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のっぽ

作者: みくた

 ある日、夜中にビールが飲みたくなった私はコンビニで目的のビールを購入し、ビール缶を片手に歩道を歩いていた。

 歩道の横を走る道路はこの時間にもなると車通りの少なく大分静かだ。

「ん?」

 物思いにふけりながら歩いていると、前方に何かを見つける。

 等間隔に並ぶ街灯の光が薄まった部分に佇むそれは人のようだが、随分と背が高く身体が異様に細い。

 ただならぬものを感じたが、連日の暑さで頭がバグっていたせいか私は足を止めることなくそのまま直進した。


 そして、その謎の長身の脇に差し掛かる。

 それは身長ニメートルは有に超えているであろう高身長でジーンズに白いTシャツを着ており、裾からは白く枯れ木のように細い腕が伸びていた。

 ここで私はふと冷静になった。

 何故、直進した?明らかに人じゃねぇよ。こいつ。

 嫌な汗が全身から一気に吹き出す。

 こんなことならビールくらい我慢すればよかった・・・

「あの・・・」

「はい?」

 声を掛けられ反射的に返事をし顔を長身に向ける。

 こちらを見下ろす長身の顔は生気がなくのっぺりとしていた。

 やばい返事しちまった・・・

 金縛りにあったように身体が硬直する。

「スーパーはどこにありますか?」

「は?」

 質問の意味が理解できず間の抜けた声で聞き返す。

「スーパーはどこにありますか?」

 長身が抑揚のない声でもう一度聞く。

「す、すすスーパー?」

 どうにか声を絞り出す。

「はい。」

「す、スーパーはこの時間だと、この先にある交差点を左に行って、突き当りを右に大分行けばありますよ。」

 どうにか平静を取り戻しつつ、深夜まで営業しているスーパーの道順を教えた。

「ありがとうございます。」

 長身はそう言って頭を下げると、ぎこちない動きで示した方向に歩いていった。

 それを見送った私は速やかにその場を離れた。


 何だったんだ?もしかして血色が悪くて背が高いだけの普通の人?


 普通の人だったらごめんなさい。

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