第二部 第七章 8 ーー 待っていること ーー
百三十四話目。
リナはどうなるの?
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リナが走り去って三十分ほどが経っていた。
「……もう帰ってこないのかな」
「どうだろ……」
自信がなく、返事にも力が入ってくれない。
三十分ほど前、リナの背中を見送っていたとき、なぜかこれが最後なのかな、とよぎってしまっていた。
それはエリカも同じらしい。
もう帰ってこない。
諦めで溜め息をこぼそうとしたとき、高い木の奥から人影が浮かび上がる。
「ーーリナッ」
エリカの叫び声に気づいたリナは、目を丸くして、驚いた様子で近づいてきた。
背中に背負っていた大剣はない。
「どうしたの?」
「いや、なんか…… お前がどこかに行きそうな気がしていたんだ」
本音をこぼすと、リナは寂しそうに唇を噛み、後ろの木々を眺めた。
「アネモネに会ってた」
「マジか?」
「うん。それで一緒に行かないかって誘われた」
「ーーそれでっ」
リナの告白にエリカは驚きの声を上げる。
「でも行かなかった」
「……いい、のか……?」
「うん。でも、私はアネモネを止める」
「ーー止める?」
「うん。それだけは決めた」
「ーーそっか」
リナは真剣な面持ちで頷いた。
リナの決断に、正直安堵した。
これで元に戻る。
って考えていいのかな。




