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病院にて、現状認識

【病院にて、現状認識】

やっぱり夢でないかとなんども自分をつねったりしたが、痛いだけで周りの状況は変わらない。残念ながらこの状況、夢ではないのか?

悩んでいても仕方がないので、これが夢なら、という淡い希望はとりあえず横に置き、今のこの状況は俺にとって現実という前提に立つことにした。とするとこの女性は俺の母親で間違いないだろう。鏡に写った自分の顔から判断するにおそらく俺は高校生。何年生だろう?

始業式という言葉で、高1の選択肢が消える。また、昨日は佐藤の家に行ったということは環境的にまだ受験一色ではなく、多分春休みの数学の宿題の手伝いだろう。ならば高2の可能性が強い。

俺の弟のことについて確認することで確定させよう。そう、俺の弟、健二は俺と3歳違いなので、彼が受験生でなければ俺も受験生ではない。

「ねえ、お母さん。健二は?」

「健二、今日から学校、ってあんたも知っているじゃない?夕べお父さんと見舞いに来て、お父さんと一緒に帰ったわよ」

そういや中学の方が始業式、1日早かったっけ。

「今日は何時に帰ってくるの?」

「午前中には終わるって言っていたわよ」

よし、今の俺は高2で確定!だって、中3の時はたしか始業式の後に進路面談があって、帰宅は午後だったからな!


先生の診察が終わり、特に問題ないとのことでそのまま帰宅できることになった。

佐藤が先に帰宅するとのことで、俺は母親と一緒に挨拶に向かう。佐藤は佐藤ママと一緒に来ていたらしく、ちょうど佐藤ママが受付を済ませたところだった。

「佐藤さん、この度は本当にお世話になりました」

「いえいえ、清水君、問題なくてよかったですね」

母親が佐藤ママと話している横で俺は佐藤に話しかけた。

「さっきは変なこと言ってごめん。どうも混乱しているらしい」

「ううん。やっぱりいきなり倒れたりすると、頭、真っ白になっちゃうものね。倒れた時はほんと心配しちゃった」

うーん。俺を昨日介抱してくれたということであれば、この佐藤はアラフォーの佐藤が俺と同様に学生に戻った姿ではないか?との疑いは消さざるを得ない。だって、アラフォーの佐藤であれば、昨日は俺と一緒に食事していましたからね。

「それより明日、一緒に学校行く?まだ混乱しているなら心配だよ」

「ありがとう。でも、多分大丈夫だと思う」

「かおる、もう帰るわよ」

佐藤が佐藤ママに声を掛けられ、俺達に見送られて佐藤親子は帰っていった。

「私たちも帰りましょうか?」

しばらくは、この現実とも夢とも判断つかない状況にもう少し付き合うか。明日になったら元のアラフォーに戻っていたりして、などと元に戻りたいという希望はまだ多少なりとも持っているわけでして。


【20年前の自宅に戻る】

タクシーが自宅に着くと何気に感動した。

「おれの実家、新しい!」

そりゃそうでしょ、20年前なのだから。

俺の自室だった部屋を開けると、高校の制服がクローゼットにかかっており、高1の時の教科書や参考書などが乱雑に机の上に置かれていた。

やっぱり俺、明日から高2なのだな、と改めて実感。

リビングに下りると、そこにテーブルが置いてある。お、まだこのテーブルも新しいじゃないか。実家のテーブル、今やボロボロだからな。親父、物持ち良すぎ。


そうこうするうち、健二が学校から帰ってきた。

久しぶりに中学生の健二を見た。この当時はまだまだ俺と同じく痩せていたな。今や(20年後ですが)立派な体格になり、大学時代に付き合った彼女と結婚して2児のパパさん。情けないビンボー独身の俺とは全然違う。清水家の将来はお前に任せた!

「兄貴、具合、大丈夫?お母さん、俺帰ってきたから仕事行っていいよ」

「今日はもう休むって連絡しておいたから大丈夫。今日は家にいるよ」

え?俺の母親が働いている?確か死ぬまで専業主婦だったはずだけど・・・

どうやら微妙に俺の記憶とこの世界には食い違いがあるみたい・・・ですね。

親父も今日は早めに帰ってきて、久しぶり(ほんと、この家族で食事するなんて何年ぶりだろう)の家族4人での食事となった。この4人での食事は高校生の俺にとってはいつもの変わらない風景なのだろうけど。

親父も若いなー。でも、親父、安心してくれ。20年度には白髪交じりにはなるが、血圧以外は具合の悪いところはあまりないぞー。でも、母親は18年後には死んじゃうから、しっかり奥さん孝行しておいてね!


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