一 ーー 街の未来 ーー
十二話目。
でも、サブタイトルが変。
なんで?
町のみんなから白い視線を浴びながらも、決して揺らぐことのなかった眼差しに驚かなかった。
むしろ感心すらしてしまう。
十代そこそこの歳で、それほどまでに決心を強め、揺るがないことに。
それも二人揃って。
生け贄を捧げても、テンペストが襲わない保証はない。
まさに正論である。
それでも、生け贄を捧げなければいけない、と抗えない気持ちがあることも事実である。
それだけししきたりは重いものであり、ずっとそうしてきた時間には簡単に抗えるものではなかった。
若い二人の考えに、賛同したい思いもある。
けれど、時間という縛りに逆らうことはできなかった。
これ以上、騒ぎを大きくさせないため、俺が二人を町から追放することしかできなかった。
自信の保身のため?
……かもしれない。
でも、そうするしかなかった。
二人の若い旅人が町を出て、数時間が経とうとしていた。
日が暮れ、空が夕暮れに赤く染まっていたとき、崩れた祭壇の前に胡座を組んで、じっと眺めていた。
祭壇はすでに修復に向けて走り出そうとしていた。
トウゴウが率先して動いている。
一体、この祭壇、近くの森にある以前の祭壇にどれだけの人を送り込んだだろうか。
子供のころは、憧れていた人の背中を見送り、時には笑って祭壇に登る友人もいた。
大人になってからは、友人の子を送ることを何度もあった。
そのたびに、「町のため」「光栄だ」と何度同じ言葉を喉を通っていたか。
きっと、麻痺していたんだ。
気持ちに。
迷いに対して。
本当は辛かったはずなのに。
自分の子供を人柱として気丈に振る舞い、送りながらも、誰もいないところで涙を流す親を何度も見ていたはずなのに。
きっと、すべてのことに麻痺をしていたんだ。
やはり、体に渦巻くのは迷いなのかもしれない。
自分の子供にも、祭りはバカげていると叱責されているのに。
「今朝見たとき、これが壊れていて、心がスッとした。気持ちが晴れた」
背中で息子の嘲笑う声が聞こえた。
「そう言うな。壊れているのを知って、泣き崩れる人もいるんだ。そう簡単なものじゃない」
「でも、いつか俺がこれを壊してた。これでしばらくは祭りはしないことになるんだろ。だから、俺はあの旅人に感謝したい」
「……そうなのかもな」
皮肉なものである。
人柱、祭壇のことで息子が憤慨し、疑念を抱いたことで口論となり、しばらく口を利くことがなかったというのに。
町をまもるための祭壇が壊れたことによって、息子とた喋ることができることになるとは。
複雑であった。
テンペストが襲うかもしれない、と不安が強まっているのに、怖くなっているはずなのに。
それなのに頬が緩んでしまう。
息子とまた話すことができて。
「前に進むのは難しいな、本当に」
町のことを考えているのに、あの二人には感謝したくなった。
「この町もきっと変わるさ。きっとな」
期待を持つことにしよう。
何年先でもいい。
何十年先でもいいから、みんなが納得できる町になるように。
第一章のエピローグになるからね。
でま、旅は続きます。
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