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Song to give you  作者: 右翼
2/3

#1──転校生

 

あぁ…凄く眠い…

寝たの何時だっけ…

2時?3時?

……覚えてないや。

とにかく、遅くに寝たのは確かだ。

唄を書くのに集中して、寝る時間なんか忘れていた。


唄って言っても、短い詩みたいなものだ。

それをいくつか繋げて唄にする。

メロディーなんて無い。

その時の気分や、思いをただひたすら書き綴る。

それを中学から続けて、今じゃノート10冊溜まってる。



「あ…遅刻する…」



そうだった…

今日から俺は高3だった…

まだ卒業じゃなかったんだ…

早く支度しなきゃ。



キツネ色に焼けたパンを頬張りつつ、温かいココアを飲む。

これが、俺の朝の始まりを合図する。

どんなに急いでいても、遅刻しそうでも、これだけは欠かせない。

その結果…──







「優斗…また遅刻か…」


「す、すいません」


「毎度毎度…まぁ困るのはお前だがな。早く席に着け」


「はい…」



やっぱり遅刻かぁ…

参ったな…

もっと早く朝飯食べればよかった。

朝飯を抜けば…いや、駄目だ…朝飯は俺の朝の始まりを教えてくれる役目が──



「優斗、ぶつぶつ煩いぞ」


「──すっ、すいません…」


『くすくすくす…』



畜生…



「今日は新しい転校生を紹介する。入ってこい」


「今頃?」


「女か!?美人がいいなぁ」


「イケメンかなっ?」



今頃転校生か。

もうそろそろ卒業だぞ?

まぁ、どうでもいいか。

ふあぁ…眠い…



「親御さんの急な転勤で、今日からここに来ることになった佐倉羽美だ。ほら、自己紹介して」


「…羽美。よろしく」


「可愛い…」


「ツンデレキャラだな!?あぁ…ツンデレぇ…」



ツンデレってなんだよ。



「ちっ」



女子なんか舌打ちしてるし…


何か、暗い子だなぁ。

まぁ、いいか。

眠いし、関係無い関係無い…

ん?

何かこっち見て…いや、あれは……睨んでる!?

俺、何か悪いことしたか!?

何もしてない筈だ。

そう、俺はただ座ってただけだ。

何も言ってないし、睨んでもいない。

じゃあ何であの子は俺を睨んでるんだーっ!



「おっ!?優斗〜早速目を付けたなぁ?このー」



おい担任…あんたは何を言ってるんだ。

睨まれてんのが解らんのか。



「おい、優斗の隣を空けてやれー」


「ちょっ…」


「優斗、羽美の教科書まだ来てないからお前が見せてやれー」


「まっ…」


「以上!授業に遅れんなよー」


「……」



マジかよ…

何で俺が、この子に…

ううっ…まだ睨んでるよー。



「つ、次は化学だから…ば、場所わかるよね…?」


「……」



反応無しかよ…

辛い…

かといって俺に友達なんて居ないから、頼れないしなぁ。

しょ、しょうがない。



「い、い…一緒に行こっか」


「……」



お願いだから何か喋ってーっ。

教室までが長く感じる…──





「あら、あなたが新しい生徒ね?私は化学の教師の美麗って言うの。よろしくね」


「……」



先生にも反応無しかよ。



「うぶなのねっ。可愛いわぁ…」



おい…

あんたの捉え方はおかしい。


それにしても、本当に無口だな。

喋れないって訳じゃないしな。

朝少し喋ったし。

何か、他人と関わるのを避けてるみたいにも見えるな。

まぁいっか。



「さて、今日は薬品Bと薬品Dを混ぜて、温めてみます。皆さんグループを作ってやってみてくださーい」



…やっぱりこうなるのか。

他は4人グループとかなのに、何故俺だけこの子とだけなんだ…

しょうがないか。

で、薬品Bがこれで、薬品Dがこれ…フラスコに入れて温めると……




ボンッ!!!!



「いっ!?」


「……」



この子のフラスコが…ば、爆発した…



「あらー…羽美ちゃん、ちゃんとBとDを混ぜた?」


「……?」



これは、薬品Xと…X!?

どっから出てきたんだ?

薬品Xなんてこの学校にあったか!?

この子は何なんだぁっ…






「羽美ちゃんたらぁ。ふふふ…気に入ったわ──」





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