてごめんなさい。

 今はまた一つ、あなたに聞いてみたいことがあるの。



 この人たちを信じていいの?

 また強気なこと言って。いいだろ。

 さて、七章も終わりになります。

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