第二部 第七章 5 ーー 彼方の会話 ーー
百三十一話目。
……誰? どういうこと?
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「なぜ、こんなことをしたんだ?」
「……やけに怒るのね」
「当然だ。俺には信じられない。こんなことをしても無駄なんじゃないのか」
「わかっているわ。自分のしたことが間違いなのかもしれないって」
「……だったら、なぜ?」
決まってるじゃない。助けたいからよ」
「…………」
「……でも、それが……」
「……優しいのね。一応、あなたは私の敵でしょ?」
「あぁ、俺はお前の敵だ」
「なら、私がここにいることを、素直に喜べばいいのに」
「…………」
「なんで黙ってしまうの?」
「わからない。どうすればいいのかが。いや、もしかすれば、わかっているんだ。けれど、怖いんだと思う」
「誰だって悩むものよ。怖がることはないわ」
「お前は怖くないのか?」
「うん。そりゃ怖いわよ、私だって。この先どうなるのかわからないんだから」
「だったら、なんで今、ここにいるんだよ。ここにいたら、お前の命は……」
「……やっぱり優しいのね。ううん。優しすぎるんだよ」
「うるさいっ」
「ハハッ、怒った」
「からかうな」
「でもね。やっぱり私は自分の判断は間違いじゃないって信じたいの。私がここにいることで、あの子を助けられるんだっらね」
「それでいいのか?」
「……うん。これでいいの」
何? 私にもわかんない。




