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おいもんうぉーず  作者: 鳴海真樹
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2章第2節 超芋力の胎動

前回のお話

自らをGMと名乗るテロリスト集団の内、妖艶な雰囲気の女性と相対したジャガイモ。

一対一でなら分があると思い全力で立ち向かうもあっけなくやられてしまう。

集団のリーダー格が、また来ることを言い残し集団諸共去ってしまう。

そんな中、学長のアナウンスが。

放送に従い残った生徒たちは体育館に集まり、そこでとんでもない事実を言い渡される。

「君たちには特殊能力が備わっているから、その力でテロリストを撃退するんだ!」

生徒たちの運命や如何に・・・。

これは一部の者に語り伝えられる伝記。

昔々あるところに一人の若い芋がおりました。

彼は生まれた時から貧しい生活を強いられていましたが、幼い頃から自らの不遇を嘆いた彼は、自らの逆境をバネに現状を打破する術を模索し続けました。

貧しさに耐え忍びながらそんな生活を続け数年が経ったある日、彼は覚醒しました。

彼は数年の成果の末に、自らの体組織を複製し量産させる能力を身に付けました。

以来彼はその力で貧しい農村の人手として、復興に尽力していきましたとさ・・・。


学長に集められ、突然「君達は超能力者だから悪い奴らをやっつけて」なんて言われた体育館内はヒソヒソとした生徒達の話声で溢れていた。

内容は、「いきなり何言ってるんだ、あのハゲ」とか「頭のネジをテロリストに抜かれたのか?」と言った内容が大半を占める。

しかしその中に例外もあった。


「なぁサト聞いたか、俺達超能力者らしいぞ!」


抑えながらも喜々とした声色で、隣のサトに話し出すジャガイモ。


「聞いた聞いた!やばいよね!」


とこれまた嬉しそうに相槌を打つサトイモ。

そしてその様子を苦笑いで見つめるサツマイモ。

非情にシュールな光景が広がっていた。

その時、一人の生徒が挙手をし、学長に向かって意見をした。


「あの先生、私達が超能力者と仰っておりましたが、一体何の根拠に基づいてそう断言されたのでしょう?」


生徒会長だ。

容姿端麗、頭脳明晰と正に才色兼備を体現したような、クールビューティー先輩だ。

学校のマドンナだけあってその支持は厚い。

追従するように生徒達がどよめき出す。

生徒会長の質問に、その言葉を待っていたかのように学長が話だす。


「うむ、君達生徒諸君が不安がるのも無理もないでしょう。

そこで君達に1から説明するべく、ある伝記のプリントを用意しました。

先生方、宜しくお願い致します。」


学長が舞台裏を指差し、先生方がゾロゾロ入って行く。

暫くすると、大量の紙束を持った先生達が出てきた。

そしておもむろに館内全員の生徒に一枚づつ配りだす。

紙の内容はある人物について書かれた英雄談の様だった。

全員に行き渡ったタイミングで学長が再び話し出す。


「それはこの学校に秘密裏に伝わる、ある人の伝記です。

そこに記されている人は、自分のおかれた貧困という逆境を打破する為に自分のコピーを作る能力を習得しました。

これが超能力の起源と言われています。

そしてその人の子孫は、全員では無いですが超能力が使える方もいたと聞いています。

この事実は一部の極秘の論文にも記されていて、超能力のことを[超芋力ポテイト]、能力者のことを[超芋者ポテター]と命名しています。」


以降も超能力やそれに関わることについて長々と聞かされた。

要約すると、超芋者ポテターかどうかは胎児の体繊維で判別がつき、その判別方法で集められた生徒がジャガイモ達であること。

私立御芋ヶ峰学院は唯一の超芋者ポテター専用教育機関であり、その設備が整えられていること。

能力の種類や発現方法は未知数だが、何かしらの超芋力ポテイトは備わっている。

ということを学長は熱く語った。

長々と説明をされた生徒会長含め生徒達は、戸惑いながらも学長の熱弁に心打たれたのか自分が能力者であることを信じ始めた。


「なぁサト、サツマ聞いたか!俺達マジモンの超能力者らしいぜ!」

「聞いた聞いた!やばいよね!」


先程と同じような台詞のジャガイモとサトイモだったが、サツマイモだけは先程とは違う反応を見せた。


「超能力、これがあればきっと・・・」


以降の台詞は聞き取れなかった。

サツマイモが思いの外乗り気な様子に、意外ながらも嬉しく思ったジャガイモは


「俺達3人が集まればきっと最強の超芋者だぜ!」


とサトイモとサツマイモの肩を両腕で豪快に抱えた。

3人は襲われて以来久しぶりに笑い合った。

先生及び生徒達の冷ややかな視線を意に介さず。

学長がおもむろに大きな咳払いをすると、流石に気づいたジャガイモは肩から手を放し黙った。


「え~、自分達が超芋者なのが分かって浮かれてしまうのも分かりますが、今は緊急事態ですので自重する様に。」


学長にそう言われ赤くなる3人とクスクスと笑いが零れる会場。

襲われてからというもの、笑いが無かった生徒達に少しだけ灯りが灯った。


次回に続く

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