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高2の始業式にて

【懐かしの母校へ】

目覚めたら、やっぱりアラフォーには戻ってなかった・・・

高2のまま、ですね。

今日は始業式。俺の通っている(通っていたが正解か?)高校は自宅からそれほど遠くない。昨日は佐藤に『一緒に行く?』と聞かれたけど、俺はチャリ通(自宅は駅から少し離れているので電車だとチャリ通より時間が余計にかかっちゃうのですよね)で、佐藤は自宅が駅に近いため電車通学だから、それもあってなんとなく佐藤の提案を断ってしまった。天気が悪くなければ俺の通学は基本チャリ。駅まで歩くのって、結構面倒くさいのです。もちろん佐藤の家までチャリで行って、佐藤の家にチャリを置かしてもらうということはできなくはないけど。

小中と近所の公立学校に通い、高校もチャリ通ということでそれまで学割の定期券を持ったためしがなかったので、電車通学に多少のあこがれがある。何故って、チャリ通は出会いが全くないのです。ちなみに俺の近所で俺と同じ高校に通っている学生はいなかったため、チャリ通はおひとり様コース。これはこれでボッチには助かる!


いつものごとく(だと思う)、遅刻すれすれのタイミングで裏門から滑り込み。門が閉まるタイミングにチャリ通の学生が殺到するため、先生が門をなかなか閉められないのです。

俺の高校、コの字型の校舎の他に、体育館と講堂(講堂の地下に学食があります)があるレイアウト。ちなみに始業式は講堂で行われます。

講堂の前の掲示板に新クラスの名簿が張り出されており、俺は(記憶をたどると確か2年E組だったはず)すぐにE組の名簿のみ確認。やっぱりあった。そう、佐藤かおるも同じクラスです。あいうえお順なので清水を探せば佐藤もすぐに目に入っちゃうのです。

このクラス分け、俺が記憶している情報と変わってはないですね、ちょっと安心。

講堂にはすでに大多数の生徒が集まっており、俺は2年E組と書かれている列の一番後ろに並んだ。俺の前は安藤だった。

安藤、実家は商店街にある焼鳥屋なので駅から近く、電車通学のはずだか、何故か俺と教室に入るタイミングが一緒なのですよね。お前、どれだけギリギリの電車に乗っているんだか。

俺の前にいる安藤が俺に声を掛けてきた。

「ギリギリアウトだな」

「俺がアウトならお前もそうだろ」

俺にとっては20年ぶりの安藤とのじゃれあい。安藤、174センチの俺と身長は変わらないぐらいだがガタイがよく、ちょっとジャガイモっぽい顔をしている威勢のいい兄ちゃんのような感じ。『安藤、お前、20年後は頭がずいぶん薄いのだぞ』と言ってやりたがったが、ぐっとこらえた。そういや懐かしいな、よく安藤とこんなやり取りしてたなと妙に一人で懐かしがっている中、始業式が始まった。


【恒例行事・自己紹介】

校長や教頭、学年主任などから一通りの話が終わると、始業式は解散となり、新しいクラスの教室へ。2年E組の担任は島野(英語)、副担は加藤(数学)だった。

俺の記憶通り、席は男女ともあいうえお順であり、佐藤が俺の斜め前、俺の横は須藤さん(2年から一緒)だった。うん、記憶通り。

ちなみに須藤さん、前にも言ったかもしれないが俺の紹介で俺の後ろに座っている瀬尾君と将来結婚するのですよね。後に佐藤と結婚する青山(2年時に同じクラス)は当然廊下側の一番前で、席的には少し離れていた。

ここでふと考えた。そういや俺はアラフォー佐藤から付き合ってほしい旨、先日会った際に頼まれていたのだっけ。それって、よくあるタイムマシンの物語では、俺が万一この斜め前に座っている佐藤と結婚すると、この世界どうなっちゃうの?おかしくならない?

でも、俺の母親が働いている件もあり、俺の記憶の中の世界とこの世界とではどうも様子が多少異なっているみたい。だったら俺と佐藤が結婚しても何ら問題ないわけなのか?などとボーと考えていると島野先生の指示で恒例の自己紹介が始まった。

まず男子からということで最初はイケメンスポーツマンの青山。俺より少し身長は高い。

「青山雄一です。特技はサッカーで、今年サッカー部の部長に就任予定です。よろしく」

複数の女子から熱いまなざしを浴びてまんざらでもない様子。次は俺の悪友の安藤の番。

「安藤健太です。実家は焼鳥屋やっています。ぜひ一杯やりに来てくださいー」

安藤、実家のアピールをしている。島野先生から、高校生は飲酒禁止なのだから変なアピールするなとたしなめられ、クラスがどっと沸いた。

そうこうするうち、俺の番になった。

「清水健一です。趣味は行きつけの居酒屋で一杯・・・」

勤務先の高校などで話す話題を言いかけていることにハタと気付き、慌てて誤魔化す。

「いえ、いえ、本屋めぐりとか、読書です」

安藤が直ぐに俺の発言の上げ足を取る。

「行きつけの居酒屋ってうちのことだよなー。これからもよろしく、お得意さん!」

安藤の時よりもどっと沸いてしまった。後で絞めてやる、この野郎!

俺が赤くなりながら着席すると隣の須藤さんが話しかけてきた。

「清水君って、数学が得意なボッチって聞いていたけど、意外と面白いね」

「いや、俺は自分自身ではボッチではなくクールを売りにしているつもりなのだが」

須藤さんが楽しそうに笑う。佐藤は顔立ちがいいが、須藤さんはどちらかというとかわいい感じで、かつ胸が・・・グッド。何故かその会話に佐藤が割込んできた。

「夏希、清水君をからかっちゃダメ。女子から話しかけられるとすぐつけあがるから」

おいおい、俺が女子から話しかけられたら、モテると勘違いしてつけあがっていた時代はとうの昔に過ぎたぞ・・・

男子の番が終わり女子の番に移った。

「佐藤かおるです。飼ってはいませんがネコが好きです」

おや、佐藤って猫好きだっけ?初めて聞いた。

「須藤夏希です。私は星を見るのが好きで天文部に入っています。泳ぎも好きで、毎年の海水浴が楽しみです」

ああ、だから結婚して瀬尾君の実家の北海道に行ったのね。星、きれいだもんね、北海道と俺は妙に納得していた。


【今回は放送委員に】

本日の最後のテーマ、委員決めである。俺は確か当時の高2のときは美化委員だった覚えがある。部活に入らず帰宅部だった俺は、運動不足の解消も兼ね、美化委員に入って掃除しながら体でも動かそうかなという安易な考えで入ったんだっけ。でも、今回はちょっと事情があり放送委員希望です。

島野先生が最初に『学級委員、やりたい奴いるかー』と声をかけるとやはり、誰からも手が上がらない。けれど、男子からは渡辺君、渡辺君という声があちこちから聞かれる。

「渡辺、やってくれるか?」

島野先生に声をかけられると、渡辺はまんざらでもない様子。

「しょうがないですね。やります」

渡辺が学級委員を引き受けた。女子は吉田さん。俺は接点がなく全く知らない。

渡辺、幹事役がお得意ですもんね。いつも同窓会の案内は渡辺から来る。

たまには断れよと思うが、渡辺、自分の子供がこの高校に進学した際、PTAの委員長引き受けたと安藤から聞いていたから、実はそういうこと好きなのかも。

ぼつぼつと委員が決まり、次は放送委員の番となった。

「放送委員やりたい奴、いるか?」

「はい、やりたいです」

俺は挙手。男子では他に挙手する生徒がいなかったので必然的に俺になった。ちなみに女子は斜め後ろに座っている相馬さん。相馬さんの声、まさにウグイス嬢で放送委員にピッタリ!

何故俺が放送委員をやりたかったかって?

放送委員は生徒の名簿を持っており、生徒の呼び出しなども行う。俺はいきなり高2に戻ったため、20年前の記憶もすっかり薄れており、ほんの一部の生徒の名前しか覚えていない。放送委員になって放送委員が持っている名簿を見ながら生徒の名前と顔を一致させなければと思った次第です・・・

だってアラフォーの俺が持っている卒業アルバムは高3の時のもので、俺のクラスはほぼ男子、しかも高2の時に一緒だったクラスメイトはほとんどいなかった記憶がある。


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